2025/01/26 (日) 12:00 5
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は松阪競輪場で開催されている「蒲生氏郷杯王座競輪」の決勝レース展望です。
暖冬とも言われている今シーズンの冬ですが、それでも場所によっては、記録的な降雪量となっている地域もあるようです。
開催初日から好天が続いているのが、「蒲生氏郷杯王座競輪」が行われている松阪競輪場です。ただ、気温はギリギリ二桁に届くほどに低く、先行した選手たちにとっては、冷たい空気が壁のように立ちはだかっていたに違いありません。
準決勝の結果を見ても、1、2着の選手の決まり手が捲り、または追い込みとなっていた中で、11レースで突っ張り先行を見せていったのが深谷選手でした。
盟友とも言える郡司選手が番手の仕事をきっちりとこなしていただけでなく、その後ろでは恩田選手が内側を締めていたと言えども、3着に残したのはさすがの走りと言えます。
その11レースを制したのが、初日の特選から3連勝となった郡司選手でした。同じ準決勝では、10レースを岩本選手、12レースは古性選手とSS班の2人が揃って勝利しています。
そこに昨年のSS班だった佐藤(慎)選手や、地元の意地を見せたい浅井選手も名を連ね、決勝は面白いメンバー構成となりました。
しかも、②浅井選手と⑤佐藤(慎)選手は単騎を選択。そして、①古性選手の後ろは⑧岩津選手と、ここは西日本ラインとなりました。
初日の特選と同じ並びとなったのが、③深谷選手-⑨郡司選手-⑦岩本選手の南関東ライン。九州ラインは④山田選手-⑥小川選手の並びとなっています。
メンバー的には深谷選手の先行一車であり、すんなりならば番手を回っている郡司選手が有利となります。ただ、古性選手もそうはさせじと策を練っているはずであり、単騎の2人では浅井選手の動きも気になるところです。
1番車となった古性選手ですが、スタートを取って前受けをしてしまうと、後方にいる山田選手や単騎勢にイン切りされてしまうだけでなく、その上から深谷選手がドカンと行かれてしまう展開になってしまいます。
なので、スタートは南関東に取らせて、その後ろを狙っていくのではないかと思います。この展開となれば、山田選手や単騎勢が深谷選手を抑えにいったとしても、インを切りながら深谷選手を前に出すことで、4番手からレースを進められるからです。
深谷選手がカマシ次第では、郡司選手や岩本選手に競りかけていく手もありますが。今の古性選手ならば、4番手からでも直線勝負に持ち込めるはずです。
ただ、古性選手と同じことを考えているのが、浅井選手なのではと思います。南関東ラインの後ろが勝負できる位置だと分かっているだけに、ここで古性選手とバッティングする可能性はあります。
佐藤(慎)選手は浅井選手の後ろからのレースとなりそうですが、やはり先行選手の後ろで仕事をするタイプだけに、結果として後手後手になってしまう可能性が高そうです。
ここまで勝ちきれていない山田選手は、状態が上がり切っていない感もあるだけに、深谷選手の先行を捉えるまでには行かないと見ています。
印としては◎⑨郡司選手、〇③深谷選手と南関東の2人を中心にします。△①古性選手は南関東ラインを捲り切れたのならば、3連単の頭も考えられるでしょう。②浅井選手は立ち回りを含めて、どの位置でレースを進めているかに注目したいところです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。