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【今年デビュー125期】サラブレッド・山崎歩夢「デビューしたら先行一本で勝負したい」/卒業記念インタビュー

アプリ限定 2024/03/13 (水) 18:00 24

今年デビューする第125回生(男子)と第126回生(女子)の卒業式が8日、伊豆市の日本競輪選手養成所で行われた。その卒業式前日、忙しいスケジュールの合間を縫って4名の候補生たちが取材に応じてくれた。3月12日〜15日の4日連続で公開する。今回はタイトルホルダー山崎芳仁を父に持つサラブレッド・山崎歩夢のインタビューをお届けする。(取材・構成 netkeirin編集部)

山崎歩夢(写真提供:公財JKA)

養成所で強くなったのはメンタル

ーー卒業記念レースは残念ながら予選1回戦で落車してしまいました。振り返ってみていかがですか?

山崎 今回は「先行して優勝する」と目標を立ててレースに臨んでいました。その中で落車という結果になってしまい残念です。でもまたひとつ競輪のレース中の動きを知れたというか、どういう場面で落車の危険があるのか身を持って学べたのは良い経験になりました。

ーー悔しさもあったと思います。

山崎 はい。でもいつまでも考えても仕方がないので切り替えています。もう今はルーキーシリーズを見据えていて、そこに向けて頑張っていきたい一心です。

ーーまだ体の痛む中、インタビューに応じていただき本当にありがとうございます。

山崎 こちらこそありがとうございます。体の痛みは大丈夫です!

ーーそれではお話を聞かせてください。入所時と現時点を比べて成長できたポイントを教えてください。

山崎 入所時と比べて良くなったと一番実感するのはメンタル面です。タイムが出なくて悩んでいた時期があったのですが、その時期はとても苦しかったです。でもその時期を乗り越えて、ゴールデンキャップも獲れましたし、第2回トーナメント競走でも優勝することができました。心が折れなくなったこと、メンタルが強くなったことが結果を出せた要因かなと思います。

ーー養成所生活の中で印象に残っている言葉、あるいは考え方に出会うことはありましたか。

山崎 言葉ではないのですが、高校の頃から同じ種目で走ってきた中石湊候補生と養成所で過ごす中で、中石君の意識の高さというか「競輪と向き合う姿勢」を肌で感じました。入所時は僕よりも中石君の方が自転車に対して深く考えていたように思います。そういう姿勢を近くで見ることで、僕自身の成長の材料にすることができました。

ーーなるほど。競輪や自転車に対する意識がレベルアップしたのですね。

山崎 はい、実感しています。

ーー養成所生活で「一番の思い出」を挙げるとしたら、どんなエピソードが思い浮かびますか?

山崎 第2回トーナメント競走を優勝したことです。自分なりに自分ができる練習をして臨みましたが、いざ本番になると運も関係するのが競輪だと思います。そういう面で不安もありましたが、自信を持って積極的に動くことができました。その結果が最高のものになりましたから、養成所生活の中で1番うれしかった出来事になりました。

ーー昨年6月、マレーシア・ニライで行われたアジア自転車競技選手権大会でジュニア男子ケイリンで金メダル、ジュニア男子スプリントで銅メダルを獲得しました。在所中の国際大会を振り返っていかがでしょうか?

山崎 僕自身、あの大会が国際試合は初めてでした。食事や生活リズムも現地のものに合わせないといけないですし、スケジュール含めて国内の大会とは違った厳しさを感じました。いろいろ苦労することは多かったですが良い経験になりましたし、メダルを獲得できてよかったです。特にスプリントでメダルを懸けた最後の1本。メンタル折れずに走り切れたのは自分の自信に繋がりました。

ーースプリントはかなりタフなスケジュール(※)でしたよね。(1/2決勝は3本勝負となり、銅メダルを懸けた3位4位決定戦も3本勝負に。予選から実に10本走行)

山崎 あれは今までで一番しんどいぐらいでした(笑)。勝ってメダルを獲得できてよかったです。

ケイリンで見事金メダルを獲得(写真提供:公財JKA)

ライバルは中石湊、目標は山崎芳仁、デビューしたら先行1本

ーー在所中にさまざまな実績を積み上げましたし、デビュー時は「タイトルホルダー・山崎芳仁選手の息子」として注目されると思います。プレッシャーはありますか?

