逃げなきゃ負ける！ 小回りバンク・奈良

　奈良は33小回りバンクの中でも直線が短い部類だ。西武園バンク以上に『逃げなきゃ負けよ！』が重要なキーワードになる。昨年12月に野口裕史が逃げ切り3連発で初優勝をやってのけた！ あの時の野口は単騎で絶対的不利な状況に置かれ、しかも2周先行でだよ。このことからもわかるように『逃げ』が断然有利なバンク特性があるってわけ。

　ところがキーワードをあざ笑うようにまくりがそこそこ決まる(+_+) 今回は絶対本命が不在で誰が優勝してもおかしくなく、まさに混戦だ！ 言うなれば勢いに勝る選手に女神(飛天ちゃん：奈良競輪マスコット)が微笑むのだ。女心となんとやら？ と言うが、その女神は移り気なんだな〜！

準決勝、恐るべし117期の石原颯

　準決勝9Ｒは117期の石原颯が前受けに出た。勝負どころで上昇した久木原洋を一旦突っ張り脚を使わせ前に出させる。そこを佐藤幸治が叩いて主導権を握ったが、間髪入れずに巻き返すし、3番手にいた高久保雄介のまくりまで合わせ押し切ってしまった…！ 逃げて3連勝とは恐るべし117期。

　ずいぶん前のことだが、久木原は「雨は苦手」と言っていた。初日と準決勝で雨に祟られたが、これを克服できたことは大きく今後に繋がってくるぞ。

　10Ｒは渡邉豪大が前受けから。門田凌が出て中井太祐がそこを叩く。そこを渡邉が押さえ逃げた。展開の向いた山賀雅仁だったが失格に…。福島武士、鷲田佳史、吉田茂生が繰り上がり決勝戦へ。中でも後方から大外を強襲した吉田の伸び脚には注目しておきたい。11Rは周回中に岩谷拓磨、佐伯辰哉が落車し7車に。小埜正義が押さえ中西大がまくり、ライン決着となった。

妄想先取りレース実況！ 無欲で勢いのある者に女神は微笑む!?

　決勝の並びは⑧吉田茂生-④松崎貴久の中部コンビ、単騎の③久木原洋、①中西大-⑦三谷将太-⑤鷲田佳史の近畿勢、⑨石原颯-②福島武士-⑥大川龍二の中四国の四分戦となった。(⇐⑧④・③・①⑦⑤・⑨②⑥)

　単騎の久木原が前受けか、あるいは中部の吉田-松崎だろう。近畿勢は中団確保で中西-三谷-鷲田と続き、後方に中四国ラインの石原-福島-大川という流れ。

「優勝を取りたい」の思いは地元の三谷だが、3連勝で勝ち上がった中西も当然そこを意識する。かたや石原はチャレンジャー精神で挑んでくるはず。その心理を見透かせば中西が先に切って、石原を出させて優勝狙いだが…！ 先行選手の先輩としてスイッチオン！ 石原と中西の先行争いだ。

　となれば、雨を克服した久木原がまくり初Vを狙い澄ます。だが、その展開なら三谷が黙ってスルーするわけがない！ 強烈なブロックで止めにくるはず。その時に空いた内へ突っ込めるのは誰だ？ 今期『いわき平記念』の優勝で余裕があるこの男・鷲田佳史だ‼ 空いた内へ突っ込み、Vロードをまっしぐら。無欲に3番手を固める男に女神が微笑み、二匹目のドジョウVだろう。

無欲と言えば“挑戦者”

　ああ。無欲というキーワードを出すや否や、チャレンジャー石原も気になってきた。逃げ切り3連勝の勢いは注目せずにはいられない。

「颯のように現れて、颯のように去ってゆく〜…‼」が、遠くから聞こえてくるような！ 117期、記念優勝1番乗りも見てえけど、果たして女神は誰に微笑む？

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