2022/02/23 (水) 12:00 12
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
取手全日本選抜競輪決勝を迎えました。今節は風も冷たく、2日目は爆風で最悪のバンクコンディションでした。展開を作る選手が淘汰され、展開を待つ選手に有利に働きました。みなさんも車券戦術で苦労されたことでしょう。
地元期待の吉田拓矢(107期・茨城)は2次予選で敗退。いつもの吉田らしいレースに対する鋭い読みは影を潜め、地元のプレッシャーに押し潰される結果となりました。悔しいでしょうがいい経験だったと思います。今回の反省点を考えて、少しずつ吉田拓矢流を完成させればいいと思います。
決勝メンバーとライン構成は以下の通り。
①古性優作(100期・大阪)ー⑦浅井康太(90期・三重)
③平原康多(87期・埼玉)
④深谷知広(96期・静岡)
⑤新田祐大(90期・福島)ー②佐藤慎太郎(78期・福島)ー⑧成田和也(88期・福島)
⑥太田竜馬(109期・徳島)ー⑨松浦悠士(98期・広島)
今回も平原は深谷の後ろに付きませんでした。昨年のいわき平オールスター競輪決勝、平原は深谷の後ろを回れる番組でした。「関東の選手が頑張っているのに他地区の番手は回れない」のが理由ですが、関東の後輩達は自分の勝利と同じように平原の勝利を望んでいます。形は違えど優勝すれば後輩達も嬉しいし、深谷の後ろを回る事が不義理とも思えません。ましてや「自分達が不甲斐ないから…」とも思わないでしょう。ラインにこだわるあまり、自らの勝利を遠ざけているように思えますが、それは平原にとって受け入れられない価値観なのでしょう。
④深谷が単騎になった事で、追い風になるのが⑥太田ー⑨松浦だと思います。太田は準決勝、野原雅也と小松崎大地の中団争いを冷静に見てかまし処を伺っていました。それを察した郡司浩平が野原を叩きに行き併されてジ・エンド。太田が満を持して捲り、松浦を差させませんでした。番手の松浦は、追走しながらやや内側に自転車を傾け、後ろから来る選手(中割り)のコースを防ぎます。そこから持ち直して太田を差しに行くので、どうしても差し脚は鈍ります。松浦の細かいテクニックを感じる所作でした。
⑥太田が得意なのは「かまし先行」です。できれば前受けしたい所ですが、脚を溜めたい⑤新田がそれを許してくれないでしょう。中団に①古性、単騎の③平原が続いて④深谷、⑥太田ラインと考えます。
S.⑤②⑧ ①⑦ ③ ④ ⑥⑨
後ろになり、抑えることに脚を使わされそうな⑥太田ですが①古性、③平原も中団が欲しいので、自ら動いて太田ラインを出させるはずです。③平原は④深谷の後ろを回らないので⑨松浦の後ろを狙うでしょう。ただ、①古性を叩くことが条件ですが…。
ここでは動いて⑨太田ラインを迎えると考えます。
④
打鐘.⑥⑨ ③ ①⑦ ⑤②⑧
自分の戦法にブレがない④深谷は、ハナから捲り狙いで9番手になるより、単騎でも先行を考えていると思います。⑥太田が番手にハマっている事もあると思います。
④
H. ⑥⑨ ③ ①⑦ ⑤②⑧
①古性は番手が縦足ある⑨松浦だろうが躊躇なく捲りに行きますが、展開は⑨松浦有利に動くと思います。松浦の後ろは③平原と考えて…
狙い目
9=3-1726
⑨松浦の今年の目標は賞金王です。賞金王はGPを獲らないとまずなれません。その一歩となる全日本選抜を優勝することは、1年を計画的に進める上で非常に大切です。
穴目は⑨松浦と捲る①古性が絡む時だと考えます。
←①⑦
←⑨③ ⑤②⑧
B. ⑥
5-2-8917
この展開は⑤新田の優勝が最も近いと考えます。
今年1年、有利に進めることが出来るのは誰でしょうか。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。