アプリ限定 2024/01/25 (木) 19:00 29
初制覇を狙ったKEIRINグランプリ2023は残念ながら9着。それでも新年初戦の大宮記念を制して最高の滑り出しとなった。24年最初の清水裕友コラム『猪突猛進』も前回に引き続いてスペシャル企画。12月某日、山口県某所で行われた同じ山口県のヒーローで、一昨年のSGボートレースグランプリを優勝したボートレーサー白井英治選手との対談・第2弾。前回はグランプリ直前企画としてお届けしたが、今回はお互いの競技やプライベートに関することなど、さまざまな話題から鋭く切り込みます。
ーーお二人が知り合ったきっかけはうかがいました。白井選手(以下、白井)は47歳、清水選手(以下、清水)は29歳。お二人はどんな関係ですか? 例えば兄弟みたいな関係、とか…。
白井 うーん。
清水 兄弟とも違いますね。教えてくださることが多い。
白井 伝えたいことが多い。教えたいなという存在かな。そういうこともあって会いたかったんだよね。
清水 白井さんはダメなものはダメだと言ってくださる。ありがたいです。
白井 ヒロトはなまけない。尊敬しますよ。
ーーお二人の似ているところはありますか?
白井 似てるところは多分ないんじゃないかな。
清水 そうですね。
ーーでは、どんなところが全然違うと思いますか?
白井 ヒロトは向上心がすごい。勝つべくして勝つような人間なんだなと思うね。
清水 白井さんは“熱い”ですよね。僕は熱くはない。白井さんのレースを見てたら、ダメな時でもあがいてますもんね。1つのレースにかける思いが強い。
白井 ファンが1票でも賭けてくれてる以上は、常に全力を出さないといけない。負けていいレースなどないね。そんな失敗を繰り返してます。まぁ失敗があるからヒロトに言えるんだけどね。
清水 僕は心配性なので。勝つために頑張るというよりは… って感じですね。
ーーお互いの競技の違うところ、そして好きなところはどこですか?
清水 ボートレースはラインがなくて個人戦。競輪はラインがあるから地区選(同地区の選手のみが出場する各地区で開催されるGIレース)とか出来ないですよね。
白井 ライン戦っていいよね。自分の力を発揮して仲間を勝たせる。そこが最大の魅力。自分が勝つことももちろんだけど、人に勝ってもらう喜び。いいよね。
ーー白井選手は競輪選手も似合いそうですね。お互いの職業になってみたいですか?
白井 出来ないことはないと思う。おとこ気でやりたいタイプだし、自分が失敗しても人に勝たせたいというのがあると思う。
清水 僕はボートレーサーになって3、5コースから捲り差しを決めたいですね!
ーーお互いの競技の「自分にはムリ」だと思うところはありますか?
清水 優勝戦の1号艇ですね。メンタル的に。みんなが勝つと思って勝つって本当に難しいと思う。
白井 (脚力的に)自分よりもはるかに強い人間がいた時に、どうしていいかわからなくなってしまいそう。
ーーそれでは一番「痛かった」思い出はなんですか?
清水 僕は最近更新しました。競輪祭の二次予選(太田海也の番手を奪われて4着)ですね。あれは「痛かった」。あの負けはへこんだ。
白井 見てたよ。2着権利のね。
清水 油断ではないんですけど、ちょっとした心の隙もあったかもしれません。
白井 それまではなんだったの?
清水 防府記念で(町田)太我と連係した(21年72周年記念準決勝11R)やつですね。
ーー白井選手はいかがですか?
白井 あまり覚えてないなぁ。ファンの方に対して申し訳ないとは思うけど、このレースは失敗したなぁというのは気持ちの問題だと思う。いっぱいあるし、逆に言えばないかな。ほぼ失敗してるし。一喜一憂しないことが大事なんでね。
ーーでは一番爽快感を感じる瞬間はどんな時ですか?
白井 ボートレースの醍醐味の捲った時だね。
清水 僕も捲った時ですね。
ーー開催が終わったあとに最初にすることはなんですか?
清水 ご飯を食べる、ですかね。肉を欲する。
白井 カンパイかな。お酒を飲む。
清水 いいっすね!
ーーレースで結果が出ない時はどのように対処しますか?
清水 結果を出そうと思って走っていたら調子が良くなくなってしまう。やっぱり力を出すことに集中しますかね。
白井 特に変えないようにしてる。ボートレースの場合、エンジン的に我慢をしなきゃいけないこともある。とにかく自分のレーススタイル、走り方を変えないことですね。自分の技術を出していかないといけないので、どんな時も慌てず、冷静に走っていきたい。
ーー白井選手は早くに結婚して、お子さんも大勢いるとうかがっています。清水選手はまだ独身ということなんですが、そのあたり私生活のアドバイスはありますか?
