2021/08/25 (水) 12:00 4
26〜29日には小田原競輪場で開設72周年記念「北条早雲杯争奪戦(GIII)」が行われる。
松井宏佑(28歳・神奈川=113期)の走り、深谷知広(31歳・静岡=96期)との連係に注目が集まる。郡司浩平(30歳・神奈川=99期)が欠場となったのは残念だが、追加参戦深谷の存在が、新しい意味を生む。松井の今の立ち位置を示すこと…。
周知の通り、松井はナショナルチームの強化指定選手「A」に所属し、パリ五輪を目指している。東京五輪に出場した新田祐大(35歳・福島=90期)と脇本雄太(32歳・福井=94期)が日本代表を卒業し、後を継ぐ。
深谷は絶対的なエースとして、また国際大会の経験の少ない選手たちをまとめ、引っ張る重要な立場になる。松井はその真下で、深谷を脅かさないといけない。実力的には他のメンバーと同等と思われるが、松井が厳しく上に挑むことが、チーム全体を強くしていく。
松井は2018年7月に当地小田原でデビューしてから、爆発的なパワーとスピードで出世してきた。S級に上がってからは、それでも一歩一歩。ラインの先頭の意味を胸に、仕事をこなしてきた。
郡司の前で引っ張り、次は一緒に勝ち上がる、次はワンツー、次は押し切って…と歩んできた。昨年大会の決勝では3番手の和田真久留(30歳・神奈川=99期)が突き抜け優勝。松井は2着で郡司は3位入線も失格という結果だった…。
“3人で確定板”を逃した悔しさを3人で共有していた。
今年は深谷と和田、そして南関でどんな結果を導くか、特に深谷と…。
北条早雲はたたき上げの戦国武将。新田、脇本、深谷、そして河端朋之(36歳・岡山=95期)、雨谷一樹(31歳・栃木=96期)らが築いた足利室町の時代が過ぎた。ナショナルチームは戦国時代に突入する。伊豆で覇を握るのは…。
深谷は基本的に自力。そのスタイルは険しさすら伴う。オールスターの走りを見た後なら、なおさらだ。松井は今の深谷に前を任せてもらい、何ができるか、どんな結果を残せるか、は今シリーズだけでなく、パリへの道に通じる…。
松井はおとぼけでゆるキャラの一面を持つが、その男が本気を超えて「東京の無念はパリで」と、新田と脇本の仇討ちに乗り出す。翼よ、これがパリの灯だ。仲間やファンの、心をともす。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。