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猪突猛進

【清水裕友コラム】 「競輪人生で一番ショック」どん底からの脱却を誓う #5 猪突猛進

2022/03/01 (火) 18:00 23

今年最初のGI・全日本選抜競輪は非常に悔しい結果に。唯一獲っているGIタイトルであり、「得意な大会」で本来の力を存分に示すことができなかった。ただ今年のGI戦線はまだ始まったばかり。清水裕友コラム第5弾『猪突猛進』は、全日本選抜後の心理面を中心に、今後への反撃宣言をお届け。最後にはお便りコーナーもあります。

どん底状態 この悔しさをターニングポイントに(撮影:島尻譲)

ーー今年最初のGIが終わりました。残念ながら二次予選で敗退…。

 踏んだり蹴ったり、って感じ。ちょっとかみ合わなかった。

ーーあらためて4日間を終えて、現在の心境は。以前は、ダメだった時はあまり振り返らないと言っていましたが。

 今回はいろいろと思うことが多かった。負け戦でも1番人気に支持してもらっているのに勝ちきれなかったり、お客さんの期待に応えられなくて本当に申し訳ない感じ。温かい声援を送ってくれたファンもいてくださったけど…。GIになれば負け戦でも相手は強いけど、そこで勝てなければ当然、上でも勝てないわけだし。得意な大会だったのにこんな結果で。久々にかなりショックです。真剣に走っているんだけど、内容が伴わず、なんかかみ合わなくて。完全燃焼できたか、と言われればクエスチョンマークがついてしまう感じ。

ーー実際に状態面はどうだったんでしょう。

 脚は軽い感じがあったけど、モガいたら進まない感じだった。そういう時もあるかなって思うけど。練習の感じは悪くなかった。でも今思えば、2、3年前のGIで良かった時は、練習で悪くて本番でいい時が多かった。ひとつ言えることは、周りのレベルがかなり上がっている。それに対して、自分としての脚力はちょっと上がっていないのかな、とか考えてしまう。とにかく周りのレベルが上がっているのは間違いない。

ーー脚力以外で感じることはありますか。

 レースに対する気持ちが以前とはちょっと違ってきているのかな。前はもっと、やってやろうとか、挑戦してやろうみたいな。今も挑戦者だけど、レースっぷりが良くない。もっとがっついていたところがあったけど、今は(レース内容も)一辺倒の感じがある。

「今は一辺倒」(撮影:島尻譲)

ーーまだGI戦線も始まったばかりです。

 今まではたとえこの時期に良くなくても、“ゆっくりと”とか“まだ2月だから、こっから上げていけば”みたいに思っていたけど、今回は違う。ちょっとヤバイ。かなり危機感がある。今までがなさすぎたっていうのもあるけど。これまではそれで通用しちゃってたから。でも今回ばかりはそうもいきそうにない。

ーーついに危機感が。具体的には何か考えていますか。

 本当に自分次第だと思っている。今までは“なんとかなるやろ”で、実際になってきた。今回はちょっとそういうわけにいきそうにない。“なんとかならない”事もあった(苦笑)。レースの面では、自分のレースが読まれやすくなっている。さっきも言ったように一辺倒になっている。この辺もどうしていくか、ってところ。とにかく、買ってくれるお客さん、応援してくれるファンのために頑張らないといけない。

ーーこれも以前に言っていたことですが“弱い自分がイヤ” 。今回はどうですか。

 弱い自分を受け入れてしまっている。負けるのに慣れてきてしまった。それが悔しい。なにかきっかけがあれば。まぁ、そういうきっかけとかも自分で手繰りよせていかないといけない。

ーー周囲から何かアドバイスはありましたか。

 いろいろなアドバイスをもらっても、やるかやらないかは最終的には自分の判断。やっぱり自分がどうするか次第かな。

ーーぼやきキャラが定着しかけたこともありましたが、ここまで落ち込んでいる清水選手を見るのは初めてかもしれません。

 そうっすね…。今まで競輪であまり挫折という挫折をしたことがない。今回も挫折ってわけではないけど。これまでの競輪人生で一番ショックが大きい。

ーーもうすぐ3月になります。

 ちょっと3月から仕切り直しってことで。今は苦しめる時に苦しんどこうかな、って感じ。今まで本当にここまでの事がなかったから。これまでは時間が解決してくれていたけど、今回はそうじゃない。よく考えないと。なんとか乗り越えたい。

ーーこの悔しさ、そしてここからが、競輪選手・清水裕友の転機になる気がします。

 自分次第でいい意味でも悪い意味でもターニングポイントになりそう。いい風になるように。必ずまた強い姿を見せられるように頑張ります。応援よろしくお願いします。

(撮影:島尻譲)


【読者から届いた質問コーナー】

ーー以前、清水選手はご自分を弱いと言ってましたが、どんなところが弱いと思っているのですか?

