2025/04/25 (金) 12:00 5
netkeirinをご覧の皆さんこんにちは、金子貴志です。桜の季節も過ぎ、初夏を感じさせる今日この頃ですね。今回は少し季節をさかのぼって、雪中キャンプについて書いていきます。
3月の5、6日に豊橋競輪場の食堂「ニュー八千久」の神村さんと、旧一宮競輪場の近くにある「ふた寿し」の大将と3人で岐阜県内のキャンプ場へ『雪中キャンプ』に行ってきました。「ふた寿し」には以前から通っていましたが、大将がキャンプ好きということで意気投合し、今回のキャンプが実現しました。
この時期は例年、雪はほとんど残っていないのですが、今年は寒波の影響で雪が多かったおかげで、3月でも雪が残っていました。キャンプ場に向かう途中、トンネルを抜けたらそこは白銀の世界。私は雪中キャンプが憧れだったので、その時点でテンションが上がりました。先にキャンプ場に到着した私は、神村さんと2人で大将が到着するのを今か今かと待ちわびていました。
普段はソロキャンプが多いのですが、今回は大将がテントの設営から食事まですべてやってくれるという『おもてなしキャンプ』です。お寿司をメインで、あとはおまかせでした。お昼から手の込んだ料理が次々振る舞われ大興奮でした。
まずはしゃぶしゃぶ、その後の〆にしゃぶしゃぶの出汁から取ったカレーをいただきました。当日はあいにく雨が降っていたのですが、美味しい料理で心が満たされると雨の音さえ心地良く聞こえてきました。そして雨の音を子守歌に昼寝… なんという贅沢な時間でしょう。
この日のキャンプ場は他のお客さんがおらず、ロケーションの一番よいところにテントを張ることができました。そこには前にいたお客さんが作ったであろう「かまくら」があったので、神村さんと中に入って遊びました。キャンプには、少年時代の夢を叶えるようなロマンがあるのです。
もちろん大人のロマンもあります(笑)。『雪にビールを刺してキンキンに冷やして飲む』というのをどうしてもやってみたかったのです。今回雪中キャンプが実現したおかげで、この夢も叶って最高の時間でした。
最高の時間はまだまだ続きます。夕食も贅を尽くしたフルコースでした。大将が仕込んでくれていた味噌おでんに、揚げたての串カツを添えれば味噌串カツの完成です。雪で冷やしたビールが進んで、いつもより飲み過ぎてしまいました(笑)。
そしてメインディッシュは大将がその場で握ってくれた寿司! 寒い場所で寿司を握るとシャリが固くなってしまうので、雪中キャンプでなかなか寿司は食べられません。大将はいちばん美味しい状態を味わえるように、ジャーを持参してくれました。シャリが冷めないよう握りたてをすぐに食べられるようにしてくれました。日本酒とのペアリングは相性ばっちりで、幻想的な雰囲気のなかで食べる寿司は言葉にできないほどの美味しさでした。
私たちが昼寝をしている間に大将が仕込んでくれたチーズやソーセージの燻製を肴に、ウイスキーを飲みながら語り合いました。最高のロケーションと最高の食事、そして最高の仲間と幸せな時間を過ごせました。
翌朝は前日とは打って変わって晴天。鳥のさえずりで目が覚めました。太陽に照らされた雪が輝き、なんとも言えない最高の景色でした。
大将が前日のしゃぶしゃぶから取った出汁でつくった鶏ごぼうの釜飯と豚汁を朝食に食べると、優しい味で体中に沁みわたりました。夢だった雪中キャンプ、そして初めての『おもてなしキャンプ』は最高の経験になりました。私のキャンプシーズンはまた来年です。ぜひ、またお願いしたいです。
今回は『おもてなしキャンプ』でしたが、普段はひとりでキャンプに行くことが多いです。テントで寝たり食事をつくったり、あえて不自由な自然の環境に身を置くことで、温かい食事や快適に寝られることのありがたみに気づくことができます。
競輪選手の生活は、基本的に月に2回のレースに向けて動くので、時間に追われてあっという間に時が過ぎてしまいます。キャンプで大自然のなか過ごしていると、時がゆっくり流れているように感じて、別の世界にいるような感覚になります。日々せわしなく過ぎていく時間も充実していますが、キャンプに行くと時間がゆっくり流れるので、過ぎた時間を取り戻すような感覚が心地よいのです。
日々技術の進歩で便利なツールが増えるなか、あえて正反対のアナログで不便なことをすることで、今の環境が恵まれていることがわかるなど、見える景色が変わってくるかもしれません。
私の場合はレースで自分の役割を全うできるように、リフレッシュの時間を過ごしています。自分にゆとりがあれば冷静になれるし、判断も冴えます。このコラムを読んでくださっている皆さんにもさまざまな価値観があると思います。例えばゆっくり本を読んだり、たまには手間をかけてコーヒーを入れてみたり、なにかに追われず過ごす時間をつくってみてはどうでしょうか。限られた時間を自由に使うということそのものが贅沢なのではないかと感じています。
今月29日からは名古屋競輪場で「日本選手権競輪」が開催されます。私は前半3日間、誘導員として参加します。
日本選手権は6つあるG1の中でも最高に権威のある大会です。気候もいいこの時期に、皆さんぜひ名古屋競輪場に足を運んで、生の競輪を楽しんでください。
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Kaneko Takashi
愛知県豊橋市出身。日本競輪学校75期卒。2013年には寛仁親王牌と競輪祭を制し、同年のKEIRINグランプリでも頂点に。通算勝利数は500を超え、さらには自転車競技スプリント種目でも国内外で輝かしい成績を収めている。またYoutubeをはじめSNSでの発信を精力的に行い、キッチンカーと選手でコラボするなどホームバンクの盛り上げにも貢献。ファンを楽しませることを念頭に置き、レース外でも活発に動く中部地区の兄貴的存在。