まずはS班になって思う他の級班との違いについて尋ねてみた。

「まずは番組では『期待の表れ』というか。本線に推されるような組み方をされているのかなと。SS、S1、S2ってあるけど、同じ点数を持っていてもその中でもS班は格上というか。それは感じますかね」

「物理的に感じるのは全部のGIで特選からスタート出来ること。これは大きいですよね。もし、S班が予選スタートになってもある程度勝ち上がれるくらいの力を持っているけど、レースには綾がないですからね。

　自分の場合は自力選手が頑張ってくれても相手との力関係で負けてしまうこともありますから。初日に体調面を見られるのも大きいですよね。入ってきたときの皆の調子の良し悪しも見られますから。それ以外では他との差はあまり感じなかったかな」

　グランプリを獲った翌年からはS班として1年間走るわけだが、周りからの期待は言わずもがな大きくなる。その辺りについて感じたことを聞いてみた。

「当然、周りからは期待される立場だと思って見られているし、自分自身は変わっていなくても周りからはそういう風に見られているなと。

それは言葉じゃなくても肌で感じる部分もありましたね。特にオッズとかでは目に見えて感じますよね」

　そして、和田はグランプリを獲った翌年に落車が5回と不運が重なった訳だが、その点については「ちょっとスピリチュアルみたいな感じになるけど(苦笑)。人生の中で使える運が決まっていて、自分はそこ(グランプリを獲った瞬間)に全部使い切ったと思えるくらいだった。落車もだけど成績がズタボロだったのは自分でもどうしようもなかったのかなと」と苦笑いで正直な気持ちを伝えてくれた。

「他の継続している平原(康多)とか(佐藤)慎太郎さん、ずーっとある程度年齢を重ねたのに維持出来ているのは凄いなと思う。周りは一回獲れただけでも凄いよって言ってくれるんですけどね。それでも継続は出来なかった。平原なんて自分と同期だけど十何年も維持していますからね。慎太郎さんなんてここ数年獲る、獲らないってやっていますしね」

「若い子がダメとは言わないし、若くてグランプリを獲れる古性君なんかは凄いなと思う。どっちが大変とかではないけど、自分が同じくらいの年だからこそ、上り調子の若手よりも年齢がいった選手が位置を維持する方が大変だなと思う」

　その流れから最近の競輪界の流れ、S班によって変わるってくることを話してくれた。「最近は競輪界の構図が変わってきて、眞杉匠や山口拳矢とか若い子達がタイトルを獲って、SSに名を連ねる。でもその裏でところてん方式で押し出されてしまう人もいる。特に平原や郡司なんかは際どい位置にいますからね」

「南関だと郡司は屋台骨ですからね。やっぱり、地区にS班がいることで地区自体の盛り上がり方が変わってくるのかなと。だから最近だと近畿は脇本(雄太)、古性(優作)の二大巨頭みたいな感じでしょう？ 大きいレースに行けばその2人がいるっていうのはやっぱり大きいですよ」

　勝ち上がるなら味方をより多く付けた方がいいと普段からよく聞くが、大きく見た時にはその地区にS班がいるかいないかで周りも変わってくる。それだけS班の存在は大きいのだなと感じるモノがあった。