2022/03/09 (水) 12:00 18
「水都大垣杯」の昨年優勝は平原康多(39歳・埼玉=87期)。もちろん今年も輪界の主役の一人として輝きを放っている。2月、取手競輪場で開催された全日本選抜競輪決勝(GI)では単騎の戦いを選択し、無念の8着。レースは展開があるので単騎の選択がどうこうということはない。平原に結果論は、ない。
ただ、深谷知広(32歳・静岡=96期)に付けなかったということは、レースがどうだったではなく、シンプルに平原の人間を掘り下げる。関東の仲間たちの支えがあっての決勝進出。2020年のグランプリで脇本雄太(32歳・福井=94期)に付いたのは、単発でもあり、諸条件が揃ったから。
当方は、平原にも深谷にも思い入れが強いので、決勝の9人が出揃った時に「な、並んでほしい…」と思ったものだ。夢のラインだ。だが、平原は自身のスタイルを貫いた。自分を貫く人間は、人生の主役。脇役は…やはり遠い…。深谷に付けたらどうなりそう、チャンスありそう…みたいな計算は平原にはなかった。
大垣競輪場で10〜13日に開催される開設69周年記念「水都大垣杯(GIII)」の平原は、ちょっともどかしい思いかもしれない。大いに期待している黒沢征治(29歳・埼玉=113期)と森田優弥(23歳・埼玉=113期)が一緒だ。2人ともGI決勝で戦える素質を有しながらも、壁に跳ね返され続けている。
今回の平原は2人に「オレを超える何かを見せてみろ」と思っているだろう。昨年の大会では決勝で吉田拓矢(26歳・茨城=107期)と連係した。ずっと期待し続けてきた吉田は、その年大きく飛躍した。
大垣競輪場に着いた平原は昨年を思い出しているのか。それとも、名古屋記念を優勝した真杉匠(23歳・栃木=113期)を思い、「うん、そうだ」とうなずいているだろうか…。黒沢と森田には大いに嫉妬してもらい、切磋琢磨して主役の道を突き進んでほしい。
S班は平原と郡司浩平(31歳・神奈川=99期)、守澤太志(36歳・秋田=96期)の3人。地元の山口拳矢(26歳・岐阜=117期)がいて、一体どんなレースが繰り広げられるのかとゾクゾクする。
昨年、時代を変える扉を開けた山口。2月はあっせんが止まっての小休止も、立て直す良い時間になったはず。岐阜の共同通信社杯で見せた勝負強さを発揮して、やはり今年も…とファンを魅了する。
無論、この男、主役。春の香りがしてきた今、華やかに咲いてみせる。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。