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前田睦生の感情移入

【レジェンド神山雄一郎カップ】清水裕友、因縁のバンクで失ったものを取りもどす

2025/05/14 (水) 12:00 19

清水裕友が宇都宮で取り戻す

清水裕友はあの落車が…

 宇都宮競輪場で「開設76周年記念 第1回レジェンド神山雄一郎カップ(GIII)」が5月15〜18日に開催される。昨年末に引退した不世出の英雄・神山雄一郎の名を冠した記念。競輪選手養成所の所長を務めながら、今シリーズは各種イベントにも登場する。

 明るく朗らかな笑顔をぜひ、現場で見つめてほしい。清水裕友(30歳・山口=105期)にとっては、笑顔を取り戻したいシリーズになる。昨年9月「共同通信社杯競輪(GII)」の落車で、重いダメージを受けた。横突起の骨折という当初の診断があったが、体の中に傷を負っていた。

 周回から苦しい、と今年1月の立川記念(鳳凰賞典レース)を途中欠場となった後、肺血栓が見つかった。2月豊橋「全日本選抜競輪(GI)」の時には、最終日こそ意地で1着をつかんだがまるで動けなかった。「半年くらい休んだ方がいいかもしれない」と話すほど、気持ちも落ち込んでいた。立ち直れるのか…。

 4月高知記念(よさこい賞争覇戦)を犬伏湧也(29歳・徳島=119期)の番手で優勝し、今月の名古屋ダービー(日本選手権競輪・GI)は二次予選で失格と流れに乗れなかったものの、失格ではあったが動きそのものは抜群だった。落車があった宇都宮で、流れを取り戻す。

眞杉匠か坂井洋か

エース・眞杉匠

 栃木のエースは眞杉匠(26歳・栃木=113期)がその座に君臨している。しかし、坂井洋(30歳・栃木=115期)もその位置にいておかしくない選手。今は口を空けられているが、坂井としては上回りたい可愛い後輩だ。

 そのためにも、地元記念の優勝が欲しい。GIタイトルと地元記念、この2つを手にできれば競輪選手としては大成功といえる。デビューから華やかに駆けあがってきたものの、足踏みが続いている今こそ、地元記念制覇でモードを変えたい。

 眞杉としては、優勝は譲れない立場になる。昨年の共同通信社杯競輪の優勝は、今の眞杉がいる位置を走りで知らしめるものだった。ある意味、“怖さ”を感じさせるレベルの走りで、やはり競輪界の顔になっている。名古屋ダービー決勝のスピードも激烈で、「優勝、ある、と思った」という最後の最後、接触があり失速しての2着が悔しそうだった。

新山響平も悔しさに満ちて

佐藤慎太郎の確かな歩みがある

 新山響平(31歳・青森=107期)もダービー決勝後、悔しさにあふれていた。「弱すぎて、自分でビックリした」。捲られた事実に沈んでいた。武雄記念(大楠賞争奪戦)の時に体調を崩し、途中欠場になっており「当たり前のことだけど、体調を整えることの大事さを感じた」。気をつけてはいるのだろうが、よほどの注意をこれからの糧にしていく。

 そして、佐藤慎太郎(48歳・福島=78期)のもう一歩だ。まだまだの状態で、厳しい戦いを覚悟しての復帰。しかし、名古屋ダービーの最終日は山岸佳太(35歳・茨城=107期)の仕掛けを差して1着。名古屋バンクは割れんばかりの歓声が沸き起こった。

 シンタロウはセクシャルな決めポーズで、それに応えていた。心が、体が震えていた。シンタロウ少年が憧れた神山雄一郎の名が付いた大会。もう一度、の舞台には絶好だ。


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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