アプリ限定 2024/10/22 (火) 12:00 31
日本の気候は明らかに変わってきており、“暑さ”は過去と比せば異常と言える。「でも、これが普通になるんですよ」。ある競輪選手がつぶやいていた。近年、昨年までもあったことはあったのだが、身の危険を感じるレベルの暑さが襲ってきている。
今年も熱中症という診断での欠場も目にすることがあった。特にバンク内の熱せられ方は選手にとって過酷なものとなっている。コンクリートが熱を持ち、すり鉢状の内部はサウナともいえる。執務する職員の方々も、危険にさらされている状態と言える。
高校野球や競馬界が対策を打ち出しているように、来年からは競輪も対策が必要だろう。気候を想定するのは困難だと思うが、対策をしない理由にはならない。発走時間であり、開催のナイター、ミッドなどへの分散。8月オールスター競輪は函館開催で、気候対策かどうかは分からないが、時期とビッグレースの開催地域も検討材料だろう。
コロナの影響が大きな理由で、取材ゾーンは屋外のケースが多い。雨風があっても、テントを立てていれば、で行われている。時折、強風でテントがグラついて…ということもある。もちろん、どんなに暑くても選手は一度、その取材ゾーンに出てきて取材を受ける。
灼熱の中、レースを終えて体を冷やしたいところでも、出てこないといけない。寒波で寒い時はストーブを置く対応だ。雨がひどい時には、屋内にゾーンを急きょ設けるケースもあるが、最初からそうする時期に来ているだろう。
屋内の一定の場所を確保して、スペースなどの問題があっても取材陣はそれに対応すればよい。
グレードレースを中心に、画一的な共同インタビューも平常化している。勝ち上がりのレースは1〜3着の選手を呼ぶことが多いが、レースによっては2着までの勝ち上がり、またはポイント制で3着でも勝ち上がりはできないことが確実、という状況もある。
2着までの勝ち上がりのレースで3着だった選手が、「これは呼ぶケースではないでしょう」と提案した話もある。この選手は4着までが勝ち上がるレースで4着となった時、1〜3着だけでなく、4着の選手も必要でしょうと率先して共同インタビューを受けていた。筋の通った話だと思った。
日本という国の慣習なのか、既存のものから変えない、また一度決めたものは変えない、という性質が強い。たとえそれが齟齬を生んでいても…だ。現場現場での対応を現地の職員が行って、負担にもなっている。
私個人として、取材に行く機会が一時期少なくなっていたが、今年はある程度現場に出ることができている。今夏、一度、頭がボーっとしていわゆる熱中症っぽくなったものの「これはただの競輪熱中症だ」と思い、大したことはないと思っていた。だが、前頭部の毛根へのダメージがひどいようで…。ぜひ、競輪に携わる人たちにはいい意味の“熱中症”、競輪熱中症だけになってほしいと願っている。
X(旧 Twitter)でも競輪のこぼれ話をツイート中
▼前田睦生記者のXはこちら
前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。