2021/01/12 (火) 12:00 0
この時期は強い風が吹く和歌山バンクですが、岸和田キング争覇戦(GIII・和歌山競輪)の予選の後には選手からも、風がきついといったコメントが聞かれていました。ただ、今日の準決勝は風の影響もほとんどなく、実力のある選手たちが決勝に勝ち上がってくれたと思います。
前回の鳳凰賞典レース(GIII・立川競輪)に続き、今回のGIIIにもグランプリメンバーが3名出場しています。とくに和田(健)選手と守澤選手は、初のグランプリユニフォームを着ての参戦ということもあってか、いい調整をしてきた印象を受けます。
決勝にもその3人がキッチリと勝ち上がってくれました。並びですが、南関東ラインが準決勝と同様に和田(真)選手の後ろに和田(健)選手。北日本ラインが、小松崎選手の後ろに守澤選手。中四国ラインは広島の2人が並び、才迫選手の後ろに松浦選手が入る形となりました。
そして浅井選手の後ろには、地区は違いますが恩田選手がつけて、稲川選手は単騎を選択しています。単騎の稲川選手ですが、地元選手として唯一の決勝進出を果たしているだけに、何が何でも優勝したいと思っているはずです。
ライン的には浅井選手の後ろに付ける作戦もあったのでしょうが、捲っていく浅井選手の後ろに付けるよりも、先行できるラインの後ろにつけたほうが、優勝に近づけると考えたのでしょう。
このメンバーで、唯一の先行選手となりそうなのが才迫選手です。今大会は才迫選手も調子がいいので、松浦選手も前を任せたのでしょうし、それを意気に感じて走る才迫選手は、このメンバーが相手でも早めに踏み出していくに違いありません。
自分が稲川選手の立場なら、先行が望める中四国ラインの後ろに付けると思いますし、また、車番的にも隣に入った松浦選手の後ろをすんなり取れそうです。
グランプリ出場メンバーの和田(健)選手と守澤選手は、前を走る選手の仕掛け次第となるでしょう。浅井選手も先行がないので、道中は前を取りに行くと思います。すぐ後ろにラインを組む恩田選手が付けて、その後には南関東ライン、中四国ラインと稲川選手、そして北日本ラインで流れていきそうです。
打鐘の前に北日本ラインが抑えにいったところを、中四国ラインと稲川選手がかましていくとは思いますが、そのとき、北日本ラインが稲川選手のすぐ後ろを取れるようならば、小松崎選手と守澤選手にもチャンスが出てきそうです。
とくに守澤選手は二次予選で、前を任せた選手の脚がなくなった後に自ら捲っていき、そのまま押し切ったレース内容からしても、かなり仕上がっているように見えました。
まとめになりますが、本命は松浦選手で、対抗は稲川選手。連下は守澤選手で、穴は捲ってくる浅井選手と見ています。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。