2024/07/03 (水) 12:00 37
小松島競輪場で令和6年能登半島地震復興支援競輪/大阪・関西万博協賛「開設74周年記念 阿波おどり杯争覇戦(GIII)」が7月4〜7日に開催される。地元の犬伏湧也(28歳・徳島=119期)が本来の輝きを取り戻し、ファンの期待を超える場所にまで行くのでは、と感じている。
6月岸和田の「高松宮記念杯競輪(GⅠ)」では、準決で脇本雄太(35歳・福井=94期)に完敗した。3番手からまくれなかった。昨年の平塚ダービーでもそうで、あの時は決勝に勝ち上がった。高松宮記念杯は厳しい準決2着権利で3着1人なので、漏れた。だが、それは前進のための屈伸でしかない。
久留米記念(中野カップレース)でも準決敗退、これは九州ラインの結束に敗れたものだが、力を出し尽くしての戦いにその鼓動は高まるばかり。そんな犬伏が地元記念で、低迷という殻を完全に破る。破らせる、犬伏の底力を引き出す対戦相手がいる。
パリ五輪が迫っている。東京五輪2020に向けて日本代表の日の丸を背負い、世界を戦えることを証明してきた新田祐大(38歳・福島=90期)と深谷知広(34歳・静岡=96期)が今回出場する。犬伏からすればとんでもない強敵だが、倒す以外の選択肢はない。
パワーバトル。元代表の底力を、2人は改めて示そうとしてくるだろう。夏、それも五輪の季節が近づけば、2人の口の中は血の味になる。最上級の実力者が悔しさにまみれた季節。
新田は長期欠場から復帰して、結果以上に存在感を発揮している。深谷の今年の戦いぶりも目を引くもの。地元記念でこの2人を力でねじ伏せられるか、が犬伏が開けないといけない扉。年齢的にも2028年のロサンゼルス五輪へ…とはならないだろうが、犬伏のポテンシャルはラブレイセン級じゃね?
徳島に「ラーメン東大」というお店がある。日本一を目指すという意味で、東京大学、“東大”の名前を冠にしている。志が頂点を向いていなければ、戦いには勝てない。パリ五輪に挑む選手たちの心には、それが刻まれている。それが、夢を成し得なかった先輩たちへの敬意として…。そんな季節だ。
頂点に立つために、選手になったんだろ。
小松島の熱い戦いに、戦いの原点を感じたい。清水裕友(29歳・山口=105期)、佐藤慎太郎(48歳・福島=78期)の言葉も聞きたい。小倉竜二(48歳・徳島=77期)や、久しぶりにこの大会を走れる阿竹智史(42歳・徳島=90期)の言葉も…。現地から発せられる言葉を楽しみに待ちたい。
そして嘉永泰斗(26歳・熊本=113期)。いよいよ7月20日に熊本競輪再開が迫る。8年も時が経った。熊本には昔、「焼肉大学」という焼き肉屋があって、熊本の人は「どこの大学を出たんですか?」と聞かれると「焼肉大学です」と答えるのが定番だった。
今、「焼肉大学」はつぶれてしまい、熊本大学近くにある「油大学」が多くの卒業生を生んでいる。「油大学、出てますから」ーー。しつこく、パワフルで、ちょっと火を近づけようものなら燃え盛る、そんな走りを泰斗に期待したい。
X(旧 Twitter)でも競輪のこぼれ話をツイート中
▼前田睦生記者のXはこちら
前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。