2025/04/27 (日) 18:00 21
netkeirinをご覧のみなさん、松浦悠士です。先月末の小倉FIを胃腸炎で欠場して、今月は防府と玉野のFI戦に出走しました。FIも7車立てのレースも本当に久しぶりでしたが(※)、連続優勝という結果を出すことができました。次の名古屋ダービーには良い感覚で入れそうです。(※編集部注…FIシリーズは19年11月の松戸開催以来の5年5ヶ月ぶり、7車立てレースは20年9月の青森記念以来で4年7ヶ月ぶりの参戦)
今回の胃腸炎で体重は4キロほど落ちてしまいました。防府前、わずかに体重は戻せましたが、それでも2キロ〜3キロは落ちたままで強度の高い練習はできず、そこまで追い込めないままシリーズに入りました。胃腸炎は治っていたので体調は良くなっていましたが、コンディション的には決して良いとは言えない状態だったと思います。そんな中でのシリーズでしたが、久しぶりの7車立てでもありました。7車になると9車のレースとは違うので考えることが変わりますし、防府のシリーズはとにかく“レースが忙しい”と感じましたね。
初日は佐々木豪ちゃんに任せていましたが、まさか青板周回のバックから突っ張られるとは思っていませんでしたし、「これが7車の二分戦なのかな」と気づきがありましたね。レースは状況判断しながらになりましたけど、打鐘くらいから自分で仕掛けることになりました。ここでも7車の感覚があって、人数が少ない分だけ先頭までの距離は短く、9車とはだいぶ違う印象を受けました。
最終的に3着でしたが、「こんな距離しかモガけれんのか」って感じでした。コンディションには疑問を持っていたものの、セッティングが出ていたので感覚的にも良いものがありましたし、「ゴール前勝負に持ち込めるかな」という仕掛けで行ったつもりだったんですけど、思いのほか距離が踏めなかったです。体重の落ち込みもそうですし、練習の強度が低かった部分の影響が出たのだと振り返っています。
準決勝は2回目の連係となる西田優大君と走りました。朝の指定練習で一緒にダッシュした時はとても強かったのですが、レースではあっさりと捲られてしまう結果に…。僕も当たりに行きたいところでうまく当たりに行けなかったです。朝に練習で感じた強さと競走本番の強さにギャップがありましたし、西田君も病み上がりだったので、本調子ではなかったのだと思います。7車ということもあるのか、対戦メンバーによるものなのか、仕掛ける場所も早く感じましたし、本当に忙しく感じるレースでしたね。
そして決勝は初日同様に豪ちゃんをマークでした。レースを走る前から伝わってくる気迫があり、「強い気持ちで頑張ります!」という感じでした。取れた位置からどうするかというレースでしたが、九州勢が別線だったのも僕たちにとっては良かったと思います。風も強かったですが、カカリも良かったです。
ただ僕の走りには結構反省点を残すレースになってしまいました。コース取りや仕事の仕方もそうですし、車間の空け具合とか…。優勝という結果とは別に「課題は課題」として考えなくてはいけません。シリーズを通して「自力戦だったら厳しいデキ」だったように思いますが、豪ちゃんが頑張ってくれて、岩津さんもしっかり固めてくれたおかげで優勝することができました。
シリーズが終わって玉野FIまでにはだいぶ強度を上げて練習することもできました。玉野に入る前日には竹内翼君と一緒にモガいたりしたんですが、練習した感じも良く、不安要素をなくしてシリーズを迎えられました。
玉野は3日間通して自力戦でした。初日特選は「しっかり自力を出して勝負したい」とテーマを持って臨みました。最終ホームで藤井侑吾君を合わせようと出ていきましたが、藤井君が強くて出られてしまいました。最初から番手を狙っていたわけではなく、合わせようとしたら出られてしまったので苦し紛れに番手に行った感じです。
良い時なら差せていた気がしなくもない感覚はあるものの、藤井君は最終直線まで強かったです。彼の強さはしっかり体感できたので、今後の走り方は考える必要があるのかなと思いました。
準決勝は周回中に「誘導を残して引いてきたら、先に切りに行こうかな」と考えました。外並走から捲ってもいいかなとも考えていましたが、中団を確保するのが安全策だと判断しました。中川聖大君は初対戦でどのくらいの力量かもわからないので、少しでもリスクを抑える走りをした形です。力がわからないことに加えて、7車のレースは「スローペースになったら強い選手」が数多くいる印象があります。外並走でスローになって、カカってで行けなくなるのは一番に避けたいリスクでした。
そういったことを考えていたので「切れる隙があれば切った方がいいのかな」と意識していました。ただ、そこから皿屋さんが仕掛けた後に後ろが少し空きました。少し引くのに時間がかかってしまいましたが、結構落ち着いて走れていたと思います。普段なら内に行って詰まってしまうようなところでもあるんですが、しっかりタテを出していきたい気持ちもありましたし、三宅達也さんとワンツーを決めなければいけない意識もありましたから、内ではなく外を回した方がいいと判断しました。
