2021/10/30 (土) 12:00 11
防府競輪場で開設72周年記念「周防国府杯争奪戦」が31日から3日の日程で争われる。清水裕友(26歳・山口=105期)が当大会4連覇を目指す。なかなか取材に行ける機会もなく、「行きたいなあ」と話していると「防府記念、面白いっすよ! 来てくださいよ! 」と笑ってくれた。
近い将来、清水が命を懸けて戦う姿を目の前で取材したい。コロナ禍の終息があればかなうはず。ぜひ、動画インタビューを交えながら、その表情、走りを追いたいと思う。今年は外からになるが、熱く見守りたい。
元々の雰囲気からか貫禄を風格を感じさせ、レースになると激アツ。その清水の走りが最高潮に達する防府記念だ。「4連覇。それしかないっす! 」。口に出し、オレを見てくれ、防府記念を感じてくれ…。今年は今まで以上の思いがある。“地元”。地域に根差す競輪の責任に満ち、なおかつ、楽しみを与えてくれようとしている。
朗らかに挑む清水とともに注目を集めるのは松浦悠士(30歳・広島=98期)だ。このところずっと表情は険しい。今年もダービー制覇など活躍しているのには違いないが、昨年には及ばない。落車もあったりで、寛仁親王牌(弥彦競輪)の時は「準決なんか特に感じは良かった」と話したものの、やはり結果が伴わないと実感を得られない。
色んな判断がレースの中でかみ合っていないようで、もどかしいようだった。
「根に持つ方なんですよ。引きずるというか」。ダメなレースを切り捨てるのではなく、なぜダメだったかを突き詰めるタイプ。超一流のもうひとつ上、を目指しているだけに、容易ではないのは間違いない。しかし、挑んでいる。
今を打開するカギは、清水との連係にあると思う。地元で燃え上がる清水との連係はシンプルに松浦の心に火をつける。ここで書こう。「ヒロトとユウジ」。清水と松浦ではなく、もう一度書く。『ヒロトとユウジ』。
魂の高速バスを、2人だけの貸し切り状態に持ち込めるか。ぜひ、現地に行かれる方は下の名前で呼んでほしい。
S級S班は上述の2人のほか、北日本の新田祐大(35歳・福島=90期)と守澤太志(36歳・秋田=96期)になる。寬仁親王牌を賞金ランキング上位にいた平原康多(39歳・埼玉=87期)が優勝したことで、清水、守澤、そして佐藤慎太郎(45歳・福島=78期)の3人が賞金では大きく有利な立場になった。
山口拳矢(25歳・岐阜=117期)が競輪祭で準優勝(賞金1800万円弱)だとかわされる可能性があるが、条件は絞られてきた。新田は優勝あるのみ。共同通信社杯、寬仁親王牌と決勝で悔しい思いをした新田。競輪祭に向けて、鬼の攻めを見せるだろう。
守澤は10月が違反点の累積であっ旋しない処置を受けていた。“KEIRINグランプリにつながる走り”が防府記念、競輪祭の課題になる。
吉田拓矢(26歳・茨城=107期)にとっては力でS班勢を倒せるか。それは競輪祭だけでなく、来年以降にも響く。赤いパンツにふさわしい男なのかどうか、問われるシリーズだ。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。