2025/08/17 (日) 12:10 28
KEIRINグランプリ二度制覇!“ヤマコウ”の愛称で知られる山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
第68回オールスター競輪決勝メンバーが揃いました。今回からオリオンレースが2つになり、シャイニングスター賞を走る選手は準決勝を走れる特権が与えられました。これによって勝ち上がりの間口が広くなり、選手の調子が掴みづらい前半戦でした。
今節は古性優作(大阪・100期)が骨折明けで本調子ではなく「鬼の居ぬ間に」で、他の主力選手がいきいきと走っているように見えました。
決勝メンバー、ライン構成は以下の通りです。
②太田海也(岡山・121期)ー⑧岩津裕介(岡山・87期)
③吉田拓矢(茨城・107期)ー⑥佐藤礼文(茨城・115期)
⑤松本貴治(愛媛・111期)
⑨脇本雄太(福井・94期)ー⑦寺崎浩平(福井・117期)ー①古性優作(大阪・100期)ー④南修二(大阪・88期)
⑨脇本が先頭を買って出て⑦寺崎が有利に進められる一戦となりました。脇本は先の高松宮記念杯でも寺崎の番手で優勝し、「次はお前な」の気持ちでしょう。そこには「寺崎がタイトルを獲ったグランプリは番手で…」というヨコシマな考えではないと思います。脇本は純粋な男ですから、単に寺崎の功績を考えてのことでしょう。ただ、⑤松本や③吉田も易々と脇本の番手を回らせない気持ちはあると思います。
脇本が「俺の後ろを回れ」と言った以上、先行メインで考えていると考えます。確実にライン重視で先行するなら前受け突っ張りです。
S.⑨①⑦④ ②⑧ ③⑥ ⑤
後ろから③吉田が動くとどうなるでしょう。⑨脇本が突っ張って、ダービー王が簡単に引くでしょうか。私は⑦寺崎が優勝するとグランプリで『寺崎ー脇本』のラインが完成する。それがGP優勝を目指す③吉田にとって厄介な並びとなるので、番手で⑦寺崎と勝負することもあると思います。すんなり⑨脇本が先行するなら⑦寺崎。③吉田が番手勝負に出た時が波乱を呼ぶと思っています。
③⑥
打鐘. ⑨⑦①④ ⑤ ②⑧
③吉田にとって、この態勢がダービー王のメンツも保てるし、グランプリの並びも阻止できる一石二鳥の戦法です。その時が②太田の出番でしょう。③吉田のグランプリを見据えた走りが②太田にチャンスを生むきっかけとなるのです。
←②⑧
③⑥
H. ⑨⑦①④ ⑤
B.←②⑧
③⑥
⑨⑦①④ ⑤
・7-1-452
③吉田が近畿分断に動くと…
・2-871-873145
⑦寺崎にとっては千載一遇の大チャンスです。2月の豊橋全日本選抜決勝は、近畿が大量に乗って寺崎と古性が別線で走りました。ところが今回の古性は満身創痍での参加で、別線で走っても南に迷惑を掛けると思い、近畿でまとまることになりました。古性の負傷と高松宮記念杯の決勝後のオールスターということで、⑦寺崎に勝機が巡ってきたのです。わたしは勝負にはタイミングが大切だと思っています。⑦寺崎にタイミングが巡って来たと同時に、ダービー王③吉田が命運を握る決勝となりました。
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。