2日目の朝は指定練習やアップでかなり良い感触を得ていて、初日よりもだいぶ状態が上がったという自信もありましたが、7車だから届いたというのもあると思っています。
決勝は普段連係している石ちゃん(※石原颯選手)と初対戦することになりました。これは楽しみでしたし、そして強かったです。北津留さんが駆けている上をあんなにあっさりと行くとは思わなかったし、タイムも良かったですよね。僕は石ちゃんの後ろが空いて入れましたが、「3番手からだったら届いていなかったかも」と振り返っています。決勝も2日目と同じでリスクを避けて安全に行きました。しっかり勝ち切れたのも大きいですし、ダービー前のシリーズで優勝することができて、良い流れになったと思います。
もうちょっと“踏み方”とか“間合いの詰め方”とかはなんとかできそうな感覚があり、さらに良い仕上がりにできるのかなと思いますが、玉野のシリーズでは1走ごとに良くなっている感じがあって、戦える手応えは掴めましたね。また、今年は出場権利も獲得していかなくてはなりませんが、ここで9月の共同通信社杯の権利も取れました。
体調も問題ない状態まで戻すことができていますし、ケガも気にならないレベルまで回復しています。練習で疲労がたまってくる時にケガの影響を感じることもありますが、そこまで気にならない程度です。
今はセッティングもいいので、ダービーに向けて特別何かを考えることもなく、体調を崩さずにしっかり練習して、ケアしてシリーズに入っていければと思っています。GIの優勝経験もある名古屋バンク。ダービーで最高の結果を出せるように精一杯頑張っていきます!
それでは今月も質問に答えていきたいと思います!
ーー松浦選手は全国でトークショーをされていますが(ファンとしてはとても嬉しい!)、全国各地で食べたものやお土産に買って帰ったものなどでおすすめのものがあれば教えてください。
青森の六戸だったかな。そこのお魚がおいしかったです。お寿司だったか刺身だったかは覚えてないんですけど、全部がおいしかったですね。あとは石狩に行った時に買って帰れなかったんですけど、新千歳空港のお土産で甘いものに何個かめぼしいものがあったんですよ。その頃は甘いものを制限していて食べなかったので、いつかリベンジしようと思っています。
ーーきつい練習をして競輪選手になるのは賞金で儲けたい、とにかく自転車で走るのが好き、勝負事が好き、勝つことが好きなど、いろいろ理由があるかと思いますが、松浦選手は何を得たくて競輪選手をやっていますか?
最初は自転車競技をやっていたので、高校生の時にトラック競技の面白さを感じて、「これを仕事にできるんだったら最高だなぁ」って思って始めたんですけど、選手になってからはとにかく負けたら悔しい、勝ったら嬉しいが強いです。競輪って全部トーナメントなので、僕の中では“優勝した時の喜び”っていうのが一番大きいです。賞金はその結果についてくる感じだと捉えています。僕はとにかくその開催を優勝したいだけですね。今はとにかくGIを優勝したくてやっています。でも、GIに限らず、どの開催でも優勝は嬉しいですね。
ーー競輪選手は「外車!」とか「高級腕時計!」とかのイメージがありますが、松浦選手にあまりそういったイメージがありません。外車をどんどん乗り換えたり、高級腕時計を予約して買うとか、実はそういうことも楽しんだりしていますか?「これにはお金を惜しまない!」というものがあれば教えてください。
時計はあまりつけないので買わないですけど、車は外車に乗っていますよ。どんどん乗り換えたりみたいなことはしていませんけど、車に関しては興味がないわけではないですね。お金を惜しまないものはやっぱり体のケアとか食事とかになりますね。自分の体に投資することについては、一切惜しまないですね。
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松浦悠士
Matuura Yuji
広島県広島市出身。日本競輪学校第98期卒。2010年7月熊本競輪場でレースデビュー。2019年の競輪祭でGI初優勝を飾り、翌2020年のオールスター競輪では脇本雄太との死闘を制し優勝、自身2つ目のGIタイトルを獲得した。その翌年2021年には日本選手権競輪を“有言実行”で優勝。3つ目のGIタイトルを獲得し、グランドスラムへの意識を高めた。2023年はGI優勝こそなかったが、賞金順位でKEIRINグランプリの出場権利を獲得。広島カラーを象徴する3番車で挑んだ大一番は最終直線で渾身の差し切り勝ちを決め、見事グランプリ王者となった。チャンピオンとして臨んだ2024年は度重なる怪我に苛まれてS班の座を明け渡すことになったが、グランドスラムを目指す気持ちには一点の曇りなし。中国地区の大エースとしてさらなる飛躍を目論む。