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佐藤慎太郎“101%のチカラ”

【佐藤慎太郎の回答】「人生をあきらめている」とメッセージをくれた人へ

2023/11/19 (日) 18:00 56

47歳の1年を走り始めた佐藤慎太郎(撮影:北山宏一)

 全国300万人の慎太郎ファン、そしてnetkeirin読者のみなさん、阪神タイガースファンの佐藤慎太郎です。ご存知のとおり、とうとうタイガースが日本一の栄冠を手にしたね。 今月のコラムは祝福の言葉で始めることにする。阪神タイガースおめでとう! そしてタイガースファンもおめでとう! 38年ぶり日本一万歳! ガハハ!

やったね、阪神

 オレとしてはリーグ優勝だけでも相当嬉しい。その上でさらに日本一だからね。大喜びってのは言わずもがな。胴上げ投手となった岩崎優が横田慎太郎のユニフォームを掲げて、舞っていた場面には感動を覚えた。天国の横田もチームと勝利の美酒を分かち合えたのではと思う。

 それにしても今年の日本シリーズは素晴らしかった。セ・リーグを制した阪神タイガースがクライマックスシリーズを勝ち上がり、パ・リーグを制したオリックス・バファローズもクライマックスシリーズを勝ち上がった。リーグ優勝を決めたチーム同士の最終決戦。このカードを観られたことに感謝だよ。「観たい試合が観られる」という納得感があった。

 オリックスも頂上決戦まで上り詰めるだけあり、当然のごとく強いチームだった。そんな素晴らしいチームを破っての優勝ってわけで、今回の日本一は余計に嬉しい。シーズンを通して、それぞれのドラマが積み重ねられた集大成。最高の結果で終わることの美しさを見させてもらったよ。

阪神マスクを愛用する慎太郎(Photo by Shimajoe)

 野球の日本シリーズって競輪ならKEIRINグランプリになるのかな。仮にそうなら競輪祭はクライマックスシリーズか? グランプリへのラスト1席を懸けた戦いって意味においては近いような。

チームがひとつになると強い

 今年の日本シリーズのタイガースは「チームがひとつ」になって戦っていたよな。それが強さの要因だったように見えた。これは競輪のレースにも言えることだが、ライン(チーム)がひとつになるとやっぱり強い。それぞれの選手が自分のポジションでしっかりとパフォーマンスをすることが大切で、それでいて自分のことだけを考えずに全体に目が行き届いている状態。気持ちが繋がっている状態。そのとき、自分とチームが噛み合ってひとつになると圧倒的な強さが生まれる。

 オレの場合はチームが「北日本」でポジションは「追い込み」だ。ラインのためにどんな自己犠牲の精神を持って取り組めるか。自分の仕事をきっちりとこなせるかどうか。この命題としっかりと向き合っていく。今オレは賞金ランキング的に言えばグランプリ出場安全圏にいる。競輪祭が終わった時に北日本からグランプリに出場する仲間が増えたら嬉しいし、チームのために存分に頑張っていきたい。だが!

北日本ライン(撮影:北山宏一)

 それと同時に変わりなくGIタイトルも目指す所存だ。「グランプリを有利に走るために仲間を勝たせる」は決してオレのGI参戦のメインテーマではない。グランプリのために競輪選手をやっているわけじゃない。これも同じくらいに忘れたくないこと。差せるのに差さないなんてことはないし、今年3度のGI確定板を経験している以上、“あと一歩”を乗り越えたい気持ちがある。チャンスが巡ってくれば躊躇なく踏み込む。

 前回のコラムで書いたけど、「仲間のために」と「自分のために」という気持ちを両天秤に乗せて、どの展開でどんな判断をすべきかを楽しむ。その瞬間、自分の中で筋の通る判断をしていくだけよ。仲間を勝たせたいのと同時に自分も勝ちたい。でも1着は1人だけ。これが競輪の難しさであり、ゾクゾクする魅力だ。

親王牌決勝の発走機に向かうときも追い込み屋の宿命“両天秤”を楽しんでいた(撮影:北山宏一)

1つ歳を重ね、また新しい1年がはじまる

 ところで、先日47歳になった。いよいよ40代後半も板についてきたが、思いのほか戦えている。しっかりと自分の決めたトレーニングメニューを組むことができればまだまだ脚力は衰えない。限界は気のせいだから、これからの1年も下降することなく強くなるための努力を重ねていこうと思う。それに、歳をひとつ重ねて思う。

