アプリ限定 2024/07/09 (火) 12:00 23
松戸競輪場で7月13〜15日に行われる「ガールズケイリンフェスティバル2024」。見どころや出場選手の近況を、デイリースポーツの松本直記者に解説いただきます。
「ガールズケイリンフェスティバル2024」が松戸競輪場で開催される。今年で11回目の開催となる同大会、松戸では2014年8月(2日制)、2018年7月(3日制)に続いて3回目の開催だ。
選考基準のメインは2023年11月から2024年4月までの優勝回数。優勝賞金は340万円(副賞含む)。来年度からは8月にGI・女子オールスター競輪(宇都宮)が新設されるため、ガールズケイリンフェスティバルは今回で最後になる。
またナショナルチーム勢(佐藤水菜、太田りゆ、梅川風子)はパリ五輪でのメダル獲得に向けて競技に集中しているため出場しない。
この大会は、3日制3個レース21人で争われる。予選2走のポイント上位7人が決勝進出となり、昨年の決勝進出ボーダーは予選2走を5着、2着で13ポイントを獲得した野口諭実可だった。
それでは注目選手のここまでの戦いぶりを見ていこう。
最後のガールズケイリンフェスティバル優勝に燃えているのは児玉碧衣。
今年は3場所連続完全優勝とスタートダッシュを決めたが、2月には体調不良とメンタル面での不調が重なり3場所連続で欠場。3月から戦列に復帰するも児玉らしさを全く発揮できず、3月のコレクション(取手)でも7着大敗と一時はどん底まで落ちた。
しかし大目標の地元久留米で行われるGI・オールガールズクラシックへ向けて、練習を再開する。師匠の藤田剣次にセッティングを見てもらったことで動きは一変。オールガールズクラシックは3連勝の完全優勝を達成した。地元で結果を出して、年末のガールズグランプリ出場権も一番乗りで手にした。
その後も気持ちを切らさず1着を量産。直前の小倉でも濃いメンバーが揃うなか3連勝で完全優勝しており、ガールズケイリンフェスティバルに向けて調子は上向いている。同大会にはデビュー2年目の2016年川崎大会から今年まで9年連続で参加。2021年函館大会だけ決勝進出を逃しているが、それ以外の7回は決勝進出。2016年と2019年に準優勝しているものの、まだ優勝だけがない。
今年で最後のフェスティバルになるだけに、優勝への思いは一段と強いはず。松戸は2015年7月にデビュー戦を走った地で、2019年5月にはコレクションも優勝している相性のいいバンクだ。ナショナルチーム組が不在なら負けられない。
坂口楓華もフェスティバル初優勝を狙っていく。昨年は優勝18回と好成績を残し、2回目のグランプリ出場も果たした。
今年も勢いは止まらず、3月取手でコレクション初優勝を達成。優勝はすでに14回と昨年を上回るペースだ。
賞金ランキングは2位。ここで優勝ならば賞金ランキング1位となり、グランプリ出場へ大きく前進する。松戸は今年1月に完全優勝と結果を出しているだけに、バンク相性は心配いらない。打倒児玉碧衣の一番手は坂口楓華だ。
地元代表は石井貴子(千葉)だ。2021年5月のコレクション(京王閣)で落車。頭部打撲、右鎖骨、ろっ骨の骨折に肺気胸の大けがを負った。同年8月に復帰するもなかなか以前の動きができず、結果が出ない時期が続いた。2023年春には練習中に落車。左鎖骨、ろっ骨、肩甲骨の骨折とまたも大きなけがをしてしまったが、再びバンクへ帰ってきた。
2023年10月にホームバンク・松戸で行われたGI・オールガールズクラシックには出場ができなかったが、前座で行われたシリーズ戦で完全優勝。復活をアピールした。
今年に入ると石井貴子らしさをレースで発揮。6月のGIパールカップ(岸和田)決勝では奥井迪マークから差し脚発揮で1着。自身初のGI優勝をつかみとった。今場所はGI覇者としての凱旋レースとなる。地元ファンの声援を味方にして、2019年別府以来2回目のフェスティバル優勝を狙う。
石井寛子は得意のフェスティバルで巻き返したい。昨年はデビュー以来出場を続けていたガールズグランプリに出ることができず、悔しい思いをした。「今年は絶対にグランプリに戻る」という強い決意でレースに臨んでいる。
ここまで優勝は10回と積み上げてはいるが、賞金ランキングは6位とグランプリ出場へは黄信号だ。フェスティバルは2018年松戸、2021年函館と2回優勝している相性のいい大会。今回の優勝賞金340万円を上積みして、グランプリ出場へ大きく前進したい。
尾崎睦は絶好調だ。今年は4月のオールガールズクラシック、6月のパールカップとGIで2回連続決勝進出中。ビッグレースでも安定して結果を出している。あとは優勝を掴み取るだけ。ここで賞金を大きく積み上げて、2018年以来のグランプリ出場へ近づきたい。
前年覇者の久米詩も気配が上向いている。4月、5月と落車が続いたが、2場所前の前橋決勝は先行勝負で準優勝。直前の奈良では3連勝、決勝は先行で逃げ切りVを挙げた。松戸と同じ短走路で積極策を敢行し、いいリズムを作ってフェスティバルに臨む。位置取りのレースもできるだけに侮れない存在だ。
勢いの良さなら當銘直美。4月のオールガールズクラシックは準決敗退に終わったが、その悔しさをぶつけたパールカップは連勝で決勝進出。決勝では2車単、3連単の1番人気は當銘直美からの車券だった。
GIファイナルの経験を経て、直近の四日市、高松は2場所連続完全優勝と一皮むけた印象だ。差し、マークの戦法ではガールズケイリン屈指の存在。欲しい位置は誰にも渡さず勝負に徹する。
飯田風音は直前の青森で通算100勝を達成。4月のオールガールズクラシック、6月のパールカップはともに予選は1着で通過しており、大舞台での決勝進出も時間の問題だろう。脚をためてまくりに構えたときの破壊力は抜群。松戸では児玉碧衣を相手に1着を取ったこともあり、見逃せない選手だ。
122期からただ1人参加となるのは畠山ひすい。持ち味は地脚を生かした先行勝負だ。挑戦者の立場で逃げていけば、後位のもつれを誘い、ジャイアントキリングを狙える選手だ。
荒牧聖未は復帰戦だ。2月いわき平で誘導妨害の失格を犯してしまい、4〜6月はあっせん停止の処分を受けた。出場権を持っていたオールガールズクラシック、パールカップに出られなかった思いを大いにぶつけたい。直近4か月の競走得点は0だが、練習で鍛えた脚力を発揮して存在感をアピールしたい。
松本直
千葉県出身。2008年日刊プロスポーツ新聞社に入社。競輪専門紙「赤競」の記者となり、主に京王閣開催を担当。2014年からデイリースポーツへ。現在は関東、南関東を主戦場に現場を徹底取材し、選手の魅力とともに競輪の面白さを発信し続けている。