2024/07/07 (日) 12:00 28
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
小松島競輪開設74周年記念阿波おどり杯争覇戦、決勝メンバーが揃いました。
①犬伏湧也(徳島・119期)ー④小倉竜二(徳島・77期)
②深谷知広(静岡・96期)
③新田祐大(福島・90期)ー⑦佐藤慎太郎(福島・78期)
⑤嘉永泰斗(熊本・113期)ー⑧山田英明(佐賀・89期)ー⑥山口敦也(佐賀・113期)
⑨清水裕友(山口・105期)
今節は、地元優勝を期待される犬伏らが、強い深谷にどう立ち向かうのか、連係が多い清水がどう立ち振る舞うのかが大きな見どころでした。
初日特選は、犬伏が先行勝負、3番手を取った清水が捲る展開でした。外を踏む深谷が2着で内を突いた慎太郎が1着でした。このレースから見えたことは、犬伏は先行で地元記念を勝負しに来たこと。位置取りをしっかりと考えていたのは清水、新田、深谷の順でした。
その流れは準決勝でも同じです。10Rは犬伏に対して新田は前からレースを進めたことはリスクを伴いました。それでも1着が取れたのは、渡邉豪大(福岡・107期)が新田との外並走を嫌って犬伏の横に留まろうしたからです。これで犬伏が巻き返すタイミングが少し遅れ、島川将貴(徳島・109期)が離れ新田が400勝達成。脚力だけではなく、運も新田に向きました。
犬伏は不利な展開を冷静な判断でクリアしたと思います。11Rを走った深谷は、初日特選の反省を踏まえ、2次予選、準決勝と走りを少し修正したのかなという印象でした。そして清水。2次予選、準決勝と圧巻の強さでした。格上の走りを意識して位置取りが不利になった分、捌きをしっかり見せて威圧感もありました。
悲願の地元記念優勝を狙う犬伏、小倉にとって先行型の深谷知広が単騎ということで追い風が吹いているようにも感じます。清水は1度動いて犬伏ラインの3番手を取るのが理想でしょう。後ろになりたくない新田が前受けで考えました。
S.③⑦ ①④ ② ⑨ ⑤⑧⑥
後ろ攻めの⑤嘉永が動いたところを、単騎の⑨清水が叩き①犬伏ラインを出させるでしょう。同じことを②深谷も考えているかもしれません。
H.①④ ⑨ ② ⑤⑧⑥ ③⑦
←⑤⑧⑥
←②
B.①④ ⑨ ③⑦
先行①犬伏、3番手が⑨清水(あるいは②深谷)、8番手が③新田ラインです。地元①犬伏の地元記念初優勝から狙います。
・本線
1-4=9
1=9-2837
①犬伏にとって最悪の展開は、3番手を②深谷が取った展開ですね。
・別線
2=9-837
小松島記念決勝は今流行りの2段、3段ロケットではなく、実力派が優勝を狙うために走る見応えある一戦となりました。
(スピードチャンネル専属解説者)
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。