2024/05/14 (火) 06:00 38
競輪界では知らない者がいないヤマコウこと山口幸二さんの予想コラム。元トップレーサーならではの鋭い読みは必見です。
武雄競輪開設74周年記念大楠賞争奪戦決勝メンバーが出揃いました。今節は山田英明(佐賀・89期)、山田庸平(佐賀・94期)の連携が見られるなど話題が多い開催です。残念ながら兄弟で決勝には乗れませんでしたが、揃って勝ち上がるのは本当に大変なこと。兄の英明は厳しい戦いとなりましたが、まずは位置を守ることが大切です。
車番、ライン構成は以下の通り。
①清水裕友(山口・105期)ー⑤山田英明(佐賀・89期)
⑦稲川翔(大阪・90期)
④根田空史(千葉・94期)ー②深谷知広(静岡・96期)ー⑧阿部力也(宮城・100期)ー⑥大槻寛徳(宮城・85期)
③志田龍星(岐阜・119期)ー⑨浅井康太(三重・90期)
①清水の後ろを⑤山田と⑦稲川が競ります。今節はお互い清水の後ろを回っているので引けないところですね。競り合いになるとダッシュで離れる可能性が高くなります。しかし、これからも対戦する選手にどう見られるかが大切なので2人の判断は今後に活きると思います。
勝ち上がりが安定して強かったのは②深谷でした。初日は先行意欲が強かった嘉永泰斗(熊本・113期)に突っ張られ見せ場がありませんでしたが、二次予選は前受けから後攻めの磯島成介(青森・115期)を出させて位置に固執せず打鐘前から仕掛けました。この辺りの間合いが流石でしたね。脚力差がある相手だったので見えない位置が得策です。他の自力選手は、いつ仕掛けてくるか分からない深谷を警戒して脚を使いました。その瞬間を逃さず深谷がカマして1着。何でも中団で粘るのではなく、相手に合わせて走りを変えるところに深谷の場数の多さを感じました。
レースは好調な④根田が車番を生かして前受け、中団①清水、後攻めが③志田で考えます。
後攻めの③志田が動いてレースが始まります。前受けの④根田はレースからも自信が伝わってきます。中団で粘らず引いて緩んだ瞬間に仕掛けるでしょう。③志田の準決勝は⑨浅井の動きがあってこその決勝入り、④根田ー②深谷相手でも先行で勝負するでしょう。
③志田と④根田の現状を比較すると、根田の方が仕掛けどころを逃してない印象です。カマシが決まれば②深谷が有利、行けなければ①清水が展開有利ですね。①清水もダービーから引き続き動きが軽快です。そして競りの2人は追走厳しいですね。
2ー8ー6419
2ー9ー18
2=1ー89
1=9ー23
④根田と②深谷はお互い前を回りたかったようですが、根田の気持ちを尊重しましたね。深谷もワンツーを決めたいでしょうが、直線が長い武雄バンクなので①清水や⑨浅井らの強襲もあり判断が難しいところです。(スピードチャンネル専属解説者)
山口幸二
Yamaguchi Kouji
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校62期卒業の元競輪選手。1988年9月に大垣競輪場でデビュー、初勝利。1998年のオールスター競輪で完全優勝、同年のKEIRINグランプリ'98覇者となる。2008年には選手会岐阜支部の支部長に就任し、公務をこなしながらレースに励む。2011年、KEIRINグランプリ2011に出場。大会最年長の43歳で、13年ぶり2度目のグランプリ制覇を果たし、賞金王も獲得した。2012年12月に選手を引退、現在は競輪解説者としてレース解説、コラム執筆など幅広く活動する。父・山口啓は元競輪選手であり、弟の山口富生(68期)、息子の山口聖矢(115期)・山口拳矢(117期)は現役で活躍中。