 脚力的には人よりも優れている、いい部分がないと思っている。ただ、一番弱いのは気持ちかな。

ーーいつまでも捨てられなくて困っているモノ、ありますか?

 物欲があまりなくて、捨てるほどモノを持たないです。ただ、ウォーミングアップで使う器具だったりするものが結構、残っているかな。気分で使うモノを変えたりするんで、レースに持って行く捨てられないモノが増えていますね。

レースに持って行く捨てられないモノが増えています(撮影:島尻譲)

ーー三日坊主に終わったことを教えてください!

 バイクもそうだし(詳細はコラム第4弾)、サバゲー(サバイバルゲーム)も。銃を買ったけど、1回しか行かなかった。選手同士でやりました。基本的に飽き性なんです。よっぽど1回目にはまらないと続かないですね。

ーー「2022年は不言実行!(コラム第4弾)」の写真で飲まれてるのはブラックコーヒーですか? 商品名が知りたいです。

 多分、缶の『BOSS』ですね。ブラックです。缶コーヒーならなんでも飲みますよ。

ーー小学2年の息子が競輪選手になりたいと言ってます。昨年のGP壮行会では、清水選手に握手をしてもらった時はとても緊張して固まってましたが、とても嬉しかったようです。そこで質問です。いずれ競輪選手を目指す時は師匠になってもらいたいのですが、師弟関係はこちらの希望が通るのかな…

 たいていは、見てもらいたい側がお願いする感じですね。見てもらいたい側、見る側、それぞれの事情もあると思うので一概には言えないですけどね。

ーー歳をとったなあと感じることはありますか? それはどういうときですか?

 あまり思わないけど、体重が増えなくなってきたかな。前ほど食べられなくなったというか。ちょっと体重を増やそうかなと考えているんですけどね。以前と比べると、いろいろと考えないといけなくなっている。

ーーいつもカバンに入っているモノを教えてください。

 あまりモノを持たないんで。財布、携帯電話、車のカギくらいかな。

(撮影:島尻譲)

ーー実はやってみたかった習い事ってありますか? 私はピアノをやってみたかったです。

 英会話とか、音楽関係かな。楽器が全くできないので、二つくらいできたらなあって思います。僕も今ならピアノかな。最近、モーツァルトの音楽を聴くことが多くて。家にいる時とか。YouTube も見たりします。モーツァルトといえばピアノなんで。

ーー中・四国地区に、若くて力のある選手がたくさん出てきてますね。清水選手のなかで、とくに注目している選手はいますか?

 山口支部の119期の山崎航(やまさき・わたる)ですね。まだチャレンジですけど、注目しています。同学年なんですけど、練習が結構強いんです。パンチ力があるし、一発のスピードとかもいいモノを持っている。練習の感じをレースで出せれば、もっとやれると思うんですけどね。自転車歴が浅いし、伸びしろはたっぷりあると思っています。

ーー原田研太朗選手のお腹をよくさわっているイメージがあります! 原田選手とソラくん、さわっていて落ち着くのはどっちですか?

 それはもちろん、愛犬のソラくんです(笑)。原田さんのお腹をさわったことはありますが、よくさわっているわけではない! 要所要所でさわっているくらいです(苦笑)。

原田研太朗選手(左)と

(取材・構成=netkeirin編集部)

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清水裕友

Hiroto Shimizu

清水裕友(しみずひろと)。山口県防府市出身。105期。日本競輪選手会山口支部所属。師匠は國村洋。ビックレースはGI「読売新聞社杯全日本選抜競輪」(2020年)、GII「サマーナイトフェスティバル」(2020年)、GII「ウィナーズカップ」(2021年)。

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