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【ウィナーズカップ】正真正銘の“S級S班”へ「今は仮のSSな感じ」犬伏湧也が心境明かす/伊東G2直前特別インタビュー

アプリ限定 2025/03/18 (火) 18:00 12

競輪界の頂点を決めるKEIRINグランプリ。2024年、犬伏湧也は惜しくもボーダー上に乗れず、"補欠選手"という結果に終わる。この苦い経験をバネにして2025年はGI優勝を目標に定め、四国のエースはリベンジに燃えていた。しかし2月、S班に所属していた北井佑季のドーピング違反が認定され、28日付でS班から除外されることが決定。同時に、犬伏のS班追加選出が発表された。4月1日より犬伏はS級S班に所属となり、最高階級の立場でレースを走る。今、犬伏湧也は何を考えているのか。改めて現在の心境と意気込みを語ってもらった。(取材・文=アオケイ・八角あすか)

正真正銘の“S級S班”としての9か月が始まる…!(撮影:北山宏一)

「僕が四国を引っ張っていく」、リーダーとしての自覚

ーーまずは前走・玉野記念の決勝をふり返っていただきます。

犬伏 やっぱり分かれるからには、しっかり勝負しに行こうと。初手の並びで単騎勢が後ろにいて迷った部分があって。(取鳥)雄吾さんが来ているのが見えて出させないように踏んで行ったけど、ダッシュが凄くて出られて締め込まれてしまった。そこを上手く併せられていれば、(清水)裕友さんとの連結も外れることなく松浦(悠士)さんと3人で決まっていたかもしれない。雄吾さんの気迫がすごかったですね。

取鳥雄吾(4番・青)の気迫の走りに「上手く併せられていれば…」(写真提供:チャリ・ロト)

ーー地元3人と別線。どういった心境でしたか?

犬伏 心苦しい部分もあったけど、決勝に多く勝ち上がることはいいことなので。四国からは僕だけでしたが、中国からはたくさん勝ち上がったので、今後のグレードレースに向けては良かったのかなと。

ーー中四国地区の雰囲気をどう感じていますか?

犬伏 雰囲気はすごくいいと思います。中国は松浦さんと裕友さんが中心となって引っ張っている感じがある。あとは僕が、しっかり四国を引っ張っていければ。

ーー今年最初のGI・全日本選抜競輪(豊橋)はどういう大会になりましたか?

犬伏 去年は前半戦が良くなかったので、結構、気合を入れて臨んだ大会でもありました。準決勝までは行けたけど、そこでやっぱり近畿勢の層の厚さにやられた。

近畿勢の厚い層に敗れた豊橋GI準決勝(写真提供:チャリ・ロト)

ーー他地区の勢力をどう見ていますか?

犬伏 南関は去年に引き続き強いですし、いつも勝ち上がるメンバーがしっかりと勝ち上がってくる印象がある。近畿は古性(優作)さん、脇本(雄太)さんを中心に勢いづいてきている感じがありますよね。全日本選抜の準決勝みたいに、ああいうメンバーで4人に並ばれるとキツい。

 もっと僕たちも層を厚くして戦えるのが理想です。中国は比較的、勝ち上がってきていると思うけど、四国はなかなか。もっとこう、若手というか、松本貴治さん、佐々木豪君たちと一緒に勝ち上がることができれば、地区全体としてもチャンスが増えるのかなと。

S級S班へ 心境と意気込みを語る

ーー4月1日付でS級S班となります。今のお気持ちを教えてください。

犬伏 やっぱり複雑な気持ちはありましたね、当初は。でも、チャンスを与えられたと思うので、なるからにはS班として、しっかり胸を張って恥ずかしくないレースをしたいなって気持ちです。

ーー「複雑」というのは…。

犬伏 去年は賞金ランク10位という結果に終わって、グランプリの補欠というものも味わって終わった一年だったので。GIを獲る、獲らないもそうですし、グランプリも走らずにSSっていうのは自分の中では複雑でした。

4月1日付でS級S班、複雑な心境…(撮影:北山宏一)

ーー差し支えなければ、グランプリの補欠となって当日までの過ごし方ってどんな感じだったのか伺ってもいいですか?

犬伏 グランプリ当日まで何が起こるかが分からないので、しっかりと調整はしていました。

ーー犬伏選手はS級S班にどのようなイメージをお持ちですか?

犬伏 2,000人ちかくいる選手の中で9人しかなれない競輪界のトップ。自分自身、デビュー当初は全く想像もつかなかった場所だけど、徐々に見えてきて。こんな形ではあるんですけど、SSになれたっていうのは嬉しいですね。余計に身が引き締まるというか、より練習に熱が入るというか。

ーープレッシャーはありますか?