 回復力などはたしかに衰えるが、どう衰えるのか? どうリカバリーするのか? どう回復していくのか? 休んだ方が良いのか? といった自分だけのデータは若い頃よりも蓄積されていく。体の状態だけなら若さに勝るものはないのかもしれないが、使い方や対処方法といったデータ・数値的な経験は年々強化されていく。

 今年も1年間、限界は気のせいと思いながら過ごしていきたい。その時その時の「限界」はしっかりときめ細かく把握しながら。それにしても前向きなことが書ける今年は良かったよ。去年は落車続きで治療スケジュールを組む毎日だったからね。絶望感とともに病室でコラムをしたためていたことが思い出されるわ(笑)。時間が経ち、そんな絶望感なんて忘れちまったけどな。

今年1年もファンとともに歩む(撮影:北山宏一)

人生をあきらめている、という読者さんへ

 さて、今月は読者さんの質問に応えてから筆を置く。先月、『その歳でその闘争心はどこから来るんでしょうか? 慎太郎さんの2歳下だけど人生をあきらめています。心の持ち方を教えてください』といった質問を頂戴した。この人にアンサーを書く! 人生をあきらめてるだなんて一大事だからな。ガハハで茶を濁すこともできねえ。

読者の質問にアンサーすべく筆を走らせる(撮影:北山宏一)

【佐藤慎太郎(競輪選手・47歳=福島)の回答】

 まず、闘争心の件だけど、オレの場合は過去の自分自身から来ている。他人をライバル視するのではなく、意識を向けるのは自分自身。ライバルは昨日の自分だ。日々「昨日よりも一歩だけ前に」と目標を立てていて、闘争心を持って人生を積み重ねている。“一歩だけでいい”が超重要。過去の“一歩だけ前に進む”の積み重ねが今の大きな闘争心を形成している。

「今日は無理だったが明日は脇本雄太くらいの脚力をつけてえな」みたいな設定はダメ。人と比べているし、“一歩だけでいい”を無視し過ぎている。人生のイベントで考えてみよう。例えば「歯磨き」でもいい。

 面倒くさいイベントだから後回しにしがち。テレビに集中していたら腰を上げるのも億劫。でも歯はどうせ磨かなくてはならないから、どうせなら磨くべきタイミングで妥協せずに磨いてみよう。「歯磨きを後回しにしない」という一歩なら進める気がしないか?

 意識して「自分が自信を持ってできる範囲」を毎日小さく積み上げていく。少しだけ広げていく。毎日何か一つだけでも意識して自分に打ち勝つ。これを毎日続けて年単位で振り返れば闘争心も成長しているし、ひとつひとつ妥協せず「一歩だけ進む」ことが積み重なっているので、割と大きな一歩になっていたりする。

 妥協やあきらめも小さな積み重ねが大きな挫折に変わっていく。気づいたときがスタートの時。竹原ピストルの「カウント10」を聴きながら“小さく一歩進むこと”に取り組んでみて。この手の妥協だのあきらめだのと向き合うときにオレが聴いてる歌なんだ。オレがオレに負けなければ負けじゃねえってやつね。かなりおすすめ。

 というわけで筆を置く! とりあえず競輪祭でバチバチの闘争心を見せる予定なので、みなさん、ぜひ今年ラストのGIを楽しく観てくれよ! すごくレベルの高い競輪が巻き起こるはずだぜ。それじゃあ、いってくるわ。

47歳の鉄人に限界は存在せず!「過去イチの強さを目指すだけ」(Photo by Shimajoe)

【公式HP・SNSはコチラ】
佐藤慎太郎公式ホームページ
佐藤慎太郎X(旧Twitter)

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佐藤慎太郎“101%のチカラ”

佐藤慎太郎

Shintaro Sato

福島県東白川郡塙町出身。日本競輪学校第78期卒。1996年8月いわき平競輪場でレースデビュー、初勝利を飾る。2003年の全日本選抜競輪で優勝し、2004年開催のすべてのGIレースで決勝に進出している。選手生命に関わる怪我を経験するも、克服し、現在に至るまで長期に渡り、競輪界最高峰の場で活躍し続けている。2019年には立川競輪場で開催されたKEIRINグランプリ2019で優勝。新田祐大の番手から直線強襲し、右手を空に掲げた。2020年7月には弥彦競輪場で400勝を達成。絶対強者でありながら、親しみやすいコメントが多く、ユーモラスな表現でファンを楽しませている。SNSでの発信では語尾に「ガハハ!」の決まり文句を使用することが多く、ファンの間で愛されている。

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