2021/12/12 (日) 12:00 2
現役時代はKEIRINグランプリを優勝するなどトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は広島競輪場で開催されているひろしまピースカップの決勝レース展望です。
【ひろしまピースカップ】の初日、特選に出走した守澤選手ですが、最終1コーナーで落車して右鎖骨遠位端を骨折。出場を予定している「KEIRINグランプリ」は怪我の回復を見てとなりました。
出場選手の中には「KEIRINグランプリ」への調整に向けて、レースを休む選手もいます。ただ、10月が斡旋停止となっていた守澤選手は、【ひろしまピースカップ】に出走して、少しでもレース感を取り戻したいという気持ちもあったはずです。
ただ、最終1コーナーという思わぬ場所での接触で、とっさの受け身も取れなかったのでしょう。接触が多い追い込み選手ならではのリスクでもあり、非常に残念ですが、早期の回復を願っています。
同じく「KEIRINグランプリ」出走が決まっている松浦選手ですが、自力型ということで、接触といったリスクは少なくなります。その上、番組にも恵まれたこともあって、3連勝で決勝へと進んできました。
今年、地元では最後の記念大会であり、本人も出たかったと思いますし、松浦選手もまた、ファンの声援に答えるような強い走りを見せています。
その松浦選手を含めた地元広島ラインは、決勝に4車が進んできました。先頭は町田選手で、その後は松浦選手-池田選手-三登選手。他のラインは別地区同士で、阿部選手の後ろは和田選手。野原選手の後ろは、これが初連携となる大坪選手。阿竹選手は単騎となります。
この並びとなった時、ポイントとなってくるのは前受けとなりそうな町田選手が、そのま突っ張るか、突っ張らないのかのどちらを選択するかだと思います。
準決勝の12レースでも町田選手に突っ張り先行をさせないために、山田選手(佐賀)が早めに抑えにかかりました。決勝の自力型でそれができそうなのは、野原選手だと見ています。
もう一人の自力型である阿部選手は、車番的にも広島ラインの後ろにいた方が脚を使わないでいられますし、並び的にその後ろにいる野原選手が、レースを動かすことになりそうです。
その時に町田選手は準決勝の様に一度引くのか、もしくは、ラインの長さを生かす形で突っ張っていくのかになりますが、どちらを選んだにしても。松浦選手の優勝は間違いないでしょう。
もし、突っ張った場合はラインの池田選手が2着となり、3着は相手探し。ただ、町田選手が一度引いた場合だと、2着、3着は混戦になる可能性が出てきます。
野原選手が先行した場合、中段にいる阿竹選手や阿部選手は、頃合いを見ながら捲っていくはずです。一方、松浦選手が早めに町田選手を交わしていった場合には、和田選手や大坪選手が、その後ろに切り替えていく展開も考えられます。
広島バンクはみなし直線も長く、今大会も筋違いの結果が多く見られており、もし、松浦選手が優勝しても、堅く収まらない可能性は充分にあります。しかも、広島競輪場は野原選手と相性のいいバンク。穴ファンはどう動き出していくかにも注目してください。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。