2024/11/14 (木) 08:00 3
オレが現役の頃から今までカミサンはまったく競輪に興味を持ったことがねえ。知ってるのはトップレーサーの名前と、オレの弟子たちのことぐらい。弟子についてもせいぜい家族の話で、どこで走ってるとかはまったく知らんのよ。カミサンの興味といえば、近所のオッカサンたちと駄弁ることと通販番組ぐらい。特に通販だとテレビにかじりついて、「これ良さそう」とか言って、すぐ電話かけようとする。それを「頼むから止めてくれ!」と拝み倒すのがオレの役目だ。
ところが、そのカミサンがある日、競輪のことを聞いてきた。「(おっ、珍しいな!)」とぬか喜びしたら、目の前に出してきたのは“くしゃくしゃの紙の塊”。よく見なくてもわかる。あれはオレが勝負したハズレ車券だ! しかもまとめて勝負したもんだから始末が悪い。洗濯カゴに放り込んだズボンのポケットにそのまま入ってたんだな。言い訳をすれば墓穴を掘るってわかっちゃいるけど、ついシドロモドロになっちまって、とうとうヘソクリの話までバレる羽目に…! 読者の皆さん、証拠隠滅は油断せず完璧にしようぜ!
さて、松阪G3だが、今回は小倉競輪祭前の開催でS班のトップレーサーが不在だから、混戦・激戦・波乱の3拍子が揃ったシリーズだな。まず自力型を見てみると、S級1班からは高橋晋也、長島大介、鈴木竜士、久田裕也が登場。2班の石原颯もノリに乗ってる。自力自在型なら岡崎智哉に中井太佑がいる。
でも松阪バンクのこと! 『逃げたら負けよ』ってキーワードが出てくるんだわ。そうなると、追い込み勢の出番ってことになる。そこで安定感抜群の湊聖二が浮上だ! 2班の福田知也も主役級を食って川崎記念を制したし、あの切れ味ある差し脚は強烈。今回も好位置から突っ込んでVの期待大だぜ。1班も2班も垣根なし、全員が主役のこの開催。高配当を嗅ぎ分け、小倉競輪祭へ向けてひと稼ぎといこうか!
妄想はオープニング1Rでいってみる!まずは並びの整理から。①上杉嘉槻-⑦中井太祐-④栗山俊介、⑤長田龍拳-②福田知也-⑨近藤俊明、単騎⑥大瀬戸潤一郎、⑧安彦統賀-③磯田旭となっている。
初手は福田がスタートを決め長田が前受けから。上杉がこの後を追う! 勝負どころを安彦が押さえる! そこを上杉が叩き逃げる。番手中井が展開に恵まれ抜け出す。上杉の残り⑦-①に栗山の流れ込み⑦-④、長田に乗り強襲する福田へ⑦=②までが本線になる。
妄想になるか?は疑問だが上杉と安彦が叩き合いになる。そこを長田が一気に仕掛け福田が恵まれる! 長田の残り②-⑤と近藤の流れ込み②-⑨、ここに磯田が切り替え突っ込む②-③展開が妄想の〆になるべか。
いずれにせよ! この4日間は一筋縄でいくとは思えね〜し、波乱の要素があちこちで秘めてるような開催だべ!
吉井秀仁
Yoshii Hidehito
千葉県茂原市出身。日本競輪学校第38期卒。選手時代はその逃げるスピードの速さから「2週半逃げ切る男」と称され人気を集める。1978年競輪祭新人王戦を制し、翌年も小倉競輪祭の頂点に立つ。1980年の日本選手権は完全優勝、1984年オールスター競輪でも覇者となり、選手としての一時代を築き上げた。現役引退後はTV解説者やレポーターとして活躍、競輪場での予想会イベントやYoutubeのライブ配信なども精力的におこなっている。ファンからは「競輪客のような解説者」と親しまれており、独特のひらめきによる車券戦術を数多く披露している。