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佐藤慎太郎“101%のチカラ”

【佐藤慎太郎の所信表明】2025年、優勝に対して真剣に向き合う1年に

2025/01/31 (金) 18:00 18

佐藤慎太郎の2025年が開幕した(写真提供:チャリ・ロト)

 全国300万人の慎太郎ファン、netkeirinをご覧のみなさん、ケガをしてご心配をおかけしている佐藤慎太郎です。2025年は上々のスタートを切れたと思ったのも束の間、今は入院生活をしている。わからないものだよなって感じだあね。落車で弱気になることも恐れることもないが、万全な状態で戦うことができるようになるまで、今は体を戻すことに集中している。今年も全力でコラムを綴っていきますので、本コラムをどうぞよろしくお願いします。

優勝にこだわる1年にしたい

 今年1発目のコラムにつき、まずは『2025年の目標』について書いていく。年初に決めた目標は「優勝を積み上げる」ってこと。今期はS級1班での戦いになるから、昨年までのS班スケジュールではなく、FIシリーズも走ることになる。7車立てのレースにもガッチリ順応しなくてはならないわけで、真剣にやらねば結果など出ないことは明白。そういった背景から、開催グレードなどに関わらず、全レース勝ち切ることに集中するためにこの目標を設定した。

 無論これまでも、どんな場面だろうが優勝するつもりで走ってきたが、なかなか優勝から遠ざかっている現状、今一度優勝に対する意識を強く持つ必要性を感じたんだよね。そういった意味では年明け早々に追加で入った地元いわき平の準優勝、大垣シリーズの完全優勝という結果は、立てた目標に対して手応えを感じる成績を残せたように思う。

 だが、まだゼロがイチにできただけの話であり、さらに数を積み上げるためにはどうすれば良いかを考えなくてはならない。久々の完全優勝は嬉しかったが、「結果よければすべて良し」とは思えず。もっと高めていけるポイントを発見しているし、判断ミスなど未熟な部分にも自覚がある。これらを突き詰めて、さらに勝ち星を積めるように精進する。徹底して優勝にこだわる1年を過ごしていくぜ。

優勝を積み上げるため、日々真剣に課題と向き合う(写真提供:チャリ・ロト)

7車立てと9車立ての違い

 さて、改めて7車立てレースを走った所感も記しておこうと思う。結論から言えば、やはり7車立てと9車立てはレースの質が大きく異なるね。これはもともと知っていたし、他の選手からも情報を聞いていたから、「まるで違う内容」は想像できていた。事前学習もしていたしね。ただ実際に走ってみると、「違うとは聞いていたが、その通りだな」の感想が深い。

 ハッキリとしている大きな違いは「駆け引きが少ない」ということだね。自力選手が展開不問で強引にねじ伏せやすい環境というか。追い込み屋のオレからしたら目標選手がいるかいないかで戦い方にも大きな影響があるし、どんなメンバー構成でもどんなパターンでも対応できるように準備しておかなくてはならない。これから走りながらひとつひとつ研究していこうと思う。今のところレース感覚も理解できているし、分析もできている。問題は生じていないかな。

 また、「7車と9車のレースを行き来するようなスケジュールに心配はないか?」的なことを聞かれることもあるが、オレの場合はまったく大丈夫そうで、戸惑うこともネガティブに感じる要素も特にないかな。与えられた環境で自分の仕事をきっちりこなすのがプロフェッショナルだと思うし、7車だろうが9車だろうが、その時々でベストを尽くしていくし、尽くせそうだよ。

「お客さんには7車か9車か両方か、自分の好みでレースをチョイスして楽しんで欲しいよね」と本人談(撮影:北山宏一)

得るものが多かった松阪記念

 さて、松阪記念を振り返ろうか。終わり方は良くない終わり方になってしまったが、松阪は得るものが多いシリーズだった。開催で一緒になったグランプリ王者・古性優作と話をしたが、参考にしたい考え方に触れることもできたし、刺激をもらったよ。

 また実際の走りもまずまず手応えがあったね。初日特選は6着だったが内容は悪くなく、とにかく自転車が良く進んだ。ちょっと外に持ち出して回してみるか?くらいの判断だったが、思いのほか伸びたし、「なんか進んでるぞ」とイメージ以上のコンディションだったように思う。

 11月末に競輪祭で落車した際に首を中心にダメージを負ったが、それから2ヶ月でここまでコンディションを戻せたことは意義深いこと。「年齢なんて気のせい」と言い続けてここまで来たが、それは年齢を軽視することではない。体の状態を正確に受け止めて対策を施していく必要がある。そういう意味で、この回復は嬉しかったな。

