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【新春・競輪記者座談会】2025年も「追い込み型受難」は続く!? ブレイク必至の若手選手リスト大公開

アプリ限定 2025/01/01 (水) 09:00 24

白熱のKEIRINグランプリを終えて2024年が幕を閉じ、新年を迎えた競輪界。2025年は、スピード化にいっそう拍車がかかるのか? ブレイクする選手は!? 日ごろ選手を間近で取材する敏腕競輪記者3名が、2025年の競輪シーンを占う(文中敬称略)。(取材日:2024年12月6日)

スピード競輪化の先陣を切る徹底先行のS班・新山響平(黄)(撮影:北山宏一)

2025年もスピードレース化は進む

デイリースポーツ 松本直記者(以下松本) 2024年は追い込み型の選手が受難の年だったということですが、確かに純粋な追い込み選手はグランプリメンバーに1人もいませんでしたね。

東京スポーツ 前田睦生記者(以下前田) 現在の競輪のルールを象徴していますよね。ルールが変わって、誘導員の退避位置とペースが変わりました。新山響平を筆頭に自力型が800メートル頑張ってしまえるから、追い込み選手たちの出番が少なくなってしまっているんです。

日刊スポーツ 松井律記者(以下松井) 競輪予想も「付いていけるか離れるか」の部分が大きくなってきたね。

松本 前田君や僕が記者を始めた頃は、こんなに自力選手が多くなかったし、S級トップレベルのレースで自力が並ぶこともあんまりなかったからね。

前田 とにかく本命印の二重マルは番手選手だったんです。で、先行選手に〇を付けられるかどうか。先行選手を残せる番手選手はやっぱり格が高いというか、強いしうまい、というイメージでした。今は、何かあったら番手選手がすぐに離れてしまうぐらい、自力選手にスピードがありますよね。

松本 やっぱり脇本雄太が、競輪を変えたのかな。

前田 そう思います。脇本のトップスピードに勝つために、自力選手たちもトップスピードをつける争いがメインになっていったんでしょうね。ブロックしても、届かないですから。

輪界最速レーサー・脇本雄太(撮影:北山宏一)

松井 以前はご法度だった「カンナ削り」がよく見られるようになってきて。

松本 昔の競輪は、先行選手がいて、番手選手がいて、3番手がいて。「番手選手が止めるか止めないか」が車券を買うときの焦点だった気がするけど、最近は自力-自力で並ぶことが多くなった。脇本や新山の前を回るために、若い選手たちはさらに自力で頑張らなきゃいけない。なので、どうしても先行で引っ張ってラインに貢献するというレースが多くなってきたように思います。

前田 ワッキーや新山は、400メートルでも800メートルでも、自分が勝負できるところで勝負する。そこに集中できているから、スピード化する競輪には向いているタイプですよね。

松本 今はタテ脚やスピード勝負の競輪になっています。

前田 昔の競輪の方が、自転車を操るという技術に関してはレベルが高かったように思います。松井さんは今よりもっとテクニックを競っていた時代の競輪を知っているわけですが。

松井 先行も追い込みも、それぞれテクニックはあるよね。ペースで踏んだりやめたりして後ろを酔わせてしまうとか、時速60キロで走りながらヨコで競るとか。そこが競輪の面白さであり、確かに最近はそういうテクニックが登場しづらい傾向になってはいる。だけど、まだまだ魅せてくれる選手はいるよね。

松本 それは誰ですか。

松井 追い込み選手なら佐藤慎太郎や小倉竜二。A級にも多いよね、レースがスローペースだからヨコの勝負ができる。ミッドナイトの1レースからジカ競りが展開されるとワクワクするし、トップのレースとは違う楽しみ方ができる。

佐藤慎太郎(左)と小倉竜二は競輪の面白さを走りで魅せるベテラン(撮影:北山宏一)

松本 全体の傾向として、2025年も競輪のスピード化は止まらない。

前田 スピード化は加速されていくと思います。だから、車番の影響も大きいし、前受けできる1番車のラインが有利になることも変わらない。選手は、今のルールでチャンスをモノにできる脚力や作戦を、より研ぎ澄ませてゆく1年になると思いますね。

松本 やっぱりファンにとって一番重要なことは、車券が当たるかどうかですよね。現在のスピード競輪にフィットした選手を見つけて車券戦略を練るという。

松井 昔の競輪が懐かしい気持ちは確かにあるけど、そこにこだわっていたら、自分が取り残されていくだけだから。

森田一郎が平原康多のグランドスラムに貢献!? 期待の若手選手たち

松本 2025年にブレイクする期待の若手選手は誰でしょうか。

前田 吉田有希頼むぞ!

松本 基本的にはデビュー5年未満ぐらいの選手が対象ですかね。

前田 今年デビュー6年目に入りますが、115期の藤井侑吾は挙げるべき名前だと思います。

松井 117期の寺崎浩平なんてブレイクしきってるよね。後半は続けてGIの決勝に乗ったし。

松本 来年タイトルを獲るべき選手ですよね。

松井 寺崎はもう獲れるよ、いつでも。犬伏湧也もね。

前田記者イチオシは115期の藤井侑吾(撮影:北山宏一)

松本 寺崎と犬伏は競輪祭で決勝に乗りましたからね。あとは、これからGI戦線に出てくる選手で挙げるなら、123期、125期になるのかな。

前田 123期はあまり活躍できていないですよね。都築巧という逸材はいるのですが。125期なら、私は森田一郎ですね。

松井 彼のことは、早い段階から注目していたもんね。

前田 森田が大学生の頃から取材していますから。今年、森田はGIの出走権はどれくらいで取れます?

