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【東口善朋】“コツコツ”が勝つコツ!「表彰台の一番高い位置から良い景色みたい」/ 和歌山記念注目選手インタビュー

2024/01/10 (水) 18:00 33

地元勢が大挙参戦する和歌山記念。総大将を務めるのは、やはりこの男だろう。68周年以来の制覇を目指す東口善朋だ。昨年はシリーズ3勝の地元地区の岸和田GI・高松宮記念杯をはじめ、キメ脚を武器にGI戦線で活躍を見せた。実力者がひしめく近畿地区において、マーク屋として着実に序列をあげている。目指す場所やモットーの「コツコツが勝つコツ」について、そして同期の中川誠一郎についても言及!? のロングインタビューをお届けする。(取材・文=八角あすか)※取材は2023年12月の広島記念in玉野にて実施

東口善朋(撮影:北山宏一)

2023年は「平穏で物足りない1年」

ーー2023年をふり返って、どんな一年でしたか?

東口 うーん、“平穏”でしたね。特別競輪の決勝に乗れているわけじゃないですし、準決勝でさえも2回だけ。物足りない一年でしたね。

ーー数字で見ると、年間30勝、GIでは7勝、優勝回数4回。昨年(16勝)や一昨年(19勝)に比べて、1着数字はかなり増えました。

東口 確かに、そうですね。ただ、走っているステージがFIってこともありますし…。やっぱり目指すところはGIのファイナルであり表彰台。目指すところを考えると「この数字では物足りないよな」っていうのが率直な感想です。

ーー常に高いモチベーションを維持できていますか?

東口 S級に上がってから、ずっと変わりませんね。テレビで見るんじゃなくて、特別競輪の現場を走って感じることがたくさんある。やっぱり、走ってみなきゃ分からへんところですからね。

ーー高松宮記念杯での取材の際に聞いた「運を引き寄せたい」という言葉が印象的でした。

東口 GIに出る選手はみんな当たり前のように練習をしっかりやっている人たち。それじゃあ、どこで差をつけるかってなった時に、ゴミを拾うとか、汚れているところがあれば綺麗にするとか。そういう小さなことの積み重ねが「流れや運を引き寄せる」ことに繋がるのかなって思っています。

運や流れで明暗が分かれる世界(撮影:北山宏一)

やめるのは簡単、モチベーション続く限り走りたい

ーースピード競輪化した今の競輪をどう感じていますか?

東口 もちろん、スピードの差は感じている。歳を重ねていくにつれて自分の脚力の“現状維持”は大事だと思っているけど、若い子は航続距離も踏めてスピードも上がっているので、その中で一つ一つの動作やレースでの瞬時の判断も重要です。そういう意識は練習でもレースでも、いつでも頭に入れて走っていますね。

ーー身近には近畿地区のツートップ・脇本雄太選手や古性優作選手がいます。

東口 あの二人の力は抜けている。でも、その二人に付いて行くことができれば、特別の表彰台も見えてくると思う。少しでも近づけるように、普段から試行錯誤しながらやっています。

ーー近畿全体で行われる合同練習や合宿には参加されますか?

東口 若い子らはやっているみたいですね。僕は合宿するような年齢でもないので、一つ一つの動作を確認しながらアマチュア選手がやるような練習をやっています。漠然とやるのではなくて、細かい動きをチェックしながらやる。やっぱり、年齢とともに体がなかなか思うように動かなくなってくるので(苦笑)。

ーー目指す理想選手像はありますか?

東口 もう44歳なので、自分が目指す選手はいてないですけど(笑)。少しでも地元の若い選手たちが自分の背中を見て、「こうなりたい」とか「もっと上で走りたい」とかGIを目指してもらえたら一番ベストかな、とは思っています。

ーー何歳まで現役など具体的な目標はありますか?

東口 そのあたりは全然、考えていないですね。「やーめた!」って言うのは、いつでも簡単にできること。だから、今のモチベーションが続く限りは走りたいです。

ーー選手人生で成し遂げたい「夢」を教えてください。

東口 やっぱり…、GIを優勝したい。そんなに特別の決勝に数は乗っていないけど、もう一度乗りたいです。(※)前橋・寬仁親王牌(20年)、いわき平・日本選手権(22年)にて決勝進出

昨年の高松宮記念杯では決勝進出こそ逃したが、随所で強さを見せつけた(撮影:北山宏一)

大怪我きっかけに戦法チェンジ モットーは“コツコツが勝つコツ”

ーー東口選手が競輪選手を目指したのはどんなキッカケだったのでしょう?

東口 元々は野球をやっていて、中学までやっていました。父親が「競輪やってみないか?」と和歌山競輪場へ連れて行ってくれたのがキッカケです。その時は「やりたい」という気持ちはなかったけど、チャレンジしてみるかって感じ(笑)。

ーー「選手になって良かったな」と思う瞬間ってどんな時ですか?

東口 優勝して表彰台に乗って、ファンをはじめ、周りのみなさんが盛り上げてくれるときですね。

ーー選手人生におけるターニングポイントはありますか?

東口 29歳の時、顔面から落車をして眼窩底(がんかてい)骨折をしたんです。その時から戦法チェンジをするかどうか、悩み始めた。それまではずっと先行・捲りだったけど、追い込みにシフトしようと。戦法に関しては、この時の大きな怪我がキッカケでしたね。

ーー東口選手と言えば「コツコツが勝つコツ」をモットーに掲げていますが、それはいつぐらいからですか?

東口 40歳を過ぎてからぐらいかな。コロナ禍で開催もなかった時期に、自分を見つめ直して練習も一からやるという意味で、この言葉が合っているかなって。

ーー冒頭のお話でもありましたが、何事も積み重ねは大事ですよね。選手ではなくても、どんな人にも当てはまる言葉だと思います。

東口 ですよね。この言葉をSNSで使っていると、ファンの方たちも覚えてくれるし、良かったなって思います。

大怪我を経験し40歳でたどり着いた「コツコツが勝つコツ」の考え(撮影:北山宏一)

同期の存在が刺激になる! 中川誠一郎は「85期のスター」

ーー今シリーズ(※取材時の広島記念in玉野)は加藤圭一選手、吉田敏洋選手、大槻寛徳選手、川村晃司選手の同期5人が参加。現役でS級は東口選手を含めて15人ですが、同期の存在は刺激になりますか?

東口 吉田敏洋は同級生だし、川村さんは先輩ですが同地区で近畿を引っ張ってきて、500勝も達成している。この歳になってもみんな頑張っているので、凄い刺激になりますね。

ーー同期といえば、中川誠一郎さんを忘れてはなりませんね。

東口 僕ら85期のスターですし、特別競輪も獲っている。僕とは同級生で良い刺激になる、ずっと目標にしている選手ですから。今でも全然、追い付いていないですけどね。少しでも実績に近づけるようには頑張りたい。まぁ、僕はいつもイジられてばかりいるんですけどね(笑)。(※)中川誠一郎選手はnetkeirinの連載コラム『ほろ酔い放談-競輪の因数分解-』で東口選手についてたびたび言及している

ーー中川選手のコラムですね。この機会にイジり返しますか?(笑)

東口 いやいやいや! そんなキャラじゃないので、僕は大丈夫です(笑)。

ーー最後に地元・和歌山記念への意気込みをお願いします。

東口 やっぱり、表彰台で一番高い位置に登って良い景色を見たいですね。その景色を見られるように、地元勢一丸となって頑張ります!

頂点だけをめざして、いざ地元記念へ(撮影:北山宏一)

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