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筋トレマニア加藤慎平の筋肉で語る競輪

【筋肉診断】朝日新聞社杯競輪祭に出場する近藤龍徳選手を解説!

2021/11/18 (木) 12:00 6

加藤慎平の「筋肉診断」。今回は小倉競輪「朝日新聞社杯競輪祭(GI)」に出場する近藤龍徳選手を解説する。

⚫︎近藤龍徳

撮影:島尻譲

撮影:島尻譲

 身長165cm、体重は59kgと、S級ではデータ上、軽量上位だろう。身長の低さよりもやはり体重に目が行ってしまう。59kgと言えば一般男性の平均体重よりも低い。

 競輪選手には「公式データ詐欺」という言葉がある。言うまでもなく、データ上の体重と見た目がかけ離れていることを意味する。実はこの現象、プロフィールが2年に1回しか更新されないという背景がある。

 しかも競輪選手の場合、データを直すのが面倒くさくて、デビュー当時の体重を記載し続けている人も多い。全競輪選手を代表してファンの皆さんにお詫び申し上げます(笑)

 近藤選手の話に戻ろう。彼は「公式データ詐欺」ではなく、ちゃんと見た目も59kgなのだ。身長が小さいということは絶対的に関節間の長さも短く、付随出来る筋肉量も限られてくる。高身長選手よりも出せるパワーが少ないと言うハンデがあるのだ。また、体重が軽いために強風だと分が悪く、同じスピードでぶつかりあっても弾き飛ばされてしまう。

 それでいて近藤選手は、180cm・90kgクラスのトップアスリートと対等に戦っている。自転車に対する探究心と、誰にも負けないパワー伝達効率、ペダリング、体重配分でS級戦に食らいついている。これには心からの敬意を表したい。

 余談だが、近藤龍徳選手はSNSでも、歯に衣着せぬ言動と、自分の生き方に対する思いをストレートに表現する選手として注目されている。言うなればビッグマウスで、熱狂的なファンもアンチも多い。

 夢を語るのはまったくもって個人の自由だ。ただ、レースに関して自身のある発言をしたからには、結果が伴わないといけない。競輪はギャンブルであり、競輪選手は駒なのだから。どれだけ大きな発言をしようが、結果が伴わなければ、この世界では嘘つきと思われてしまう。

 競輪選手の残酷な「リアル」なのだが、一般のスポーツ選手とは違う事を肝に銘じなければならない。

 近藤選手が僕の同地区の可愛い後輩だからこそ、きつい言い方をしてしまった。

 中部地区の自力選手、そしてファンの願いは単騎でカマシ先行をする事ではない。どんな捲くりにも抵抗(ブロック)の姿勢を見せてアシストし、単騎の時は1番強い自力選手の番手で競る。それが「中部を代表するマーカー」として認められる事だ。

 それが出来る素質は、近藤選手には充分にある。まだまだ伸びシロを感じる近藤選手の今後に期待したい。

 最後に話は変わるが、ガールズレーサー公式プロフィールあるあるを1つ。「現在の体重がデビュー当時より重ければプロフィールを変更しないが、軽くなってる時だけすぐ申し出て変えがち」。今週もありがとうございました。

⚫︎本レースで注目すべき選手は…?

 本開催が終われば、競輪GP2021に出走する9選手が決まる。脇本雄太の欠場は残念だが、ここは117期の「超新星」の活躍に期待したい。

 寺崎浩平、山口拳矢、町田太我、菊池岳仁、石原颯の5名から優勝者が出れば、間違いなく競輪界は盛り上がる。ドームで行われるハイスピードバトルと言うことで、ニューヒーロー誕生の可能性は少なからずあるだろう。あっと驚く結末を期待したい。

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加藤慎平

Kato Shimpei

岐阜県出身。競輪学校81期生。1998年8月に名古屋競輪場でデビュー。2000年競輪祭新人王(現ヤンググランプリ)を獲得した後、2005年に全日本選抜競輪(GI)を優勝。そして同年のKEIRINグランプリ05を制覇し競輪界の頂点に立つ。そしてその年の最高殊勲選手賞(MVP)、年間賞金王、さらには月間獲得賞金最高記録(1億3000万円)を樹立。この記録は未だ抜かれておらず塗り替える事が困難な記録として燦々と輝いている。2018年、現役20年の節目で競輪選手を引退し、現在は様々な媒体で解説者・コメンテーター・コラムニストとして活躍中。自他ともに認める筋トレマニアであり、所有するトレーニング施設では競輪選手をはじめとするアスリートのパーソナルトレーニングを務める。

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