松本 競走得点を上げて、早ければ8月のオールスター競輪かな。高松宮記念杯はすでに選考が始まっている段階なので、ちょっとキツい。

前田 じゃあ、オールスターで森田-平原康多で並んで平原が優勝すれば...。

松本 平原はグランドスラム達成。森田は、そんなことを考えるくらい魅力ある選手だね。でも、ちょっと捲りが多いかな。

125期のルーキー森田一郎(左)と埼玉の大先輩・平原康多の連係が待ち遠しい(撮影:北山宏一)

松井 森田は、立ち回りはうまいし捲りのスピードはあるし、強い選手だと思う。ただ、走りが現代チックでロング先行を見ていないからね。

松本 確かに、オールドファンに刺さるレースはあまりしていないですよね(笑)。チャレンジとA級で取材したときに「自分は勝つことが期待されている」と、立ち位置がわかっている選手だなと思いました。

前田 考え方と競輪に対する熱量がすごい。S班になるにふさわしい選手だと感じています。

松井 今年は9車の記念でどんどん見たいね。

前田 ナショナルチームに選ばれるようなスピードはもちろん、根性と人情。見た目は若手アイドルみたいなんだけど。敵に回したらすごく怖いと思う。

松本 S級に上がったばかりだから、今は根性を出す場面ってあまりないかもしれないけど。9車のグレードレースになると、なんでもやってくる相手やレベルの違う相手との戦いになる。そこでタテ脚だけじゃ通じなかったときや、自分が先行に入ったときの抵抗の仕方とかで、根性の部分を出せるんじゃないかな。

松井 森田の他に、125期は中石湊、阿部英斗、山崎歩夢、谷内健太なんかも上で通用しそうだね。

松本 今年のオールスターが函館開催だから、北海道の中石は自分で点数を取って出るぐらいの気持ちでいて欲しいですよね。

前田 力はあるだろうから成し遂げて欲しい。

松本 早くS級に上がって順応して「中石をオールスターで見たい」と思わせるレースをしてくれれば、オールスターは10の推薦枠があるから、そこに入れる可能性もある。まずは早く9連勝してS級に上がること。

前田 警戒されてね。

松本 それから福岡の阿部英斗は、熱狂的な競輪ファンから選手になったんです。見ている競輪のレース数は125期の中でダントツなんじゃないかな。なので競輪らしいレース、例えばラインの先頭を引き受けたときのレースなどは上手いと思うので、九州にとって大きな力になると思います。

競輪ファンから競輪選手に鞍替えした125期の阿部英斗(撮影:北山宏一)

前田 伊藤颯馬と後藤大輝の前で頑張ってくれる選手に。

松井 九州の選手でいえば、松山記念での宮崎大空は強かった。一次予選で町田太我を捲っちゃって、二次予選も深谷知広の5番手からあわや2着だからね。

松本 宮崎は、9連勝して去年の秋にS級に戻って来ました。1回A級を経験したことがいい方向にいったんですね。宮崎は115期でしたよね。

昨年12月の松山記念で気を吐いた115期の宮崎大空(photo by shimajoe)

松井 そう、藤井侑吾と同期。だから115期あたりがブレイクしてくるんじゃないかな。

松本 藤井はすでにGIレギュラーだけど、宮崎はこれからGI出場に絡んでこないといけない。来年は地元の熊本で全日本選抜があるので、競走得点を上げていってもらいたいですね。

松井 九州の若手の勢力はすごいよね。伊藤旭や伊藤颯馬、後藤大輝がいて。嘉永泰斗だってまだまだ伸びしろはあるだろうし。ただ、九州はまとまらないよね。

前田 九州男児だから?

松井 北日本もまとまらない感じはするけど、北は並ぶもんね。でもこれだけ駒が揃って、九州はここ10年でいちばんの勢力になったと思うな。

松本 121期の太田海也と中野慎詞は、今年はもうグランプリを狙える存在。

前田 競技の出場もあると思いますが、走れるGIは走って欲しい!

121期の太田海也と中野慎詞はともに2024パリ五輪に出場(撮影:北山宏一)

松井 太田と中野はもちろん才能の塊なんだけど、この2人にあんまり簡単に勝たれちゃうと、それはそれで複雑な思い(笑)。ワッキーや新田祐大は、国内で戦った下地があったわけじゃない。この2人には、もうちょっと国内で足場を固めてから獲って欲しい気持ちもある。

松本 ファンに「勝って欲しい」と思わせる下地作りでもありますね。

前田 今はスター性の方が目立っているから。

松本 中野は北日本、太田は中四国。それぞれの地区で、2人がS班や先輩たちを引っ張ってラインで決めるレースで勝っていく。そうすれば「次は太田が獲る番だよね、中野が獲る番だよね」という雰囲気になっていく。中野に関しては、昨年11月の四日市記念で新山の前を走って、役割をきっちり果たしましたけど。

松井 中野は、中団で吉田拓矢を相手に引かなかったり、面白みを出してきたね。

松本 ナショナルチーム勢は走る機会が少ないけど、国内の競輪に関しては、ラインへの貢献度を積む1年にしてもいいのかなと思いますね。


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