2024/02/12 (月) 10:58 6
GI開催特別コラム「山田裕仁の一発逆転!波乱注意報」。帝王・山田裕仁が、開催前半〜中盤までの選手の調子をチェックし、展開から"買えるヨーロッパ(468)"を紹介。元選手ならではの視点から、狙い目の2レースをお届けします。▶山田裕仁の見解と買い目はこちら
ヨーロッパ(468)とは?
競輪では各レースにおける「能力的にやや見劣る選手」「競走得点の低い選手」が、4番、6番、8番に入ることが多いことから、ひとくくりにしてこのように呼ばれています。とはいえ、展開やデキ次第では上位への食い込みが十分に可能。その場合には高配当も期待できます。そんなヨーロッパの中から、とくに好走&激走が期待できそうな選手と推奨理由について解説します。
【予想レース①】
岐阜4R 読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)S級選抜
①根田空史(94期=千葉・35歳)
②稲垣裕之(86期=京都・46歳)
③小林泰正(113期=群馬・29歳)
④中川誠一郎(85期=熊本・44歳)
⑤山田久徳(93期=京都・36歳)
⑥柴崎淳(91期=三重・37歳)
⑦小原太樹(95期=神奈川・35歳)
⑧末木浩二(109期=山梨・32歳)
【初手・並び予想】
←①⑦(南関東)⑤②(近畿)③⑧(関東)④(単騎)⑥(単騎)⑨(単騎)
【注目のヨーロッパ】
⑧末木浩二
④中川誠一郎
⑥柴崎淳
2車ラインが3つに単騎が3名というコマ切れ戦。コレという中心的存在が見当たらないレースで、いかにも紛れがありそうだ。最終日の第4レースというのもあって、どの選手もデキは冴えない。展開ひとつで、人気のない選手やラインであっても上位争いが可能だろう。主導権を争うのはおそらく、南関東ライン先頭の①根田空と関東ライン先頭の③小林泰。ここは、車番的に有利な①根田空が積極的なレースをしそうだ。
とはいえ、このシリーズでの①根田空は逃げるも粘れずというレースが続いており、主導権が奪えたとしてもアテにはしづらい。ならば、3日目も悪くない走りをしていた③小林泰のほうが、まだ信頼度は高いとみた。車番的に初手は後ろ攻めとなりそうだが、このメンバー構成ならば早めに①根田空を斬りにいって、その後の立ち回り次第で主導権、もしくは中団が取れるはずである。
そうなれば、③小林泰の番手を回る⑧末木浩はしめたもの。差しがよく届くバンクコンディションも味方につけての1着が、十分に期待できる。初日の一次予選では、単騎で最後方から豪快に捲って1着をとっていた。あの脚が使えるデキにあるというのは、ここでは大きな強みとなる。このパターンの本線は⑧③だが、単騎の⑥柴崎淳が関東勢の後ろで勝負した場合には、⑧④や④⑧という高め決着もあり得る。
もうひとつの狙い目が、単騎勝負の④中川誠。いかんせん気分屋だけにアテにはしづらいが、2日目には強い内容で2着をとっているように、デキもそこまで悪くはない。コマ切れ戦らしい動きのある展開になれば、その間隙をついた強気な仕掛けで、後方から一気に捲りきってしまうケースもありそう。こちらの決着パターンでは、④中川誠の仕掛けに⑥柴崎淳や⑨橋本強が乗っての④⑥や④⑨まで押さえておきたい。
【予想レース⓶】
岐阜7R 読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)S級特選
①武藤龍生(98期=埼玉・32歳)
②町田太我(117期=広島・23歳)
③渡部幸訓(89期=福島・40歳)
④宿口陽一(91期=埼玉・39歳)
⑤寺崎浩平(117期=福井・30歳)
⑥窓場千加頼(100期=京都・32歳)
⑦岩本俊介(94期=千葉・39歳)
⑧松本貴治(111期=愛媛・30歳)
⑨村上博幸(86期=京都・44歳)
【初手・並び予想】
←④①(関東)②⑧(中四国)⑤(単騎)⑦③(混成)⑥⑨(近畿)
【注目のヨーロッパ】
⑧松本貴治
④宿口陽一
⑥窓場千加頼
なかなか面白そうなメンバーとなった第7Rの特選。機動力上位である⑤寺崎浩が、近畿での連係ではなく単騎勝負を選択したことで、レースがさらに難解になった。主導権を奪うのは中四国ライン先頭の②町田太だろうが、いかにも展開に恵まれそうな「その直後の3番手」を誰がどのように手に入れるかで、展開は大きく変わってくる。どの「ヨーロッパ」を狙うかも、それ次第となりそうだ。
もっとも買いやすいのは、当然ながら②町田太の番手を回る⑧松本貴。準決勝で敗れて勝ち上がりこそ逃したが、かなりいいデキにある。②町田太が⑦岩本俊などとのもがき合いにならず、すんなりと主導権を奪えるような展開になれば、最後の直線で②町田太をキッチリと捉えて1着に。②町田太のデキがそれほどいいとは思えないので、ここはスジ違いの決着を狙ったほうが面白いかもしれない。
その場合に車券に絡んでくる確率が高いのが「中四国ラインの直後3番手」にいる選手で、その可能性がもっとも高そうなのは、関東ライン先頭の④宿口陽。捲って⑧松本貴の2着に食い込む⑧④や、⑧松本貴を捉えての④⑧、中四国を完全に捲りきっての④①あたりが、ありそうな決着パターンか。こちらはどの程度の配当になるか読みづらいが、悪くないリターンが得られるのではないかと予測する。
また、⑥窓場千も侮れない。3日目に「ヨーロッパ注目選手」として取りあげたが、期待に応えて2着に好走。やはり力があるし、デキもいい。またしても車番に恵まれず、初手は後方のポジションとなりそうだが、コマ切れ戦となったここならば、立ち回り次第で台頭可能とみた。②町田太と⑦岩本俊が前でやり合う展開にでもなってくれれば、一気の捲りで突き抜けるかも。こちらは順当に、番手の⑨村上博との⑥⑨が本線となる。
以上のように、思い描く展開や決着パターン次第で「どのヨーロッパも買える」のがこのレース。しかもここは、いずれも1着で狙えてしまう。レース展開を読み切って買い目を絞ってもいいが、④⑥⑧の1着固定から3連単フォーメーションで流すのも面白そう。波乱決着が多いシリーズでもあり、ここは高配当が出ると決め打って、かなり手広く買うのをオススメしたい。
山田裕仁
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校第61期卒。KEIRINグランプリ97年、2002年、2003年を制覇するなど、競輪界を代表する選手として圧倒的な存在感を示す。2002年には年間獲得賞金額2憶4434万8500円を記録し、最高記録を達成。2018年に三谷竜生選手に破られるまで、長らく最高記録を保持した。年間賞金王2回、通算成績2110戦612勝。netkeirinでは当コラムのほかに、グレードレースを総括する「山田裕仁のスゴいレース回顧」も担当。