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前田睦生の感情移入

【大阪・関西万博協賛】デイ川崎は“ネクストスタイル”北津留翼、ナイター別府は“ナウボーイ”川口聖二が盛り上げる

2024/10/10 (木) 12:00 17

北津留翼は最強の自転車マン

北津留翼は寬仁親王牌ではなく

 10月11〜14日は1日ぶっ通しでGIIIを楽しもうという恒例の企画となる。デイは川崎、ナイターは別府で、別府はガールズケイリン3個レース制と、男子9個レースのシリーズになる。熱戦を、そして車券を楽しみまくる4日間だ。男子の方は直後に弥彦の「寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(GI)」を控えていてS班選手などの大駒はいない。

 川崎は「大阪・関西万博協賛 全国都市緑化かわさきフェア開催 川崎市制100周年記念」と題され、別府は「大阪・関西万博協賛 別府市制100周年記念事業」と銘打たれている。川崎も別府も市となって100年という歴史になるのだ。

 歴史を感じる中で、川崎GIIIには北津留翼(39歳・福岡=90期)の名前があって、アレっと思われた方もいるだろう。「北津留は寬仁親王牌には出ないの?」「自転車競技の方も強いんじゃないの?」と。寬仁親王牌に出場するには基本的に、各地区の地区プロ、そして全プロと権利を獲得する道のりがある。

北津留翼は北京五輪代表

2014年取手全プロでは準優勝、体を絞り上げていた

 言うまでもないが、北津留はスプリントの名手で2008年の北京五輪に出場している。競技は強いどころか、競輪選手なら誰もが恐れるレベルの大人物だ。ある時、九州地区プロのチームスプリントで北津留がいるチームが1、2走目では他のチームに大きく負けていたそうだが、3走の北津留が全部ひっくり返したという。

 何をやっても強い。本職のスプリントで全プロの優勝はもちろんある。その後…。全プロの中での種目的にはスプリントとは対極といえる4キロメートル個人パーシュートに出場するようになった。短い距離と長い距離。競輪選手では両立は難しいと言われるものだが、まさか4キロメートル個人追い抜きの方でも優勝した。

「ツバサなら不思議じゃないですよ」

 選手はみんなそう言っていたものだが、衝撃的なもの。そんな難業を成し遂げてやるべきことがなくなったのか、北津留は地区プロを卒業した。卒業というシステムがあるかどうかは分からないが、とにかく彼は卒業した。GIの寬仁親王牌に出る機会がほぼなくなるということだが、彼はそれを選んでいる。“ネクストスタイル”と言っていいだろう。追随する選手がいるとは思えないが、こんな道もある。

地元勢は和田真久留と佐々木真也が責任を背負う

諸橋愛には川崎の直線がピッタリ

 北津留の存在が大注目の川崎だが、地元神奈川からは6月岸和田の「高松宮記念杯競輪(GI)」で準優勝の和田真久留(33歳・神奈川=99期)と9月青森で記念初制覇を飾った佐々木真也(30歳・神奈川=117期)が砦を守る。

 2015年の川崎記念を優勝(超高配当だった)した諸橋愛(47歳・新潟=79期)は、地元での寬仁親王牌を走れない無念をここにぶつける。藤井侑吾(29歳・愛知=115期)はGIII初優勝で、今後への弾みを付けたい。山口富生(54歳・岐阜=68期)にも熱い声援を送ってほしい。

別府は川口聖二が「ヨイショ!」

山口幸二さんの激励を受ける川口聖二

 別府の方は7月の別府記念を完全優勝の地元阿部将大(28歳・大分=117期)が断トツなわけだが、病気にかかってしまい、復帰戦の青森記念ではまだまだの動きだったのが不安だ…。今回までには戻してきていると信じるほかない。

 また、川口聖二(30歳・岐阜=103期)は地元の岐阜記念で悔しさにまみれたものをここで爆発させる。地元で記念初優勝を…の流れがあったものだが、準決からまさかの失速。さらに上に行くためにも、今回は優勝でリズムを立て直したい。「ヨイショ!」と別府の地を沸かせれば、別府温泉の平均温度は2度上がるだろう。今が大事な“ナウボーイ”だ。

 川崎の山口富生の活躍を期待するとともに、別府ではレジェンド神山雄一郎(56歳・栃木=61期)の走りから目が離せない。伝説を作り続けるその道は、まだまだ先がある。

ガールズケイリンは若手の活躍を

是永ゆうきが新風を巻き起こす

 別府ガールズシリーズは児玉碧衣(29歳・福岡=108期)が欠場になり。坂口楓華(27歳・愛知=112期)が追加参戦となった。石井寛子(38歳・東京=104期)や当銘直美(28歳・愛知=114期)と実力者がいる中だが、124期の松井優佳(25歳・大阪)や126期の高木萌那(20歳=福岡)にひと暴れしてほしい。

 浮き沈みの激しい刈込奈那(23歳・千葉=120期)は季節的に別府のバック追い風が強まってくるころだが、負けない気合で戦うだろう。

 地元からも安東莉奈(23歳・大分=122期)、羽田野愛花(22歳・大分=124期)、是永ゆうき(20歳・大分=126期)が勇躍参戦だ。ガールズケイリンを盛り上げ、また大分から「ガールズケイリンの選手になりたい」という若い芽が増えるよう、熱い走りを披露してほしい。


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前田睦生

Maeda Mutuo

鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。

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