山崎 そうですね。これまでも父の影響から周りの期待を感じることがありました。でも、それを良い方向というのか、自分の原動力にできている感覚があります。プレッシャーをマイナスに感じるのではなく、競輪だったり、練習だったりに向き合う力に変えていきたいです。

ーーお父さんと同業者になるわけですが、関係性に変化はありそうですか?

山崎 いえ、基本的に変わらないと思います。入所前から練習を見てもらうときは敬語を使って話をしていましたし、家では普通の親子関係に戻る感じの「メリハリを大切にした関係」でした。それは変わらないと思います。福島に戻っても練習中は敬語を使います。

ーー特定の「ライバル」のような存在には出会いましたか?

山崎 中石湊候補生です。

ーーこれからデビューするまでに特別強化したいポイントは?

山崎 デビューまでにさらに上げていきたいのはトップスピードです。デビューしたら先行1本で勝負したいと考えています。トップスピードが上がれば長い距離ももう少しラクに踏めるようになると思いますし、捲りに行く時もラクに出られると思うので、特に意識して強化したいポイントです。

ーーこれだけは誰にも負けたくない、を教えてください。

山崎 競輪に対する気持ちだけは誰にも負けたくないですね。

ーー目標にしている選手はいますか?

山崎 目標にしているのは父・山崎芳仁です。

ーー目指すは“親父超え”ですね!と簡単には言えない偉大なタイトルホルダーですよね。

山崎 はい、そう思います(笑)。そこは考えずにしっかりと頑張っていこうと思います。

目標は一番身近な存在・山崎芳仁(photo by Shimajoe)

ーーそれでは山崎候補生が思い描くデビュー後のキャリアプランや具体的に狙ってみたいタイトルを教えてください。

山崎 自分が思い描いている過程としては、まずデビュー後に先行でヤンググランプリを優勝したいです。そしてその後、さらに力をつけてから北日本ラインの先頭で先行してグランプリを優勝したいです。

ーー山崎候補生は「先行」に重大な意義を持っていますよね。

山崎 競輪を走っていて、先行で逃げ切った時が一番達成感があります。ゴールした時に自分が打ち込んできた練習が報われたような気持ちになります。その瞬間が走っていて一番うれしいからかもしれないです。これからも先行にはこだわりを持って向き合っていきたいです。

ーーそれでは最後に125回生に注目しているファンのみなさまへひとことメッセージをお願いします。

山崎 北日本地区を盛り上げられるような先行選手になれるように精一杯頑張ります。応援よろしくお願いします!

「周囲からの注目は原動力になる」と明かした山崎歩夢

 卒業記念レースで落車した際の痛みも癒えてないはずのタイミングでインタビューとなったが、「全然大丈夫です」と応じてくれた山崎歩夢。タイトルホルダーの父を持つサラブレッドだが、その境遇にもまるでプレッシャーを感じていない様子が印象的だった。「親父超えと言ってもやり方もわかりませんし、自分のできることを目一杯やっていきます」と笑う姿に気負いはなく、ただ父を誇りに思っている19歳だ。しかし、目標を語る際の「先行で勝つ」の言葉には力が込められており揺るぎない。ルーキーシリーズでの躍動が今から楽しみだ!

■卒業記念インタビュー公開スケジュール
・3月12日(火)18時00分 中石湊
・3月13日(水)18時00分 山崎歩夢
・3月14日(木)18時00分 森田一郎
・3月15日(金)18時00分 高木萌那

■125回生「ルーキーシリーズ」スケジュール
・5月3日〜5日 富山競輪
・5月10日〜12日 平塚競輪(ナイター開催)
・5月24日〜26日 函館競輪(ナイター開催)
・5月31日〜6月2日 松山競輪(ナイター開催)

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