2022/01/18 (火) 12:00 9
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
大宮競輪倉茂記念杯決勝を迎えました。
今節は関東勢の層が厚く、初日特選から5車(埼玉4車、茨城1車)揃いました。単騎の吉田拓矢(107期・茨城)が展開有利な平原康多を捕らえそうになりましたが、4分の3車輪差で平原が辛勝。勝った平原より吉田の迫力が印象に残りました。
しかし、吉田は2次予選で落車。診察結果は左膝膝蓋骨の脱臼で全治31日。来月行われる地元の全日本選抜競輪(取手競輪場)に出場できるかどうかも微妙になりました。私はこの箇所を骨折したことがないので、今後の競輪人生にどのような影響があるか分かりませんが、これだけは分かります。「怪我してからが勝負」だと言う事。超一流選手は皆、大きな怪我を乗り越えた人ばかりです。平原康多や深谷知広もみ〜〜んなそうです。怪我せず引退した選手を私は知りません。吉田拓矢には気の毒な結果ですが、ここからがスタートラインです。人間誰しも躓いてから真価が問われると思っています。吉田には頑張って欲しいですね。
決勝メンバー、ライン構成は以下の通り。
②山田庸平(94期・佐賀)ー⑥原口昌平(107期・福岡)
③深谷知広(96期・静岡)ー⑨和田真久留(99期・神奈川)
④成田和也(88期・福島)
⑧黒沢征治(113期・埼玉)ー⑤宿口陽一(91期・埼玉)ー①平原康多(87期・埼玉)ー⑦武藤龍生(98期・埼玉)
埼玉が4車揃い、先頭の⑧黒沢のコメントは「先行基本に組み立てる」です。主導権を握るでしょう。しかし、相手があることなので、自分の気持ちだけで主導権が取れる訳ではありません。③深谷のコメントは「自力勝負」ですが、準決勝で犬伏湧也(119期・徳島)と死闘を繰り広げた彼が取る戦法も「力でねじ伏せる」だと思います。
初日特選、黒沢が森田優弥(113期・埼玉)に変わっただけで、メンバーもラインも全く同じ構成でした。前受けした森田が深谷を突っ張って主導権。5番手から山田庸平の捲りに併せて宿口が番手から出ます。宿口は山田に力負けしました。結果的に平原が1着でも宿口は納得していなかったと思います。「今度こそ平原さんにお膳立てしたい」が本心でしょう。山田も2角から捲りに行きましたが「大宮バンクは脚を溜めたものが有利」なので、決勝は遅い仕掛けだと思います。
関東勢が前受け、中団②山田、③深谷が後ろ攻め。深谷は前受けからレースを進めたいでしょうが、枠が悪いので後ろから攻めざるを得ないと思います。④成田は「500走路だし動きを見ながら」と言うコメントなので、競りに行くことはないと判断しました。
S.⑧⑤①⑦ ④ ②⑥ ③⑨
後ろ攻めの③深谷。先行する気満々の⑧黒沢相手に叩くのは難しいと思うので、ここは下がって機をうかがうのがベストです。
←③⑨
H.⑧⑤①⑦ ④ ②⑥
再度巻き返す③深谷相手に、見てから仕掛けるほど⑤宿口には余裕がないと思います。2角から発進するでしょう。
③⑨
B.←⑤①⑦ ④ ②⑥
⑧
狙い目
1ー7ー542
大宮の2角番手捲りでは⑤宿口は苦しいと考え、2着は⑦武藤優先で考えました。
③深谷ともつれると②山田の一発があるかもしれません。
2ー91ー14697
大宮記念は8回優勝し滅法強い平原康多ですが、個人的には⑦武藤龍生に頑張って欲しいです。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。