2021/07/18 (日) 15:00 1 12
こんにちはヤマコウです。
函館競輪場で開催しているサマーナイトフェスティバルも決勝を迎えました。
本土の私は、夏の北海道は涼しいと思い込んでいましたが、まぁまぁ暑い。これだけ暑い上にマスクにフェイスシールドなんて「殺す気か!」とダチョウ倶楽部竜兵ちゃんの気持ちです。
今回は「松浦悠士、清水裕友から読むラインの信頼関係について」綴りたいと思います。
松浦、清水の連携については皆さんご存知の通りです。松浦の初タイトルは2019年の競輪祭、清水の番手から手に入れました。
この当時は、清水ー松浦の並びの方が自然だったのですが、今では両者が同じレースになると「どちらが前だろう」と考えるようになりました。
競輪祭を獲った時の松浦は、今のような長い距離を踏める自力型(先行主体)というよりは、踏む距離が短い自力型(まくりタイプ)という感じでした。対して清水は捌きもできましたが、航続距離も長いため、松浦の前を回るのが自然でした。
松浦が優勝した翌年の2020年2月の豊橋全日本選抜競輪、清水は松浦の先行に乗って初タイトルを獲得します。
私はタイトルを取ってからの戦い方がとても大事だと考えています。初タイトルまではファンの皆さんが応援してくれても、2回・3回と同じ要領ではファンは付いてこないと思っています。
苦労してタイトルを取ったら、それまでのストーリーはリセットして、その先新しい自分を見せるのがファンを飽きさせない秘訣だと思います。
松浦や清水は、単調なレースを嫌って自力を出すので後ろの選手が優勝するのは結果だと言えます。最近の例だと2020年の平塚KEIRINグランプリ。
この時は松浦ー清水という並びでした。脇本雄太ー平原康多が相手となれば、松浦が先行しないと、脇本が易々と主導権を取ってレースが単調になる。
「面白いレースをする」という意思表示の結果、松浦が先行して清水にもチャンスが生まれました(優勝は和田健太郎)。
最初から、清水を優勝させようと思って先行したのではありません。
今年の京王閣日本選手権も「眞杉匠をすんなり先行させたらレースは単調になって面白みがない」と関東勢に喧嘩状を叩きつけた結果、松浦が優勝しました。
もちろん「この人がタイトルを取っても構わない」という信頼関係は大事です。 こうしてみると両者は、自分がダメなら次に後ろの選手に…と組み立てている事が分かります。タイトルを量産する態勢も整っています。
対して、拳矢と浅井康太はどうか? 準決もラインとして機能しませんでしたが、信頼関係を構築する兆しが見えたと思います。
それまでは松阪ウィナーズカップ準決勝の出来事(浅井が打鐘過ぎに切り替えた)が、喉に棘が刺さったような状態となり、信頼関係が気薄になっていたと思います。その後の浅井は「よく辛抱強く拳矢の後ろについているな」という印象です。
昨日の準決も、浅井が最終ホームでもバックでも内に切り替えたら、拳矢の優出はなかった。拳矢もそれがわかっているのでしょう。「2回仕掛けるところがあったが動けなかった。読みが外れて後ろに迷惑をかけた」とコメントしています。
拳矢もタイトルを目指すのであれば、準決直後に思った気持ちをいつまでも忘れず、ラインとして機能するようになれば悪い話ではありません。
現に浅井は手を差し伸べているわけですから…
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。