2024/11/10 (日) 12:00 5
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は四日市競輪場で開催されている泗水杯争奪戦の決勝レース展望です。
中部地区の大会となった【泗水杯争奪戦】ですが、決勝に勝ち上がってきたのは柴崎選手だけと厳しい結果になりました。
他地区と比べると中部地区には果敢に先行していくような、生きのいい若手が少なく、全国から強い選手が参戦してくる記念競輪だと、ライン戦で立ち向かうのが難しくなっています。
自分が現役だった頃は中部は一大勢力であり、記念競輪だけでなく、特別競輪でも上位を占めていました。ただ、最近は若手の有望株も出てきているだけに、今後の巻き返しが楽しみです。
その一方で、選手層の厚さを今大会でも見せつけているのが、北日本ではないのでしょうか。決勝にも佐藤選手、新山選手とSS班の2人が勝ち上がってきただけでなく、中野選手は怪我をしたオリンピックからの順調な回復ぶりを、その走りでアピールしています。
決勝ではそこに大森選手も加わったことで、⑨中野選手-②新山選手-⑦佐藤選手-④大森選手と北日本は4車のラインになりました。近畿ラインは①寺崎選手-⑤三谷選手。九州ラインは③伊藤選手-⑧井上選手で、⑥柴崎選手は単騎となります。
4車のラインを生かして有利に運べそうな北日本ラインですが、スタート巧者の大森選手が決勝に勝ち上がったのも大きいですね。大森選手は二次予選、準決勝ともにスタートを取っており、この車番(4番車)なら、内側の選手を抑え込めるはずです。
そうなれば、中野選手が前受けをしてからの、突っ張り先行が濃厚となります。抑えに行くのは後方となった伊藤選手ですが、スピードに乗った中野選手を交わし切るのは難しく、元の位置まで下げざるを得ません。
そうなれば5番手に付けているであろう寺崎選手が、得意とする捲りで北日本に襲い掛かります。
今大会でも先行しながら、2周の距離を残している中野選手ならば、決勝でラインの長さを生かす走りができるのは有利と言えます。
もし、寺崎選手に迫られたとしても、中野選手の番手から新山選手が先捲りを打っているはずです。新山選手は競輪祭に向けて更に調子を上げてきており、それはタイムの良さにも表れています。
後ろを固めているのは佐藤選手というのも心強く、その場合は4番手の大森選手も加えた、北日本ラインでの上位独占もあり得ると見ています。
寺崎選手も今大会は強いレースを見せているのですが、新旧ナショナルチームの2人に前に行かれてしまうと、5番手から捲り切るのは大変です。
単騎となった柴崎選手は、捲っていったラインの後ろに付けて流れ込みを狙っていきますが、それも展開に左右されるだけに、上位までくるのは難しそうです。
印は◎新山選手、〇中野選手、△佐藤選手、×寺崎選手に付けておきます。印こそ回していませんが、伊藤選手は寺崎選手が上がっていった際に、隊列が短くなるようならば、長い直線を生かして突っ込んでくるのかもしれません。そうなれば高配当も望めるはずです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。