2025/05/10 (土) 08:00 3
タケノコ掘りも一段落。世間はゴールデンウィークを満喫とあって、あっちやこっちと出かける人で行楽地はどこも人、人、人でごった返していた。そんな喧騒とは別世界だが、我らが競輪界もアツかった。そう、日本選手権競輪だ。
6日間の死闘を制したのは吉田拓矢。眞杉匠の渾身のまくりを差し切り優勝を手に入れた。ともに切磋琢磨して築いたワンツーは大きな価値あった。思えば辛酸を舐め、苦労した時期もあったが、仲間の励ましや叱咤激励を糧に我慢辛抱を重ねた結果、大輪の花を咲かせたのだ。これは感動せずにはいられねーよ! あまり感情的にならねえ(?)オレだが、心底嬉しかったね! ヨシタク、本当におめでとうございました。
振り返ってみても、今年の日本選手権競輪は見どころだらけ。現地で観戦できたのは僥倖だったよ。選手の息づかい、気迫、そして声。そのすべてがオレの中にズドンと響いてきた。何より驚かされたのが「ウエイトトレーニング」の流れだな。これは想像以上だった。石原颯、あの下半身はヤバい。もう“太もも”じゃねえ、“戦車の履帯”だよ。
で、村田雅一。失礼ながら、40歳? ホントかよって背中なんだよ。触らせてもらったけど、盛り上がり方が尋常じゃねえ。しかもハロン10秒台って……。こりゃもう、競輪選手は“筋肉アーティスト”だよ。慎太郎さんの名言が脳内再生されるよね。「限界? 気のせいだよ!」。まさにそれ。年齢? 関係ねえって。
さて、そんな熱が冷めやらぬ中で迎えるのが湘南ダービー。ここはもう、郡司浩平だろ! 主役は一人、南関のエースだ。しかも松井宏佑、深谷知広、和田真久留と助演陣が豪華。もう“南関映画祭”状態だ。岩本俊介だが援護かと思いきや、ひょっとすると……自力ってのもあるかもな?
一方でS班・犬伏湧也もいる。この男、爆発力だけならシリーズNo.1かも。ダッシュの破壊力がハマったら、優勝争いに割り込んでくるポテンシャルは十分。荒井崇博との連携もあればなおさらアリだろう。
そして、オレの妄想枠。治田知也、悪くない。でも一番の注目は阿部英斗だ。位置取りもできるし、なにより攻めの気持ちがイイ。こういう選手が、準決とかで大仕事やってのけたりするんだよな。さあ、湘南の海風を感じながら、男たちの熱戦を見届けようじゃないか。競輪は進化している。そして、オレの妄想も止まらない。
妄想枠にはもう当てはまらないのかもしれないが大注目の阿部英斗の10Rを狙ってみたい。まず並びの整理から。
⑦阿部英斗-⑤園田匠-②田中陽平の九州ライン、④古屋琢晶-①高橋広大の関東コンビ、③上杉嘉槻-⑨中井俊亮で近畿コンビ、四国コンビは⑧蒋野翔太-⑥藤原浩の四分戦となっている。
初手は高橋がスタートを決め古屋が前受けから。枠なりで阿部、上杉、蒋野の順(⇐4①・7⑤②・3⑨・8⑥)。勝負どころで蒋野が押さえそこを上杉が叩く。その上を阿部が仕掛け園田とのゴール勝負⑤=⑦。阿部が末を欠き、園田が田中まで連れ込んで⑤-②までが本線になる。
今回は妄想の妄想になりそうだが、ひねりにひねってみるべ。田中がスタートを取り阿部が前受けから。蒋野が押さえそこを上杉が叩く。ここに古屋が乗っていれば(⇐3⑨・4①・8⑥・7⑤②)、上杉がブン駆けし、番手中井が恵まれる。そんなところぐらいか! 上杉の残り⑨-③、古屋の強襲に高橋も絡め①④⑨ボックスってことになれば大波乱なんだが。新鋭・阿部英斗は実力あり! あくまでも妄想は“妄想の妄想”くらいになるが、果たして!
吉井秀仁
Yoshii Hidehito
千葉県茂原市出身。日本競輪学校第38期卒。選手時代はその逃げるスピードの速さから「2週半逃げ切る男」と称され人気を集める。1978年競輪祭新人王戦を制し、翌年も小倉競輪祭の頂点に立つ。1980年の日本選手権は完全優勝、1984年オールスター競輪でも覇者となり、選手としての一時代を築き上げた。現役引退後はTV解説者やレポーターとして活躍、競輪場での予想会イベントやYoutubeのライブ配信なども精力的におこなっている。ファンからは「競輪客のような解説者」と親しまれており、独特のひらめきによる車券戦術を数多く披露している。