 2日目と3日目も状態を維持することができていたし、しっかりと戦えていたように思う。しかし、準決勝は小原佑太と決めたかったし、悔しさが残る。競輪祭で離れていたし、ここでワンツーを決めたい気持ちが強かった。レースでの役割は果たせたものの、まだまだやれることはあった気がしている。ひとつ挙げれば、「古性が一人で来ていること」の認識が遅れたこと。これを事前に認識する余裕があれば、もう少し走り方を工夫してオバユウのことを残せたかもしれない。

 相手がどんな状況でどんな速度で来ているのかを早く察知するには、メンタルの余裕が必要になる。そのメンタルの余裕は脚力や視野の広さで作らなくてはいけないもの。今回も気持ちのこもった先行でレースを作ってくれたし、次回オバユウと連係する際には、ビシッとワンツーで決めてえな。

佐藤慎太郎2着・小原佑太4着の準決勝、次回のワンツー決着の糧に(写真提供:チャリロト)

悪い結果になる時、そうなる道筋を辿っている

 そして問題の決勝戦。オレは単騎戦になったが、対戦メンバーのレベルや各ラインの構成を考えれば、当然ながら難しいレースだった。いくつかパターンを想定してレースに臨んだが、読みが外れてしまい、勝負どころでは最後方に置かれてしまった。

 この時点で「なんだ、このバカは」と思うミスだよね。単騎で最終周回を最後方で通過している時点で話になっていない。それでもコンディションが悪くなかったし、何とか展開を切り開けそうな感覚もあった。最終周回で古性が動いた時にその後ろをうまく追走できたこともあり、そこからは「あと1車でも前へ」のモードに入った。まずまず良いスピードで踏んでいけたが、リスクのあるコースを突っ込むことになった。

5番車(黄)が佐藤慎太郎、結果として危険なコースを選択することになってしまった(写真提供:チャリ・ロト)

 落車の瞬間だけを見れば「避けられなかった」わけだが、自分がレースの読みや組み立てをミスしたことで、リスクのあるコースを突っ込まざるを得ない状況を作り出しているし、全体的に見れば自分自身の選択の結果、落車という悪い結果を引き寄せている。結果には必ず理由がある。自分に足りなかったものが何だったのかを考えて、次に活かさなくてはならない。充分に反省して前に進んでいこうと思う。

 それにしても、ここのところ本当に落車をしてはケガをしている流れだな。医務室に運ばれた記憶も全部飛んでるし危ねえよ。落車というのは競輪選手である以上、避けられないこともある。ただ、少しでもリスクを作らない走りを選択するために余力を持ってレースを走らねばならない。余力がなければ危険を察知しても回避することもできない。

 今回、順調に状態を上げられていたし、上昇気流に乗り切れなかったことは本当に悔しいこと。だが、競輪祭から2ヶ月で戻せていけたように、今車椅子で立てない状況でも気持ちだけは折らさずに回復していこうと思う。正直、競輪祭のケガと今回のケガを比べればダメージは今回の方がデカいし、骨盤骨折はダメージが大きく痛みもひどい。歩けるようになるイメージが全く湧かないくらい痛いわ…。 でも今年はまだはじまったばかり。普通の生活に戻して、しっかりと自転車に乗って走れるようにしていく。元気になったら「ダメージに強い体づくり」にも精を出そう。これも今年の目標に追加だ。

 さてと、今月のコラムはここらへんで筆を置く。「限界?気のせいだよ」なんて本を書いた自分の言葉を信じて、もう一度言葉を読み直そうと思う。たくさんの人が予約してくれているし、証明していかなくてはならないな。まだ予約してない? 興味があればぜひよろしく(笑)

ダメージに強い体をさらに強靭に仕上げていく(撮影:北山宏一)

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佐藤慎太郎公式ホームページ
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佐藤慎太郎

Shintaro Sato

福島県東白川郡塙町出身。日本競輪学校第78期卒。1996年8月いわき平競輪場でレースデビュー、初勝利を飾る。2003年の全日本選抜競輪で優勝し、2004年開催のすべてのGIレースで決勝に進出している。選手生命に関わる怪我を経験するも、克服し、現在に至るまで長期に渡り、競輪界の第一線で活躍し続けている。2019年、立川競輪場で開催されたKEIRINグランプリ2019で優勝。新田祐大の番手から直線強襲し、右手を空に掲げた。絶対強者でありながら、親しみやすいコメントが多く、ユーモラスな表現で常にファンを楽しませている。SNSでの発信では語尾に「ガハハ!」の決まり文句を使用することが多く、ファンの間で愛されている。麻雀とラーメンをこよなく愛する筋肉界隈のナイスミドルであり、本人の決め台詞「限界?気のせいだよ!」の言葉の意味そのままに自身の志した競輪道を突き進む。

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