佐藤水菜の強さは変わらない

　岐阜競輪場で今年のガールズGI初戦となる「第3回オールガールズクラシック(GI)」が4月25〜27日に行われる。ガールズGIも定着し、年間のストーリー性がはっきりしてきた。選手たちの意識も、GIがあることによって変わり、大会の熾烈さは増すばかりだ。

　昨年のガールズグランプリは勝てなかったものの、佐藤水菜(26歳・神奈川＝114期)の強さは変わらない。3月トルコのネーションズカップでは、スプリントの予選であるハロンのタイムで10秒170を叩き出している。トルコのコンヤという場所は高地にあってタイムが出やすいことはあっても、出せることのすごさに変わりはない。

　トップにいながら、さらに進化していることが証明されている。中国のユアン・リインが9秒976と女子選手初の9秒台に突入しているわけだが、世界と戦う強靭さは恐るべきものがある。余裕を持ったレース運びができる分、3連勝で力を見せつけるのが、もはや普通と言えるかもしれない。

GI初優勝の意味

　GIを勝てばグランプリ出場が決まる。男子と同じ決まりになり、文字通り誰もが勝負をかけてくる。意欲、いや、欲、と言っていいだろう。太田りゆ(30歳・埼玉＝112期)のGIにかける思いは、今回突出していると思う。昨年8月パリ五輪の後、ガールズケイリンに専念することになり、1点を目指している。

　絶対の目標はガールズグランプリ出場。「GIを勝てれば一番。でも勝てなくても賞金では乗れるように」と明確に言葉にしている。覚悟の決まり方も違う。そのどう猛さが太田りゆらしさであり、今回はそれが爆発することに期待したい。

　梅川風子(34歳・東京＝112期)もパリ五輪でナショナルチームを卒業している。五輪出場がかなわなかった悔しさは言い知れぬものがあるだろう。大きなことを言うタイプではないものの、芯の強さがある。サトミナに迫れる力のある2人は、どんな結果を残すのか。

無の境地

　児玉碧衣(29歳・福岡＝108期)は虚脱感からか、今年は気持ちが入り切らないと話し続けている。積み重ねてきたものがあり、背負うものがある。いろいろなものに応えていかないといけない立場で、苦しい面もある。

　だが、結果を出さなければに固執せず、今ある自分であろうとする姿は、無の境地に見える。“仙人”になったのかもしれない。欲が原動力だった女傑は、自然の走りを見せている。流れに逆らわず、今の自分にできる走りに没頭できることは、もしかしたら最強なのかもしれない。

　尾方真生(25歳・福岡＝118期)はフェスティバル、坂口楓華(27歳・愛知＝112期)はコレクション、とガールズのビッグレースを勝っている。GIタイトルを取れるか、がこれからの選手人生のすべて。壁を打ち破れるか。久米詩(25歳・静岡＝116期)も今年は復活の一年にしたい。

ガールズ13年、多士済々

　昨年、2回目のガールズグランプリ制覇を成し遂げた石井寛子(39歳・東京＝104期)、パールカップで復活優勝を遂げた石井貴子(35歳・千葉＝106期)や、年間通して活躍した尾崎睦(40歳・神奈川＝108期)や当銘直美(28歳・愛知＝114期)。小林優香(31歳・福岡＝106期)や山原さくら(32歳・山口＝104期)、柳原真緒(27歳・福井＝114期)など、名選手といえるガールズが多くいる。

　ベテランとなった小林莉子(32歳・東京＝102期)や加瀬加奈子(44歳・新潟=102期)、いつまでも元気な奥井迪(43歳・東京＝106期)もカッコイイ。三国志のようなゲームが作れそうなほど、豪華なメンバーが生まれてきた。

　この大会、新たに輝く星も生まれるのか。前座の3つのシリーズにも、原石がいる。岐阜の地で、見逃せない3日間がある。金華山を眺め、歴史を感じながら味わってほしい。

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