2022/01/30 (日) 12:00 7
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
高松競輪開設71周年記念「玉藻杯争奪戦」決勝を迎えました。
今節の目玉は、昨年の賞金王古性優作とダービー王松浦悠士の直接対決です。同級生でもあり、両者は初日から対抗意識を前面に押し出して戦いました。特選は松浦が前受けから先行、古性は初手の位置取りも失敗して5番手捲り不発。しかし、和歌山記念よりは仕上がっている印象でした。
2次予選は前受けから対戦相手の車番を間違えるボーンヘッドがあったにもかかわらず、何とか捲って力で相手をねじ伏せました。古性のレース後のインタビューは反省ばかりが口に出て、とても1着を取った選手とは思えない険しい表情でした。対して松浦も前受けからホームかましで1着。両者共に、レース内容は違っても「受けて立つ」という点では共通しています。苦し紛れの前受けと、王者の前受けの違いを教えてくれます。準決勝も両者共に王者に相応しい走りだったと思います。
さて、決勝はどのようなレースになるでしょうか?
メンバー、ライン構成は以下の通り。
①古性優作(大阪・100期)ー⑦山田久徳(京都・93期)
②松浦悠士(広島・98期)ー⑤佐藤慎太郎(福島・78期)
④小川真太郎(徳島・107期)ー③香川雄介(香川・76期)ー⑧池田憲昭(香川・90期)ー⑥原誠宏(香川・91期)
⑨中川誠一郎(熊本・85期)
当初、②松浦の後ろに四国勢が付いてラインを形成すると思っていました。しかし、蓋を開けると②松浦の後ろは⑤慎太郎で、四国勢は④小川を先頭に4車並ぶことになりました。④小川が②松浦と別線で走るに至るまで、いろんな要素が重なって決めたと思いますが、「中四国ラインは1つ」のイメージが壊れたことは、これから他のラインに付け入る余地を与えたと思います。
そして、②松浦の後ろを選んだ⑤慎太郎はさすがだと思いました。「自力ー自力」で並ぶ競輪は、時に脆さがあります。番手選手の技量不足で、残る選手が残らなかったり、ブロックが下手くそでラインが崩壊してしまう。泣くのはお金を賭けているファンです。しっかりとした技量を持つ選手が番手を回るのは自然なことだと思います。
地元3車に任された④小川は先行基本で戦うでしょう。2次予選、準決勝と番手で掴んだ勝利です。しかも決勝は、中四国ラインを崩して先頭で戦うのです。それなりの責任を持って走るでしょう。前受けは①古性が受けて立つ。中団②松浦で考えました。
S.①⑦ ②⑤ ④③⑧⑥ ⑨
⑨中川は最終バックまで脚を温存したいでしょうから、戦況をずっと見ていると思います。まず④小川が主導権取りに動く。②松浦も、今節は①古性もいるし小細工するより正攻法で戦うと思います。④小川が動いた上を叩く。そして①古性の出番だと思います。
H. ←①⑦
②⑤
④③⑧⑥ ⑨
←②⑤ ←⑨
B.①⑦ ④③⑧⑥
④小川に先行意欲があっても、番手は自力がない③香川なので、4角まで保つ仕掛けが求められます。自在の④小川では①古性②松浦相手にそこまでの余裕はないでしょう。先行①古性、3番手から捲る②松浦、外を迫る⑨中川のイメージです。番手の⑦山田久徳が優勝すると考えました。
狙い目
7-259ー12593
穴目
9=7ー253
①古性、②松浦共にどうGIを戦うか考えて走っています。記念は前振りなので、いかに自分のイメージを植え付けていくかが大切です。その結果、優勝するのは⑦山田と読みましたが果たしてどうなるでしょうか。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。