2021/09/16 (木) 12:00 15
昨年の共同通信社杯は伊東で開催され、山田英明(38歳・佐賀=89期)の1着失格で中本匠栄(34歳・熊本=97期)の繰り上がり優勝となった。山田はKEIRINグランプリ出場をかけた賞金争いのボーダーにおり、1着ならほぼ確定、2、3着でも…という状況だった。
しばらく後、山田は「(KEIRINグランプリのために)2、3着を確保する走りの方が良かったんですかね」と話した…。
しかし、これは「そうじゃないよ」という言葉を聞きたかったからだと思う。山田は叩き上げで、本人には申し訳ないが才能に恵まれたわけでなく、根性一本で強くなった。がむしゃらに戦ってきた男が、決勝でヤワな走りをしたとして、競輪の神様は微笑まないだろう。
今大会、山田は出場権を取れず、中本は前年度優勝者として推薦されての出場になる。中本は所々、活躍を見せているものの、この大会で“もう一度”を期待したい。九州の意志を示すような戦いぶりを見せてほしい。
守澤太志(36歳・秋田=96期)は10月、4ヶ月の違反点で120点を超えたためあっせんしない処置を受ける。2〜5月の仕事ぶりのせいだが、これは戦う選手としてはやむを得ない。“ド”がつくボーダーにいるだけに、優勝はもちろん決勝3着以内で11月を迎えたい。
昨年の競輪祭で熾烈(しれつ)を極めた賞金争いを乗り切った。
怖い顔や、いつもの笑顔、笑っているけど声は乾いている…。守澤の情緒が揺れ動いたシリーズだった。穏やかに迎え、戦い抜くためにも、重要な大会になる。
それでいて佐藤慎太郎(44歳・福島=78期)も揺るがせにはできないところ。北日本ラインとしてまとまるところはまとまるだろうが、直線では両者今まで以上に鬼になって争うのかもしれない…。
そして、もちろん大注目は山口拳矢(25歳・岐阜=117期)。優勝ならば、全体のストーリーは一気に1章進むことになる。2021年がエポックメイキングな年となるわけだ。
有するトップスピードはすでに最上位クラス。その脚の使いどころも知っているので、怖い存在だ。“地元を背負う”というよりは、地元で暴れてやるという気持ちだろう。天下布武の言葉が、こうも似合う男もいまい。
脇本雄太(32歳・福井=94期)は責任感からか腰を痛めたようで、無念の欠場。元々、ずっと痛めているようなものだったので、まずはしっかり治してほしい。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。