2024/12/29 (日) 18:00 27
全国300万人の慎太郎ファン、netkeirinをご覧のみなさん、2024年の最終戦を走り終えました佐藤慎太郎です。今回は1年を総括すべく筆を走らせてみようと思う。記事の最後に重大なお知らせもあるので、ぜひ最後までご覧ください。
今年の最終戦は佐世保記念だった。「頸椎棘突起骨挫傷」と診断された首の状態は万全とは行かないまでも回復傾向にはあったし、とにかく何としても欠場は避けたかった。今年最後の走りが競輪祭の落車なんてまっぴらごめんだし、救急車で運ばれる姿が2024年のラストシーンなんて納得できるはずもない。
S級S班のユニフォームを着てお客さんの前に登場し、しっかりと走り抜ける姿を見てもらいたかった。それを達成できたことは良かったと思う。シリーズを通じて来年に繋がる収穫もあったし、現在の身体の状態も把握することができた。何より、現地の声援をしっかりと聞けたことは本当に励みになっている。佐世保のみなさん、アザした!
しかし、いざ走ってみると体の状態は八割くらいのデキだったかな。前傾姿勢になると向きにくい方向があったり、違和感があったり。それがレース本番の判断を鈍らせていたように思う。体は神経を通じて動くわけだから、その中枢を担っている首にダメージがあると、瞬時の判断にも影響がある。このまま回復が進んで行けば問題なさそうにも思うが、今後の練習で入念に見極めて対処していく。体にダメージがある時の戦い方やケアの仕方も課題として来年に向かおう。
「競輪祭が最終戦になるのは面白くない」、「S班としての2024年をしっかりと走り抜きたい」、その思いで乗り込んだので無事に走れてよかったわけだが、こうしてコラムを書いているとやっぱり結果そのものに対して悔しいね。ケガの影響があろうがなかろうが決勝には勝ち上がりたかったし、それがかなわなくてもせめて1着を獲りたかった。100%の状態、それを超えるくらいの状態を作らないとグレードレースを勝ち切るのは難しいということ。気合を入れ直して足りない部分を潰していくよ。
さて、話は変わるが、この12月は大きなニュースがあったね。レジェンド・神山雄一郎選手が現役引退を表明したわけだ。
神山さんはオレが真剣に選手を志すようになったきっかけの選手であり、選手になってからはデカい胸を借りて競りに行かせてもらったことだって多々ある。神山さんの引退は当たり前のように寂しさがある。今年9月のコラムでは神山さんのことを書き、改めて尊敬の念を確認していたところだった。
神山さんは年を重ねてもS級で活躍していた。噛み合わずうまく行かない時だって常に前向きな発言をしながら競輪と向き合っていた。オレはいつもそれを聞いて学んでいた。うまい表現が出てこないのだが、『どういう姿勢でいれば競輪選手として、弱くならないでいられるのか』を示している人だったんだよな。勝てない時期が続いたとしても、モチベーションの火が消えないというか。いや、強いとか弱いとかはどうでもいい話なのかも。
「自分を奮い立たせて戦うこと」においては、まさにお手本のような選手だった。追いかけていた背中がなくなったような感覚もある。競輪に向き合うという意味では大切な考えをたくさん気づかせてもらった。神山さん、オツカレした! また飯でもいきましょう!
さあ、12月の年の瀬ってことで1年を総括しないとだな。去年までは競輪祭が終わると、グランプリの前夜祭に関する通知が来たり、グランプリユニフォームの採寸をしたり、さまざまなイベントもあればメディア取材だって数多く受けた。グランプリ前の12月は結構いろいろと忙しく回っていく。
今年はそれがなくて、「あれ?ああ、今年はないのか」と拍子抜けしたりしている。オレ自身の中でグランプリはひとつの習慣であり、それが途絶えたという現実感がある。寂しさというよりも、肩透かしを食らったような気持ちになるんだよな(笑)。
今年の静岡グランプリの出場メンバーを見れば追い込み選手はひとりもいない。この2024年の競輪の答えがあるよね。とてもじゃないが「マーク屋がひとりもいねえ!」なんて嘆いてるヒマもないし、この競輪にどう順応していくのかを探し求めて行きたい。この流れを受け止めることから始めようじゃねえか。さもなければ活路など見出せん。そして、北日本は新山響平がひとりで戦うことになっちまった。これは連係を重ねてきた自分にとっては反省点にほかならない。
毎年12月になると周囲から「今年1年を振り返ってどうだった?」と聞かれる。そのたびに自分が全力でやるべきことをやった自負を持っていたから、仮に悔しい結果があっったとしても「100%やった結果なので胸を張れる1年でした」と返事をしてきた。その点は今年も変わらない。その都度その都度、できることを100%やっている自負がある。
ただ、今年は1年を振り返って“悔しい”。浮き沈みはあったが、掴むべき大きなチャンスは目の前にあった。それを掴めなかった事実を思い起こせば「やることをやったから悔しくはない」とは言い切れない。割り切れない気持ちはある。
この悔しい気持ちを感じて、神山さんの引退を知って、改めて妥協する時間なんて1秒もねえことを実感している。悔しい結果を受け止めて、それを燃料にして行く。
そんな中、今オレは来年が楽しみでならない。ワクワクしている気持ちが強い。悔しいから意気消沈するなんてことは微塵もない。どんな時だって年明けには「今年こそ勝負の年だ」と言ってきた。だが、間違いない。2025年こそ勝負の年だ。
「限界? 気のせいだよ!」と言い続けて、『限界? 気のせいだよTシャツ』も作った。たくさんの人がそれを着て応援してくれている。オレ自身が自分を鼓舞するために自問してきた言葉なわけだけが、そのマインドが誰かに届き、色々な人が「限界なんて自分の脳が作リ出しただけのもの」と思ってくれるようになった(はず)。
慎太郎Tシャツを着て応援してくれる人を見かける時、作ってよかったなあと思っている。定期的にアナウンスしているが、オレもメーカーも利益など一切追求していない。
そんな中ですが、『限界? 気のせいだよ!』が1冊の本になりました。発売日は2025年2月27日、すでにAmazonと楽天ブックスでは予約注文が可能です。みなさん、ぜひお手にとっていただけると光栄です。そうだよ! 今年の締め文はPRだよ! ガハハ!
2024年、たくさんの応援を本当にアザした。
2025年もオレは死ぬ気で走ります。まだやめねえよ。
限界? 気のせいだよ!
佐藤慎太郎
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佐藤慎太郎
Shintaro Sato
福島県東白川郡塙町出身。日本競輪学校第78期卒。1996年8月いわき平競輪場でレースデビュー、初勝利を飾る。2003年の全日本選抜競輪で優勝し、2004年開催のすべてのGIレースで決勝に進出している。選手生命に関わる怪我を経験するも、克服し、現在に至るまで長期に渡り、競輪界最高峰の場で活躍し続けている。2019年には立川競輪場で開催されたKEIRINグランプリ2019で優勝。新田祐大の番手から直線強襲し、右手を空に掲げた。2020年7月には弥彦競輪場で400勝を達成。絶対強者でありながら、親しみやすいコメントが多く、ユーモラスな表現でファンを楽しませている。SNSでの発信では語尾に「ガハハ!」の決まり文句を使用することが多く、ファンの間で愛されている。