アプリ限定 2020/12/17 (木) 18:00 5
日々熱い戦いを繰り広げているガールズケイリンの選手たち。
このコラムでは、ガールズ選手の素顔に迫り、競輪記者歴12年の松本直記者がその人物像を紹介していきます。連載開始から土日を除いて毎日更新中!
年末の大一番、ガールズグランプリ2020の出場選手が毎日1人ずつ登場します。今回紹介するのは現時点での賞金ランキングトップ「高木真備選手」です。
一度聞いたら忘れない「まきび」という名前は奈良時代の遣唐使・吉備真備(きびの・まきび)が由来。岡山県倉敷市真備町出身で小学生のときに東京へ引っ越し。
ハンドボールに熱中したスポーツ少女だったが、ガールズケイリンを特集するテレビを見るや、一気に競輪熱に火がついたという。日本競輪学校には現役で一発合格。未経験にも関わらずイチから熱心に競輪へ取り組み、在校成績は2位で卒業。デビュー後はすぐに結果を出すことはできなかったが、コツコツ脚力を付けるため、先行勝負にこだわった。
人気先行と思われたが、デビュー2年目に花が開いた。ファン投票1位で出場した2016年8月(松戸)のガールズケイリンコレクションでビッグレース初優勝。2017年8月(いわき平)も優勝と実力が本格化していった。
しかし2019年は落車、体調不良が重なり、グランプリ出場権を逃してしまった。復活を誓った2020年は年頭からダッシュ全開。7月(いわき平)ガールズケイリンフェスティバル、9月ガールズケイリンコレクション(伊東温泉)を次々と制覇。夏以降は賞金ランキング1位を独走している。
デビューしてすぐ、愛らしいルックスが関係者やファンの間で話題となり、勢い良く人気に火が付いていった。先輩選手にいじられて誕生した必殺技「マキマキマキビーム」。やらされている感あふれる動画も人気の後押しとなった。
しかし、そんな彼女のレーススタイルは至って真面目。デビュー後は格上の先輩選手に先行勝負を挑み、まくられる日々が続いた。レース後は自分の力で立ち上がるのが困難になり、同県の選手に肩を抱えられて検車場に戻ってくる、そんな場面を何度も見てきた。それでも信念を曲げず、徹底的に自力勝負にこだわり続け、自然ともがける距離を長くしていった。
もうひとつはGI・3回優勝の実績を持つ高木隆弘の出会いも大きいように思う。練習方法だけでなく、レースへの心構えをたたき込まれ、一気にその才能は磨かれていった。人気先行選手が実力を兼ね備え、真のスター選手へと成長した。
先行とまくりを使い分けて1着を量産。普通開催ではペースが緩んだタイミングからのロングスパートが基本。一定のハイスピードを保ち、長い距離もがけるスピード地脚タイプ。ビッグレースでは位置にこだわるレースも見せてくる。内でも外でも併走になれば引かない。狭いコースを怖がらず突っ込める度胸も据わっている。
平塚での成績は2016年1月から2020年12月まで8走して1着3回、2着1回、3着2回。2017年12月の当地で行われたガールズグランプリは4着。最終2角4番手から踏み上げるもまくりきれなかった。2018年のガールズケイリンコレクションも5着。平塚開催はビッグレースでの成績はいまいちだが、普通開催なら2016年11月に優勝しているので、バンク自体に苦手意識は持っていないはずだ。
※次回も引き続き、ガールズグランプリ2020の出場選手を紹介していきます。明日18時には直近の大宮で完全優勝と絶好調の【鈴木美教編】を公開! こちらもお見逃しなく!
松本直
千葉県出身。2008年日刊プロスポーツ新聞社に入社。競輪専門紙「赤競」の記者となり、主に京王閣開催を担当。2014年からデイリースポーツへ。現在は関東、南関東を主戦場に現場を徹底取材し、選手の魅力とともに競輪の面白さを発信し続けている。