2024/01/23 (火) 18:00 45
全国300万人の慎太郎ファン、netkeirinをご覧のみなさん、年明け二発走ってきました佐藤慎太郎です。新年早々、課題を感じるレースが続いているが、今はただひたすらに前を向いている。さて、毎年1月のコラムでは「所信表明」を書いているから、今年も自分自身が大切にしていく心構えをバシッと示していきたい。みなさん、本年もどうぞよろしくお願いします。
所信表明の前に「KEIRINグランプリ2023」の振り返りかな。多くのお客さんから応援を受けて気合十分に“優勝一点”をめざして発走機へ立ったのだが。最終的に7着でレースを走り終えた。結果を分析してみても「あの時こうしていれば」みたいなポイントは見当たらず。こうすれば勝てたかもしれない、と悔しがる以前の問題であり、ただただ自分には力がないと思い知らされた内容だったね。作戦がどうの、展開がどうのではなく、脚に余裕すらなかったわけで。
ゴール後には「もう一度、すべて一からやり直さなくてはならない」と感じていた。自分を、競輪を、見つめ直さなくてはならない。大舞台へたくさんの熱い声援を送ってくれたみなさんには心から感謝している。弱さを受け入れて、出直します。
それじゃあ所信表明だ。今年1年を考えた時、『お客さんの前にたくさん出ること』そんな目標が浮かんでいる。
2年前の1月は「一瞬一瞬を大事にして1本1本に最大出力を放つ」という目標を書いた。これは「特定の開催に向けてピークを作る」といった考え方はしないということ。レースでも練習でも、いつどの瞬間を切り取っても“自分のピーク”と言えるようにするというもの。この考えはすっかり板についてきているし、今年もこのスタンスは継続の一手だ。
そして、1年前は「定説を覆す」と目標を立てた。一昨年、落車や怪我が続いた時期に「このまま下降していくベテラン選手」といったイメージを自分に抱いたことがある。怪我をきっかけに調子を戻せずに落ちていくのは、競輪選手という体が資本になる職業において、当たり前っちゃ当たり前で、定説とも言える。この“当たり前”を打破したかった。そして、去年1年を振り返れば、概ね達成できたのではないかと評価している。
2024年も何も変わらない。一瞬一瞬に最大出力を放ち、定説を覆す気概を持って走る。新しいことへの挑戦も恐れず、「やれることをすべてやる1年」にしようと決めている。『S級S班・佐藤慎太郎』としてたくさんお客さんの前に出ていくことを去年より一層意識している。
1着を獲り勝利者インタビューで。GIで「○○賞」のような特別レースに勝ち上がり特別選手紹介で。何より求めているのはGI優勝のセレモニーだけどね。優勝できなかった昨年の分まで、勝ち切ることにもこだわりを持って取り組んでいく。一回でも多く、お客さんの前に顔を見せられるように。タイトル獲得をめざして全うする!
ここまで目標を綴ってきたが、打ち破らないといけない壁もある。昨年から今年にかけて、新しい挑戦として「機材と向き合う」を実践している。ようやく固まったものが見えてきたところだ。5〜6年ほど前に思い切ってトレーニング方法を刷新して、それが今では「自分のもの」になっている。何かを大きく変えていくことって勇気が必要になるけど、時間をかけて少しずつ取り組むことが大切で、『挑戦なくして強さは得られない』とも思うんだよね。
そんな中、トレーニングこそ自分のものにできたけど、自転車機材そのものにはまだまだ改善の余地を感じている現状で。昨年からさまざまなトライアンドエラーを繰り返している。限界は気のせいだが、体そのもののアップデート幅は少なくなっているので、トレーニングで期待できる上積みよりも、自転車まわりを詰めていくことでズドン!とした上積みを求めている。
細かくパーツなんかを追求していると色々な気づきがある。自分が長年愛用しているものって「やっぱり良いものなんだなあ」としみじみ感じることが多い。でも自分に馴染んでいて“こだわり”が強くなっているせいで「新しいものを試しにくい」と感じる時がある。
時代は流れているし、競輪のスタイルも変化している。自分のこだわりを捨てることはできないが、「オレが知っているものより、もっと良いものがあるのかもしれない」って意識は持ちながら精査していかないとね。これはパーツ選びだけの話ではないかもしれないが!
レースではさまざまな学びがある。練習でしかできないこともあれば、本番でしかできないこともある。もう一段階レベルを上げるために取捨選択をしていきたい。
いよいよ次の出走は地元いわき平記念だ。今年の目標で「お客さんの前にたくさん出たい」と宣言したわけだが、地元戦となればその気持ちも爆発寸前ってわけよ。地元記念で地元のみなさんにS班の佐藤慎太郎の姿を見せられるのってラストチャンスになるかもしれないって気持ちで戦う。ここ一番の気合を入れて走ってくる。誰にも負けられない。「佐藤慎太郎がシリーズの主役だ」と自分自身に言い聞かせ、獲りたい気持ちを全面に出して走ってくるぜ! ガハハ!
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佐藤慎太郎
Shintaro Sato
福島県東白川郡塙町出身。日本競輪学校第78期卒。1996年8月いわき平競輪場でレースデビュー、初勝利を飾る。2003年の全日本選抜競輪で優勝し、2004年開催のすべてのGIレースで決勝に進出している。選手生命に関わる怪我を経験するも、克服し、現在に至るまで長期に渡り、競輪界最高峰の場で活躍し続けている。2019年には立川競輪場で開催されたKEIRINグランプリ2019で優勝。新田祐大の番手から直線強襲し、右手を空に掲げた。2020年7月には弥彦競輪場で400勝を達成。絶対強者でありながら、親しみやすいコメントが多く、ユーモラスな表現でファンを楽しませている。SNSでの発信では語尾に「ガハハ!」の決まり文句を使用することが多く、ファンの間で愛されている。