犬伏 プレッシャーはあると思うんですけど、簡単に言ったらラッキーで上がったSSなので。この機会をチャンスと思って、一年間やりたいなって思いますね。S級1班よりもチャンスが広がるわけなので、そのチャンスを活かして“正真正銘のS級S班”と言われるようになりたい。今は自分の中でも“仮のSS”という感じが強いので。SSには変わりないかもしれないけど、いずれはGIを獲ったり、賞金ランクで上位に入ってSSになりたいです。

ーー犬伏選手の強さの定義や理想のレースを教えてください。

犬伏 うーん、強い選手はやっぱり気持ちが強い。メンタル面が安定しているような気がします。理想のレースは新山(響平)さんみたいにできたらいいですけど、あの走りをしても勝てないっていうのが競輪だと思うので。隙のない選手になりたいですね。古性さんとかは、やっぱり隙がない。脚力もあって隙が少ないって、今の競輪にはすごく重要なことだと思います。

犬伏湧也が目指すのは“隙のない選手”(撮影:北山宏一)

ーーご自身に足りないものをどう分析していますか?

犬伏 組み立てが上手い方ではないので、そこが一番大きいですかね。視野を広く見られたら、もっといいレースができるんだろうなと思う。松浦さんや裕友さんは、すごく視野が広いし、隙が少ないように感じます。

師匠・小倉竜二からの言葉「SSとしての自覚を」

ーー先日、小倉竜二選手も犬伏選手に期待する点に関して「組み立て、ヨコの強化」を挙げていました。

犬伏 そこはこんこんと言われていることなので、ちょっとずつ自分も意識しながらレースを走っている感じです。

ーー小倉選手の存在は大きいですか?

犬伏 私生活を含めて、色々な面において厳しくしてくださる師匠ですかね。小倉さんも若い時にGIを獲ってSSクラスの選手としてやってきた選手。徳島では小倉さんだからこそ言えることがたくさんあるので、それを僕に伝えてくれているっていうのは本当にありがたいことだと思うし、厳しく指導してもらっています。

「SSとしての自覚を持って頑張れ」師匠・小倉竜二からも激励(撮影:北山宏一)

ーーSSになるにあたって、小倉選手からエールなどはありましたか?

犬伏 「お前がSSなんやけん、胸を張ってしっかりSSとしての自覚を持って頑張れ」と言われました。

ーー最高の結果を出して、いつか小倉選手を泣かせたいですね。

犬伏 あははははは。多分、泣かないですね(笑)。怒られてばかりじゃないですよ、いい時はちゃんと褒めてくれるので。いい時はいいって言ってくれる、本当にありがたいです。

ーー「言われるうちが華」なんて言いますし、言ってくれる存在はありがたいです。

犬伏 そうですね。それは言われます。「お前、言われることはありがたいと思えよ」って言われながら、いつも怒られているので(笑)

人生を変えた「競輪」。徳島勢初のSSとして、視線は再来年度の中四国のビッグレースへ

ーー趣味やオフの日の息抜きはどうしていますか?

犬伏 競走が空いている時なんかは、ごくたまにゴルフに行くぐらい。練習も行かないし、そんなに上手くないんですけど(笑)。気が向いたらラウンドを回ろうかなって。でも、練習していないからボロボロです。

 競走のことばかり考えてしまって、自分がしんどくならないように。たまにそういう息抜きはしています。あとは休みの日は基本的に子どもとゆっくりしていますね。

ーーご家族の存在は大きいですか?

犬伏 大きいです。子どもたちもどんどんと大きくなってきて、自分が走っている姿を見てくれている時もある。「頑張りたいな」っていう原動力になりますね。

ーーお子さんは、お父さんが競輪選手というご認識は…?

犬伏 いやぁ、まだ小さいので。でも、練習とかで「自転車に乗っているんだな」ぐらいは何となく分かっているとは思うんですけど。

ーーまだまだこれから頑張らないとダメですね、お父さん!

犬伏 そうですね、もっと頑張らないと(笑)

家族の存在は大きな原動力! (撮影:北山宏一)

ーー競輪選手になって「人生変わったな」って思うことってありますか?

犬伏 選手になる前はバイトをしながらしんどい生活を送っていた時期もあって、それが一変して、人生変わったなと。デビューして4、5年になりますけど、GIの舞台でしっかり戦えているっていうのは想像もつかなかったですし。本当に一気に変わったなって思います。

ーー7月に30歳を迎えますが、30代の目標は?

犬伏 いやぁ、目標はまだ達成できていないので。『GIを優勝したい』っていうのが目標なので、そこは変わらずにやっていきたいですね。

ーーそれでは、最後にウィナーズカップへの意気込みをお願いします!

犬伏 GIクラスのメンバーが集まる大会なので、自分の力を発揮して決勝に勝ち上がりたいなと思います。再来年度は中国、四国でもビッグレースが開催されるので、その舞台でSSとしてレースを披露したい気持ちもある。そのためには今年、しっかりと頑張って結果を出さないと意味がないので。

ーー複雑な形かもしれませんが、S級S班は誰にでも経験できることではありません。今後の犬伏選手の活躍、楽しみにしております!

犬伏 はい。自分が徳島勢初のSSになれたことは、とても光栄なことだと思います。徳島、四国でどんどんいい流れを自分が作って行けたらいいなと思います。

徳島初のS級S班・犬伏湧也がビッグレースで躍動する!(撮影:北山宏一)

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