2025/06/20 (金) 22:20 3
GI開催特別コラム「山田裕仁の一発逆転!波乱注意報」。KEIRINグランプリを三度制した帝王・山田裕仁が、開催前半〜中盤までの選手の調子をチェックし、展開から"買えるヨーロッパ(468)"を紹介。元選手ならではの視点から、狙い目の2レースをお届けします。▶山田裕仁の見解と買い目はこちら
ヨーロッパ(468)とは?
競輪では各レースにおける「能力的にやや見劣る選手」「競走得点の低い選手」が、4番、6番、8番に入ることが多いことから、ひとくくりにしてこのように呼ばれています。とはいえ、展開やデキ次第では上位への食い込みが十分に可能。その場合には高配当も期待できます。そんなヨーロッパの中から、とくに好走&激走が期待できそうな選手と推奨理由について解説します。
【予想レース①】
岸和田2R 高松宮記念杯競輪(GI)S級一般
①根田空史(94期=千葉・36歳)
②藤井侑吾(115期=愛知・30歳)
③吉田有希(119期=茨城・23歳)
④黒沢征治(113期=埼玉・33歳)
⑤山崎芳仁(88期=福島・46歳)
⑥稲垣裕之(86期=京都・47歳)
⑦小岩大介(90期=大分・41歳)
⑧岡村潤(86期=静岡・43歳)
⑨山本伸一(101期=奈良・42歳)
【初手・並び予想】
←③④⑤(混成)①⑧(南関東)②[⑨⑦]⑥(中部近畿・番手競り)
【注目のヨーロッパ】
④黒沢征治
5日目の第2レースを走っている時点で、調子のいい選手などいるはずもなし。どの選手もデキは冴えず、そういう意味でも混戦必至の一戦である。ここは三分戦で、機動力上位との評価で人気を集めそうなのは中近ラインだが、その先頭である②藤井侑は本調子にはほど遠いデキ。しかも、番手が⑨山本伸と⑦小岩大との「競り」となったことで、②藤井侑には仕掛けづらさも出てしまった。信頼度は、さらに下がることだろう。
だからといって、2車ラインで多勢に無勢な南関東勢も狙いづらい。3車であれば、南関東ライン先頭の①根田空が積極的なレースから主導権--といった展開も考えられるが、ここは中団で立ち回るプランで勝負してきそうだ。ならば、積極的に狙っていきたいのは、③吉田有が先頭の混成ライン。その番手を回る④黒沢征に、ここは展開が向くのではないかと予測する。
初日から走って「デキが悪い」と結論が出ているメンバーよりも、補充で途中参戦した④黒沢征や⑥稲垣裕のほうが、まだ調子はよさそうな印象。とはいえ、中近ラインの最後尾を回る⑥稲垣裕には、さすがに手を出しづらい。番手競りによって②藤井侑が自分のタイミングでの仕掛けが難しくなれば、そのぶん③吉田有は自分のやりたいレースをしやすくなるはず。枠番的に、初手での前受けが叶いそうなのも大きい。
とはいえ③吉田有も調子はイマイチなので、先行策からそのまま押し切るのはかなり難しいはず。また、このラインの3番手を回る⑤山崎芳もかなり調子が悪そうなので、⑤→④決着は考えづらい。となれば、④黒沢征を1着に固定した車券が最良の選択肢となりそうだ。買い目を具体的にあげるならば、「④→③⑤→①②③⑤」の6点がド本線。スジ違いである「④→①②」からのフォーカスも、オッズ次第では押さえたい。
【予想レース②】
岸和田5R 高松宮記念杯競輪(GI)S級選抜
①村田雅一(90期=兵庫・40歳)
②鈴木竜士(107期=東京・31歳)
③守澤太志(96期=秋田・39歳)
④小川勇介(90期=福岡・40歳)
⑤渡部幸訓(89期=福島・41歳)
⑥横山尚則(100期=茨城・33歳)
⑦村上博幸(86期=京都・46歳)
⑧中釜章成(113期=大阪・28歳)
⑨山口拳矢(117期=岐阜・29歳)
【初手・並び予想】
←⑧①⑦(近畿)②⑥(関東)⑤③(北日本)⑨④(混成)
【注目のヨーロッパ】
④小川勇介⑧中釜章成
第5レースは四分戦で、動きのあるレース展開になりそう。コレという中心を欠くメンバー構成で、誰が逃げるのかも読みづらい難解な一戦である。唯一の3車ラインである近畿勢や、捲りの脚に定評のある⑨山口拳が人気となりそうだが、それでもオッズはかなり割れるはず。「ヨーロッパ」の出番も十分にありそうだが、それでも極端な波乱まではない--というのが、前日段階での判断である。
個人的には、ここならばが思いきって主導権を奪いにくるケースもあると考えている。捲るレースのほうが力を出せる⑨山口拳だが、大レースではシリーズのどこかで自力をみせることがある。番手を回るのが他地区の④小川勇とはいえ、誰も積極的に逃げたがらないようなこのメンバー構成ならば、緩んだところで一気にカマシての主導権奪取が十分にあり得る。
とはいえ、⑨山口拳がそのまま押し切れるかどうかは微妙なところで、その番手を回る④小川勇の「差し目」を狙ったほうが面白そう。⑨山口拳が仕掛けるタイミング次第では、④小川勇が差すも逃げた⑨山口拳は残せず、捲ってきたラインとのスジ違いで決まっての高配当も期待できそうだ。本線は⑨=④から流すフォーカスとなるが、④→②⑤⑧から流すパターンでホームランを狙うのも面白い。
⑨山口拳が逃げない展開では、このシリーズにかける気持ちが強い⑧中釜章の主導権という可能性が高い。岸和田がホームバンクである⑧中釜章は追加あっせん組ながら、4日目の選抜戦では難しい展開を捲りきって1着をとっている。初日も結果こそ7着ながら見せ場は十分で、ここに入るとかなりデキのいい部類。番手を回る①村田雅のほうが売れそうだが、それならばなおさら、⑧中釜章が逃げ切るほうに賭けたい。
⑧中釜章が逃げ切るパターンでは、スジ決着が濃厚。ヨーロッパが1着とはいえ、高配当までは期待できないだろう。具体的に買い目をあげるならば、3連単「⑧→①→②⑤⑦⑨」の4点あたりに絞り込んでの勝負がよさそうだ。
山田裕仁
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校第61期卒。KEIRINグランプリ97年、2002年、2003年を制覇するなど、競輪界を代表する選手として圧倒的な存在感を示す。2002年には年間獲得賞金額2憶4434万8500円を記録し、最高記録を達成。2018年に三谷竜生選手に破られるまで、長らく最高記録を保持した。年間賞金王2回、通算成績2110戦612勝。netkeirinでは当コラムのほかに、グレードレースを総括する「山田裕仁のスゴいレース回顧」も担当。