2022/01/18 (火) 12:00 2
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は大宮競輪場で開催されている東日本発祥倉茂記念杯の決勝レース展望です。
【東日本発祥倉茂記念杯】で初日から注目していたのが、落車をした【鳳凰賞典レース】以来のレースとなる平原選手でした。
決して万全な状態で臨んでいるわけでは無いと思いますが、それでも大宮の500バンクの走りを熟知した走りは見事でしたし、上手さとテクニックも、このメンバーでは抜けていると改めて思いました。
決勝にはその平原選手を含めた関東が4名、いや、ここは埼玉が4名と言った方が正しいのでしょう。その並びは黒沢選手-宿口選手-平原選手-武藤選手となっています。
南関東のラインが準決勝と同様に深谷選手
-和田選手。九州は特選から臨んでいる山田選手が前で、その後ろが原口選手。成田選手は単騎を選んでいます。関東の並びですが、特選と同じように4車の並び、そして番手が宿口選手となったのも一緒となりました。その特選では関東ラインは前受けからの突っ張り先行となりましたが、この決勝でも前受けをするのか、もしくは中団や後ろから攻めていくのかが、一つのポイントとなりそうです。
黒沢選手はよく前受けを見せていますし、車番的にも関東ラインが前受けをするのではと思いますが、山田選手も前受けからのレースを得意としています。
スタート次第では山田選手が前受けをする可能性も無いとは言えませんが、関東ラインが後ろからのレースを選択したにしても、最終的に先行するのは、後ろに3人を引き連れた黒沢選手となるでしょう。
ただ、その場合は深谷選手が黙ってはいません。2車ということで、本来なら仕掛けを遅らせたいとは思いますが、黒沢選手が先行体制に入ったのを見て、早めに仕掛けていくはず。そこで2人がもがき合いをするようだと、後ろにいる山田選手が捲りを狙ってくるはずです。
その時に番手捲りをしてきそうなのが、黒沢選手の後ろを走る宿口選手です。ただ、今大会の宿口選手はそれほど調子が良くなく、準決勝では黒沢選手との車間を空けていたこともありますが、捲りについて行けない場面もありました。
一方、平原選手は特選のレース内容からして、3番手でも何ら問題はありません。また、番手の宿口選手は黒沢選手と一緒にもがき合っていることで、かなり脚も使っているはずですし、長い直線を生かす走りで、ゴール前では平原選手が先頭に躍り出ていると思います。
相手となるのは平原選手の後ろに付けている武藤選手だと思いますが、捲ってくる山田選手や、深谷選手のスピードに乗る形で、最後に突っ込んできそうな和田選手も気になります。
また、2車のラインのどちらにも付けなかった成田選手ですが、道中は先行意欲のある関東ラインの後ろを走っているのではないかと思います。これは平原選手が早めに交わしていった際に、3番手となる計算もあるのでしょう。車券的にも3着までに来てくれたのなら高配当も狙えそうです。
最後に昨年、S級への特別昇級を決め、この【東日本発祥倉茂記念杯】でも初日、二日目と連勝。準決勝では深谷選手と合わせ切って、微差の4着に敗れた犬伏選手について触れてみたいと思います。
犬伏選手は、さすが119期No.1と言えるだけのダッシュ力と粘り強さも持っています。戦い方としては記念競輪だけでなく、ナショナルチームでも活躍している寺崎選手のように前を取り、一度引いてから巻き返すという、力の競走があっている印象を受けます。
その一方で抑え先行や突っ張り先行はまだ苦手にも見えます。それでも、深谷選手とやりあったレース内容からしても、また若手から強い選手が出てきたと思わせてくれます。開催最終日も、どんなレースを見せてくれるのか楽しみです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。