2024/02/11 (日) 10:50 6
GI開催特別コラム「山田裕仁の一発逆転!波乱注意報」。帝王・山田裕仁が、開催前半〜中盤までの選手の調子をチェックし、展開から"買えるヨーロッパ(468)"を紹介。元選手ならではの視点から、狙い目の2レースをお届けします。▶山田裕仁の見解と買い目はこちら
ヨーロッパ(468)とは?
競輪では各レースにおける「能力的にやや見劣る選手」「競走得点の低い選手」が、4番、6番、8番に入ることが多いことから、ひとくくりにしてこのように呼ばれています。とはいえ、展開やデキ次第では上位への食い込みが十分に可能。その場合には高配当も期待できます。そんなヨーロッパの中から、とくに好走&激走が期待できそうな選手と推奨理由について解説します。
【予想レース①】
岐阜02R 読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)S級一般
①山田諒(113期=岐阜・25歳)
②小松崎大地(99期=福島・41歳)
③香川雄介(76期=香川・49歳)
④中村圭志(86期=熊本・43歳)
⑤高橋築(109期=東京・31歳)
⑥吉田敏洋(85期=愛知・44歳)
⑦大森慶一(88期=北海道・42歳)
⑧山岸佳太(107期=茨城・34歳)
⑨阿竹智史(90期=徳島・41歳)
【初手・並び予想】
←①⑥(中部)②⑦(北日本)⑨③(四国)④(単騎)⑤⑧(関東)
【注目のヨーロッパ】
⑥吉田敏洋
④中村圭志
順当には決まらず高配当となることが非常に多い、GIの一般戦。コマ切れ戦となったこのレースも、いかにも波乱含みである。能力上位で「格上」感があるのは②小松崎だが、初日が8着で2日目が5着という結果からもわかるように、調子はいまひとつ。風の強さやバンクの重さが影響しているのかもしれないが、相手関係が軽くなったからといって、あっさり巻き返せるほどのデキにはないとみている。
競走得点トップの⑨阿竹智も、初日に落車したダメージがまだ色濃く残る状況。自力のない⑤高橋築は、いかに巧く立ち回って上位に食い込むかという勝負になりそうで、こちらも信頼度は低い。となると、北日本・関東・四国のいずれも、人気ほどには信頼できないという結論となる。その結果、まるで押し出されるようなカタチで、②小松崎からの車券が売れることになりそうだ。
ならば積極的に狙っていきたいのが、3日目から補充で出走する中部勢。その先頭を任された①山田諒は、ここ岐阜がホームバンクだけに、誰よりも気持ちの入った走りをみせてくれそうだ。近況の内容もけっして悪くはなく、ここならば好勝負が十分に可能。本来ならば中団から捲るレースで勝負したいだろうが、徹底先行型が見当たらないここは、積極的に主導権を奪いにいく可能性もあるだろう。
そうなると、絶好の展開に恵まれるのが番手の⑥吉田敏。こちらも追加なのでデキに関してはなんともいえないが、①山田諒が積極的なレースをすればするほど、勝てるチャンスが大きくなる。また、単騎の④中村圭がそのあたりを読んで中部ラインの後ろを狙ってくるならば、こちらも勝機アリ。①山田諒が最後の直線で力尽きて⑥④や④⑥で決まると、2車単でも高配当となること間違いなしだ。
2車単の①⑥や⑥①が本線となるが、⑥からのスジ違いである⑥-②⑤⑨あたりも配当はつきそうなので、しっかり押さえておきたいところ。⑥吉田敏が絡むだけで配当はかなりハネ上がりそうなので、3連単ではなく1頭軸3連複で勝負してみるのも悪くない。
【予想レース⓶】
岐阜06R 読売新聞社杯全日本選抜競輪(GI)S級選抜
①小林泰正(113期=群馬・29歳)
②渡部哲男(84期=愛媛・44歳)
③松本秀之介(117期=熊本・23歳)
④椎木尾拓哉(93期=和歌山・38歳)
⑤内藤秀久(89期=神奈川・42歳)
⑥柴崎淳(91期=三重・37歳)
⑦渡部幸訓(89期=福島・40歳)
⑧窓場千加頼(100期=京都・32歳)
⑨井上昌己(86期=長崎・44歳)
【初手・並び予想】
←①⑦⑤(混成)③⑨②(混成)⑧④(近畿)⑥(単騎)
【注目のヨーロッパ】
⑧窓場千加頼
④椎木尾拓哉
⑥柴崎淳
三分戦ながら、ここは混戦模様。「ヨーロッパ」の車券絡みがいかにもありそうとみて、勝負レースのひとつにあげている。このところの成長が目立つ①小林泰の後ろには、北日本の⑦渡部幸と南関東の⑤内藤秀がついて、東の混成ラインを形成した。そして③松本秀の後ろは、同じ九州の⑨井上昌と四国の②渡部哲がつく並びに。こちらも混成ラインだが、東よりは結束力が期待できそうである。
しかし、私がここで注目するのは⑧窓場千。決勝戦で2着に好走した先日のいわき平記念(GIII)では、シリーズを通して調子のよさが感じられる走りをしていた。今節はここまで初日が8着で2日目が3着という結果だが、自分から動いていかざるをえないような、道中で脚を使わされる展開のレースが続いている。それでいい着を取れていないだけで、デキ自体はけっして悪くはない。
しかも、ここは①小林泰が先手を「取らされる」カタチになりそうなメンバー構成で、車番に恵まれなかった近畿勢がスタートを決めて、初手で中団を取ることも不可能ではないはず。西の混成ラインを後方に置いて、⑧窓場千が中団から捲る展開に持ち込めれば、番手を回る④椎木尾とのワンツー決着だって大いに期待できるはずだ。⑧④や④⑧のスジ車券であっても、かなり美味しい配当になることだろう。
単騎の⑥柴崎淳が近畿勢の後ろにつくケースも十分に考えられるので、その場合には「ヨーロッパが上位を独占しての超高配当」も夢ではないはず。資金に余裕があるならば、思いきって④⑥⑧-④⑥⑧から流す3連複や3連単で勝負してみるのも面白い。いずれにせよ、そうそう順当には決まらないというのがこのレースの見立て。①⑧や⑧①あたりもしっかり押さえつつ、攻めの姿勢で車券を買いたい。
山田裕仁
岐阜県大垣市出身。日本競輪学校第61期卒。KEIRINグランプリ97年、2002年、2003年を制覇するなど、競輪界を代表する選手として圧倒的な存在感を示す。2002年には年間獲得賞金額2憶4434万8500円を記録し、最高記録を達成。2018年に三谷竜生選手に破られるまで、長らく最高記録を保持した。年間賞金王2回、通算成績2110戦612勝。netkeirinでは当コラムのほかに、グレードレースを総括する「山田裕仁のスゴいレース回顧」も担当。