2022/02/19 (土) 12:00 9
取手競輪場で「第37回読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)」が20〜23日の4日間に渡って開催される。2022年最初のGIは、きらめくスターたちの競演。その中で最も注目を集めるのは地元の吉田拓矢(26歳・茨城=107期)だ。昨年11月に競輪祭でGI初制覇。S班として臨む地元のGI戦になる。
勝つことしか求められていない。昨年は6月の高松宮記念杯競輪、10月の寬仁親王牌(GI)でラインの宿口陽一(37歳・埼玉=91期)、平原康多(39歳・埼玉=87期)を優勝に導いた。競輪祭は単騎でもぎ取った。
押しも押されもしない関東のエースになっている。タクヤ(吉田)が勝ってこそ…のシリーズだ。
“勝つべき男感”というものもある。それは見えないものだが、「このシリーズは…」と思わせるものがどの開催にもある。今開催のタクヤにはそれが満ちている。仮にKEIRINグランプリで先行でなく、位置取りからの勝負に出ていたら…。なんだか関東のムードは、ファンの思いはぼやけてしまったのでは…と思う。そんなことはタクヤ自身はあまり考えていなかったかもしれないが、“あの先行で”満ちた。
昨年だけでなく、ここ数年、平原を中心としながらも、関東の先頭で頑張り続けた姿がある。吉澤純平(36歳・茨城=101期)にも当てはまるものの、今回はやはりタクヤ。
他の関東の選手も、自身の優勝を狙いながらもタクヤの存在は大きく心を占めているはず。
“タクヤを男にできるか”が関東の選手、皆にかかっている。宿口が前、もしかしたら平原が前! というレースもあるかもしれない。
弟の昌司(24歳・茨城=111期)、有希(20歳・茨城=119期)は柔らかいキャラクターが持ち味で「タクヤはカッコいいキャラが定着して、ズルい! 」と嫉妬するものだが、すさまじくカッコいいお兄ちゃんになってみせる。
新田祐大(36歳・福島=90期)は「S班9人に挑む戦い」とこの1年を位置付けている。実力はS班同格、もしくはそれ以上なのは疑いの余地がないと思うが、新田は今の自分をぶつける覚悟だ。脇本雄太(32歳・福井=94期)は欠場2回のペナルティで出場できず。新田がどんな強さを見せるのか、ワッキーがビッグレースに復帰したらどうなるのか…も注目の一年。それを占うシリーズになる。
KEIRINグランプリ王者の古性優作(30歳・大阪=100期)も真価が問われる4日間になる。ガムシャラに攻めるのは変わりないだろうし、挑戦し続ける態度も変わらないだろう。“古性が走る”というだけでワクワクさせるのは、こうしてキーボードを叩いていても感じるものだ。
他の近畿の選手も有り余る思いがあるだろう。古性の活躍を見て、またワッキーの復帰を見て、もう一度結束は固くなる。ひそかに(失礼! )GIII高松記念(玉藻杯争覇戦)を制した山田久徳(34歳・京都=93期)も「GI優勝を」と口に出している。この男が口に出す意味を知っているだけに、重いものを感じる。
中四国は盛り上がる一方だし、他派も勝負をかけてくる。2022年をまずどの地区がリードしていくのか、関東全盛時代が来るのか…。もしかして、北津留翼(36歳・福岡=90期)が一発ズドンと決めてしまうのか………。 えっ??
それにしても今年、襟を持つポーズが流行りそうだな…。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。