アプリ限定 2025/05/29 (木) 18:00 16
2024年の「第4回 競輪好プレー大賞」年間大賞に選ばれたのは、「寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」決勝で卓越した判断力と技術を発揮した古性優作選手。ファン投票によって決定するこの賞において、多くの支持を集めた背景には、目を見張る冷静なレース運びと、瞬時の対応力があった。今回のインタビューでは、当該レースの振り返りに加え、日頃の競輪に対する向き合い方や今後の展望について語ってもらった。
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前田睦生記者(以下:前田) 2024年・第4回競輪好プレー年間大賞は、古性優作選手の「寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」の決勝でのプレーが選出されました。おめでとうございます。
古性優作(以下:古性) ありがとうございます。
前田 では、まずはその決勝戦を少し振り返っていただけますか? イレギュラーな動きもあったかと思いますが。
古性 そうですね、近畿3番手を走っていたんですけど、イレギュラーなことも多くて。新山(響平)くんも叩きに行く動きに隙がなかったですし、それ以上に寺崎(浩平)くんのも全然隙がなかった。2日目の失敗も活かして、すごくいい突っ張りを見せていて、本当にすごくいい戦いでした。突っ張られた後、新山くんは脇本さんのところで勝負しました。で、渡部幸訓さんもかんな削りしてきましたが、僕はしっかり外から追い上げて。そこは冷静に見ていたので、想定外の動きも考えてはいましたね。
前田 郡司(浩平)選手が後ろから踏んでくるかな、というのも感じていた?
古性 はい。僕の後ろにもう1人ラインがあれば、張ることもできたんですけど、3番手になってしまったので。自分が郡司くんを止めに行って、僕がしゃくられて、脇本さんがしゃくられる…という展開になるのが一番よくないので。だから、内に入らせないようにして、あとは脇本さんの判断に任せました。
前田 脇本選手が内に差す形にもなったし、スイッチしていくしかないような流れになりましたね。
古性 そうですね、寺崎くんもあれだけ頑張ってくれていたんで…。でも、スピードが鈍ってきたタイミングで、脇本さんが内に差してしまった。半車身くらい前に差していた感じでしたし、スピードも鈍っていたので脇本さんが車輪を抜くのにも「あ、これだいぶ時間かかるな」と思いました。GIの決勝で、それを待ってしまったら、僕と脇本さん、そして寺崎くんの3人がダメになってしまう可能性が高いと判断しました。
前田 そこで冷静に判断を切り替えた?
古性 はい。少し内に差さるくらいなら仕方ないですが、半車身くらいいっていたので。あの時は割り切って、冷静に切り替えていきました。
前田 その後、好プレーとして選ばれたのは、最後に郡司選手が仕掛けてきた場面でした。あの時の古性選手の反応が話題になりました。ちょっと郡司選手の外に差し込んでいるようなタイミングでしたが。
古性 あの瞬間、まさか内が空くとは思っていなかったので、選択肢としては中に行くしかなかったんです。外を回すには距離もあるし、リスクも大きいですから。記念レースくらいなら来ないかもしれないけど、GIでは油断すると、どんどん来ちゃうんで中を勝負にいこうと。真ん中に差したところに郡司くんが上がっていくという感じでしたね。
前田 古性選手的には、郡司選手が張ってきた時、あの反応は準備できていた?
古性 いや、あの時は全く予想してなかったです。でも、仕掛ける直前の挙動で「持っていくな」とは分かったんですけど、挙動が出るまでは全く…。予想はしてなかったですが、あそこで一瞬でも迷ったら終わる場面だったので、とにかく中割りでこじ開けていくしかないと。自分でもよく反応できたなと思っています。
前田 技術としても“立ちバック” が浸透したことで、レース後にファンの多くが「古性の走りはすごい」と明確に感じたレースだったと思います。多分昔だと選手間で「古性やばいことやってるぞ」とか、選手なら理解しやすかった。でも、古性優作が好プレーを通して、競輪のファンの目を引き上げているということがすごい。
古性 そこはメディアの皆さんが注目して取り上げてくださったおかげで、競輪ファンの皆さんの目がより肥えてきたのかなと感じています(笑)。
前田 いやいや(笑)。最近では、古性優作がレースを走ると、「ただ単純に縦に踏むだけじゃない」とか「ただブロックしているだけじゃない」とか、細やかな技術があるというのがファンにも伝わってきました。しかも古性選手はわかりやすく我々にも説明してくれるのですごく勉強になっています。
古性 そうですね。細かい技術はたくさんありますけど、それを取り上げていただけるのは本当にありがたいです。
前田 これからも…というところですね。
古性 そうですね。また頑張っていきます。
前田 今回の受賞は、netkeirinのアンケートでファンの皆さんの投票によって決まりました。実際のコメントをご覧になって、いかがでしたか?