白井 (結婚したのは)22か23歳くらいだったかな。でもね、ヒロトは私生活がちゃんとしてますから。家にトレーニング器具もあるし。私生活が安定してるから稼げますよ。そこはなんの心配もしていないです。
ーーお二人の趣味というのは?
清水 趣味という趣味がないんですよね…。
ーー以前のコラムでもそういう話題になりましたね。白井選手は?
白井 ゴルフと釣りですかね。ヒロトはゴルフはどうなの?
清水 誘っていただいた時にタイミングが合わなかったりで…。なかなか行けてないんですよね。
白井 あまりセンスはなさそうだなぁ(笑い)。
清水 自分では運動神経はいい方だと思ってるんですけどね。
ーー新年といえば、初詣は行かれますか?
白井 正月のレースを走ってることが多いので、初詣はそれが終わってから行きます。だいたい同じところに行きますね。ケガなく1年やりたいので。
ーー清水選手は、今年は立川記念ではなく大宮記念からの始動になりますね。
清水 場所が違うだけで日程的にはほとんど一緒。正月のルーティンみたいなもんですね。初詣は行きますよ。1月中にはだいたい行ってます。行っておいた方がいいでしょう。
白井 滝行もね。
清水 今年(23年)の滝行は過酷だった。今度は白井さんにも行ってもらいます。
白井 そうだね、ぜひ見に行くわ(笑い)。
清水 一緒にやりましょう(笑い)。
白井 この前は山口支部のボートレーサーも結構行ったんだけど、結果を出したのはヒロトだけだった。あいつら滝行をナメてたかも(笑い)。行ってカツを入れなきゃね。
ーー24年は一緒に滝行に行ってさらなる好成績を期待しましょう。新年の具体的な目標を教えてください。
清水 やっぱりタイトルですかね。GIの優勝。前回からもうだいぶたちますんで…。
白井 豊橋のね。
清水 はい、全日本選抜です。2020年の2月なので、もう4年前になっちゃいます。
白井 逆に言ったら、それでグランプリに何度も出られていたっていうのはすごいよね。一発屋じゃない証拠だよ。
清水 はい。
白井 ヒロトはとにかく力を出し切ること。
清水 ありがたいです。頑張ります。
ーー白井選手はいかがでしょう?
白井 本当はね。今年(22年)もグランプリに出て勝つつもりだったんだけどダメだったんで。来年(24年)こそは2回目のグランプリを獲ることですね。
清水 来年(24年)は負けられない戦いになりますね。
ーーどういった話ですか?
清水 毎年、年末に“お互い勝とう”という話になって、漠然と稼いだ賞金で勝負してたんです。今年(23年)は初めて僕が勝ったんじゃないかな。
白井 そうだね。
清水 普段は一緒にご飯を行く時に、その時点で稼いでる方がおごるんです。稼いで出す方が気持ちいいじゃないですか。
ーーそれで24年も勝負ということですか?
清水 獲得賞金で負けた方がパンチパーマ?
ーーおっ。
白井 もうちょっといろいろと詰めてからにしようか(笑い)。
清水 そうですね!
ーーその件の顛末も気になりますが、ひとまず来年は獲得賞金を勝負ってことで。ハイレベルな戦いを期待しております。ありがとうございました。
白井 はい、こちらこそ。
清水 頑張ります(笑い)。
KEIRINグランプリ2023は清水マークの松浦悠士がV。5度目のグランプリ出場だった清水は9着に終わった。年が明けて最初の開催、大宮記念は地元の埼玉勢が5車結束する強力布陣となったが、6番手から豪快に捲って優勝。6連覇中の防府記念を除けば、2022年3月のGII宇都宮ウィナーズカップ以来となるグレードレースVだった。
白井選手に話を聞くと「グランプリはヒロトもいい勉強になったんじゃないかな。大宮記念は強かったね」と答えてくれた。それぞれ年末の最高峰の舞台を目指しての戦いが始まった。清水のKEIRINグランプリ2023、大宮記念の振り返りは次回、たっぷりお届けします。
(取材・構成=netkeirin編集部)
清水裕友
Hiroto Shimizu
清水裕友(しみずひろと)。山口県防府市出身。105期。日本競輪選手会山口支部所属。師匠は國村洋。ビックレースはGI「読売新聞社杯全日本選抜競輪」(2020年)、GII「サマーナイトフェスティバル」(2020年)、GII「ウィナーズカップ」(2021年)。