2025/05/31 (土) 08:00 6
平原康多が電撃引退した。青天の霹靂とはこのこと。まさか、あの平原がここで身を引くとは…。驚いたなんてもんじゃない。正直、言葉を失った。長年にわたり関東の屋台骨を支え、競輪界の先頭を走り続けてきた男だ。
ケガに泣かされても、仲間を背負いながらも、自分の走りを貫いてきた。そんな彼が、どれだけの葛藤と向き合った末の決断か、想像に難くない。ただ、ひとつ言えるのは、本当にお疲れさまでした。そして、ありがとう。あなたの背中を、後輩たちはしっかりと見ていたはずだ。
さて、取手記念の話をしていこう。S班からは眞杉匠、郡司浩平の実力者ふたりが顔を揃えてきたが、 やはり今回の注目は地元の吉田拓矢だろう。日本選手権を制して来年S班に復帰、さらにはグランプリ出場権も獲得。まさに“凱旋レース”の様相を呈している。さらに関東勢には、積極的な自力を繰り出す佐々木悠葵も加わる。新旧の実力者が揃った陣容! この層の厚さは群を抜き見応えたっぷりだ。
そしてこの面々を束ねる重鎮が武田豊樹だ! 百戦錬磨の司令塔だもの、全体の動きは自然と引き締まり、レース全体の完成度も上がってくる。例えるなら、昔の運動会のように、先生が「整列! 前、ならえ! 右向け、右!」など号令ひとつで全員がきびきびと動くような整ったチームワークになる。その一体感が生まれれば、ひとりでは発揮できない力が最大限引き出されるってわけだ。
この盤石な関東勢の牙城を崩すのは相当困難なように見え、容易ではない。ただ、唯一対抗できるとすればS班の郡司浩平か。アウェー感は増し増しだが卓越したレースセンスで存在感を示すはずで逆転の一車だね。
さあ、妄想で注目したいのが、前述のとおり武田豊樹だ。コンディションも上向いており、地元開催に向けての意気込みは強い。経験と地の利を武器に流れをつかめば好配当を生み出す可能性もある。そのほかでは、佐藤一伸の自在な立ち回りにも注目。位置取りが上手く、自力を含め自在戦をこなすだけに他のラインには厄介な存在になるね。
さらに、ベテラン志智俊夫。直前の落車は気にはなるが、持ち前の勝負強さに直線のキレは衰えず、コースを見極め突っ込めばライン違いの高配当ってことがあるべ。それから鈴木浩太。先行主体の積極策は見ていて気持ちがいい。番手は抜け出し恵まれる! 鈴木が“幸せ配達人”になるか、そのまま押し切るかはコンディションによるところだろう。
妄想枠外だが武田豊樹が走る9Rには触れておきたい。
木村を目標に武田が抜け出し恵まれる。ここは素直にやってみっかね。まずは並びの整理から。①木村皆斗-⑦武田豊樹-⑧白岩大助の関東ライン、②宮本隼輔-⑤小川勇介で九州コンビ、③伊東翔貴-⑨二藤元太の混成コンビ、⑥長屋秀明-④吉田健市の中部コンビの細切れ戦となっている(⇐①⑦⑧・②⑤・③⑨・⑥④)
初手は木村が前受けから。突っ張るか引いてかますかは展開次第で選択するね。勝負どころで長屋が押さえ切れば伊東が叩きさらに宮本が叩く。そこを木村が一気仕掛け、武田とのゴール勝負⑦=①。宮本に乗り強襲する小川の番手車券⑦=⑤で仕方ないかね。ここは流れに逆らわずに素直に行くべき車券戦術が吉と出よう。
さて、もうひとつ、3Rを狙ってみる。こちらも並びの整理から。中部ラインは①小堺浩二-④北野武史-⑥竹田和幸、②邊見光輝-⑦佐藤一伸-⑧山田義彦の東日本ライン、⑨河端朋之-③大川龍二-⑤西岡拓朗の中国ライン。ここはもう河端が前受けからで、小堺がこの後へ。邊見は後方からになる(⇐⑨③⑤・①④⑥・②⑦⑧)。
邊見が押さえに行けば河端は一旦引き、ここに小堺が切り替える(⇐②⑦⑧・①④⑥・⑨③⑤)。邊見がガンガン逃げ、それをまくる河端の構図になる。河端のスピードが一枚上と見て、本線は河端から大川へ⑨=③、佐藤が切り替え⑨=②まで。
妄想になるかどうか?は微妙だが、河端をブロックして佐藤の台頭。邊見の残りに大川の強襲、山田の流れ込み⑦-②③⑧も一理あるよね。それに伸びる時は鋭い伸び脚を見せる小堺も軽視できねえ。佐藤が台頭する展開を考えるなら⑦=①も押さえておくべか!
吉井秀仁
Yoshii Hidehito
千葉県茂原市出身。日本競輪学校第38期卒。選手時代はその逃げるスピードの速さから「2週半逃げ切る男」と称され人気を集める。1978年競輪祭新人王戦を制し、翌年も小倉競輪祭の頂点に立つ。1980年の日本選手権は完全優勝、1984年オールスター競輪でも覇者となり、選手としての一時代を築き上げた。現役引退後はTV解説者やレポーターとして活躍、競輪場での予想会イベントやYoutubeのライブ配信なども精力的におこなっている。ファンからは「競輪客のような解説者」と親しまれており、独特のひらめきによる車券戦術を数多く披露している。