古性 GIの決勝での動きがしっかり伝わったのかなと感じています。
前田 「古性選手しかできないプレー」との声も多くありました。ご自身としては?
古性 僕としては、あまり特別なことをやっているつもりはなくて、「いつでもできる」っていう感覚ですね。そこまで自分のことをすごいとは思ってないです。
前田 ただ、他の選手が同じことをしているのはあまり見ないですよね。
古性 ん〜、でも「僕だったら転けへんな」というのはめちゃくちゃ思います。一回でもミスったら危ないことも多いので、リスクを取らない選手も多いです。でも、そういう練習をしていないだけ、という部分もあります。質問されれば教えますけど、基本は皆さん我流ですね。
前田 そのあたりの技術が浸透すれば、事故も減るかもしれません。
古性 そう思います。現状の競輪は、その技術も含めて競輪だと思うんですけど、そこに意識がいってない選手が多いのも事実ですね。
前田 人馬一体という表現がありますが、自転車とマッチしている感覚は大事ですか。
古性 自転車と自分が一体になる感覚を常に意識してますね。「後輪の後端がどこにあるか」とか分かりますし。例えば「後輪の軸を把握してないと戻れない」とか。実はウィリーがそうなんですよ。後輪の軸が分かっていないとウィリーは綺麗にできないんです。
前田 ウィリーの極意…。
古性 前輪の軸は見えてますけど、後輪の軸は見えていない。でも後輪の軸が分かってないと、綺麗に走ることはできないですし、その感覚がないと車輪で払ってしまうこともありますし、実際に車輪で払う選手は多いですね。
前田 後輪の把握が上手くいっていないから、車輪で払うということ?
古性 それもありますし、そもそも体で当てたくない選手は後輪でいったりしますね。
前田 私は「後輪の軸」とかの話を、ここまで聞いたことがないです。
古性 そこがわかってないと横も大きくできないですし、綺麗にただ行くだけになるので。ただ行っただけになって下手です。タックルです。当たっているだけ。相手のスピードをもらうようにブロックするんです。
前田 「相手のスピードをもらう」という表現が印象的です。ブロックの極意…。
古性 そうですね。僕のブロックの感覚は「相手を止める」じゃなくて、「相手のスピードを自分がもらって、そこから自分が加速する」っていう意識なんです。だから、自分の中では止めにいってるんじゃなくて、もらいにいっているんです。
前田 なるほど。スピードを吸収しているんだ。それが古性選手の強さの源ですね。
古性 僕の場合は、陸上競技でいうと道具を使わないものより使う方が器用に扱えるんで。細かい動きとかも自転車を使った方が、自分の思い通りに動けるんです。自転車がなくてある動きをするよりも、自転車があってその動きをする方が思い通りに動けるんです。
前田 す、すごいな…。
古性 でも、自分では自然にやってるつもりですけど、そう言ってもらえると嬉しいです。
前田 最後に、今後のキャリアにおいて、大事にしていることは?
古性 常に進化すること。感覚に頼って満足してしまうといつか成長が止まってしまうと思っています。進化してなければ意味がないという意識は常に持っていますね。
前田 昨年のナショナルチームの練習も刺激になりましたか?
古性 あれは大きかったですね。質も量も圧倒的で、自分の課題がよく分かりました。あの経験が、さらに上を目指す原動力になっています。
前田 初タイトルを獲った後も、すぐ次を見据えていたんですね。
古性 満足せずに動き続けたのがよかった。自分は「人と違うことをしたい」「誰よりも先に飛びたい」っていうタイプ。その気持ちがずっと根底にあります。これからもその気持ちはずっと持ち続けていきたいと思っています。
挑戦を恐れず、常に自己の限界を更新し続ける姿勢こそが、古性優作という競輪選手の強さの本質である。自身と自転車が一体となる感覚を磨き上げ、あらゆる局面での判断を研ぎ澄ますことで、唯一無二のプレーを実現している。
競輪という競技に対し、技術・思考・探究のすべてを注ぎ込む姿勢は、ダブルグランドスラム達成、そしてさらなる高みへと繋がっていくに違いない。次なるレースでも、また新たな「好プレー」が生まれることを期待したい。
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