2025/03/30 (日) 12:00 4
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は前橋競輪場で開催されている「まえばし春風賞」の決勝レース展望です。
このコラムをお読みになっている方の中には、花粉症に悩まされている方も多いのではないかと思います。
選手からも「花粉症で…」とのコメントも見かけており、その対策にも苦労しているようです。前橋競輪場の屋内バンクで行われている「まえばし春風賞」は、屋外バンクよりも影響は少なくなっていると言えども、やはり、全ての花粉をシャットアウトすることはできません。
ただ、今大会で花粉の影響など関係無い走りをしているのが、前橋競輪場がホームバンクである篠田選手です。
篠田選手は123期で、決勝メンバーでは最も若い26歳。高校から自転車競技を始めており、123期の中でも在所3位という優秀な成績を残しました。
2023年にデビュー後も、競技で培ったスピードを武器に、先行を主体とした走りを見せていくと、昨年の5月にはS級に特別昇級も果たしています。
今大会も1次予選、2次予選とバックを取っていっただけでなく、準決勝ではインに包まれる形となったものの、外の進路が空いてからは一気の捲りで、今大会の初勝利を挙げました。
屋内バンクは屋外バンクよりも風の抵抗が少なくなるだけに、篠田選手のようなスピードに秀でた選手が有利となります。決勝では後ろに佐藤選手、阿部選手と3車で並んだだけに、ここでも思い切りのいいレースが期待できそうです。
ただ、333バンクならではの駆け引きの難しさがあるのは、大荒れだった準決勝の結果にも表れています。また、後ろに山崎選手をつけた高橋選手も、2車とは言えども先行していく可能性があります。
決勝の並びですが、関東ラインが④篠田選手-①佐藤選手-⑧阿部選手。四国ラインが⑦佐々木選手-②小倉選手。唯一の混成ラインとなったのが③和田選手-⑥伊代野選手で、福島ラインが⑤高橋選手-⑨山崎選手と細切れ戦になりました。
車番的には関東ラインが前受けをしていきそうですが、篠田選手は突っ張り先行まではしたくないはずで、高橋選手や和田選手がインを切りに来た時には、車を下げると思います。
後方となった篠田選手は再びポジションを上げていって、抑え先行をしていくのではと見ていますが、ここでスピードが緩んで、高橋選手が先捲りをしていくようだと、そのまま押し切ってしまうのかもしれません。
高橋選手と同じように捲りを狙っているのが和田選手と佐々木選手です。ただ、和田選手は今大会の調子がそこまでいいとは言えませんし、佐々木選手は仕掛けのタイミングが遅くなる傾向にあります。
高橋選手の先捲りが決まった時には、番手にいる山崎選手の優勝も見えてきます。関東ラインを引きつれていく篠田選手は、抑えて先行体勢に入った勢いそのままに、一気にトップスピードに上げていけたのならば、番手にいる佐藤選手とのワンツーフィニッシュも考えられます。
印としては◎⑤高橋選手、〇⑨山崎選手、△①佐藤選手で、×は③和田選手です。人気を集めるのは競走得点上位の和田選手となりそうですが、連日大荒れの大会だけに、決勝もまた人気薄のラインかつ、筋違いで狙ってみる手はあると思います。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。