2024/09/24 (火) 12:00 3
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は岐阜競輪場で開催されている長良川鵜飼カップの決勝レース展望です。
【長良川鵜飼カップ】は地元のエース格だった山口選手の欠場が残念でしたが、その穴を塞ぐかのように、地元選手たちが揃って一次予選を突破して、開催を盛り上げていました。
ただ、それまでの番組にも恵まれた感があった、地元選手たちの決勝進出とはならなかった一方で、気を吐いていたのが以前に中部地区に所属していた深谷選手です。
初日は展開が向いたと言えども特選を勝利しており、二次予選、準決勝では積極果敢な走りで決勝へと勝ち上がってきました。
決勝には同じSS班の松浦選手の名前もありますが、こちらは町田選手に前を任せてのレースであり、まだいい頃の走りには程遠い印象があります。
決勝では①松浦選手-⑤阿竹選手で中国ラインを組んだのに対して、②深谷選手は同じ南関東かつ、師弟関係に当たる④青野選手-⑨小原選手とは別線を選択しました。
結果、深谷選手の後ろは③三谷選手が主張する形となっています。⑥村田選手-⑧笠松選手は中部のラインとなり、⑦坂井選手は単騎戦となります。
この4分戦で先行意欲が強いのが、青野選手と村田選手です。121期の村田選手はこれが記念競輪では初めての決勝となります。
準決勝では7番手から捲っていくと、そのまま後続を引き離してのゴール。インパクトのある走りを見せてくれました。
一方、バック回数では村田選手に引けを取らないのが青野選手です。青野選手は長くいい脚を使えるだけに、今回も早めに動き出すことも考えられます。
ただ、師匠の小原選手は性格が優しい選手であり、強引に仕掛けていくよりも、青野選手が勝てる位置から動き出すような作戦を伝えていると思います。
そうなると、並びもポイントとなってきます。車番的には松浦選手が前受けを主張できそうですが、今大会の調子からしても、スタートを深谷選手に取らせて、3番手からのレースを進めていくと見ています。
その後ろには神奈川の師弟ライン、そして坂井選手を挟んでの8番手となった村田選手が、深谷選手のことを抑えにかかりますが、その時、青野選手が叩きに行くかどうかが一つの鍵となります。
村田選手としては8番手から抑えにかかってからの先行では、さすがに踏んでいる距離が長くなってしまうので、青野選手を一度は前に出したいと思っているはずです。
とはいっても、叩きに行った青野選手も、そこから先行体勢に入った場合には、村田選手が3番手に入ってしまうので、さすがに躊躇するかもしれません
ここで2人が流してしまうと、一気に先行体勢へと入っていきそうなのが深谷選手です。深谷選手が捲った場合、同じ南関東の青野選手が突っ張ることは考えにくいだけに、そのまま一本棒で押し切る可能性が高いと見ています。
その後ろからの捲りを狙う松浦選手ですが、今のコンディションではかかりきった深谷選手までは到底届かないでしょう。むしろ切れ目をつきながら、いい位置でレースを進めていそうな坂井選手の流れ込みが穴となりそうです。
印としては◎は深谷選手で〇は三谷選手。△は坂井選手として、×は小原選手とします。深谷選手は現在の賞金ランキングで12位となっているだけに、ここで賞金を積み上げて、地元静岡で開催されるグランプリに出場したいとの気持ちは強いはずです。
それが神奈川の2人と別線勝負を選んだ背景にあったかとも思うだけに、決勝でもSS班らしい格の違いを、その走りで見せてもらいたいです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。