2023/07/05 (水) 12:00 43
“阿波踊り”といえばゆらゆら帝国の「夜行性の生き物3匹」という曲のPVを思い出すものだが、もう22年も前かと思うのが、2001年2月のふるさとダービーだ。優勝したのは地元の小倉竜二(47歳・徳島=77期)で、地元でビッグレース制覇という栄誉に輝いた。
「全身バネ」と称される躍動的な走りでずっとトップ選手として君臨している。ふるさとダービーはGIIの格になるが、実は小倉は地元記念(GIII)を勝っていない。近年では原田研太朗(32歳・徳島=98期)と太田竜馬(27歳・徳島=109期)が地元Vを飾っているものの、小倉は勝っていない。
小松島競輪場で7月6日〜7月9日に開催される「開設73周年記念 阿波おどり杯争覇戦(GIII)」。競輪のレースはおよそ3分。「夜行性の生き物3匹」には、「3分間のこの曲が…」というフレーズがあるのだが、小倉の3分間に注目だ。
このPVでは、ひょっとこのお面をかぶった3人が阿波踊りを踊っていて、最初は飄々(ひょうひょう)としたお面だが、曲の盛り上がりにつれ、紅潮したちょっと怖いほどの表情になる。
犬伏湧也(27歳・徳島=119期)にとっては2回目の地元記念挑戦だ。昨年は二次予選で5着敗退。他の3走は1着だったとはいえ、悔しさが今も残っているだろう。今年かかる期待は昨年とは比にならない。
まだ底を見せていないわけで、頂点への道をファンはすでにともに追いかけている。負けられない、といっていいほどの開催になる。S班の新山響平(29歳・青森=107期)が先行選手として最大の敵になり、また郡司浩平(32歳・神奈川=99期)が倒すべき相手として存在する。
もう一人のS班・松浦悠士(32歳・広島=98期)は中四国の仲間ではあっても、勝ち上がりの人数によっては敵になる。そうそうたるS班の名前がありながらも、犬伏が主役を演じ切れるのか。ファンを巻き込んで、時代の扉を開けてほしい。
沖縄の伊藤颯馬(24歳・沖縄=115期)にも注目してほしい。「高松宮記念杯競輪(GI)」の走りは結果以上に衝撃的で、GIの決勝も見えていると思う。まだあどけない雰囲気からなのか“強さ”は感じさせないものの、いい競輪をするようになってきたと感じる。
踊るように生きる沖縄の風が、徳島の燃える舞台に合うだろう。阿波踊りVSカチャーシー。今節は仲のいい瓜生崇智(28歳・熊本=109期)も一緒なので、好連係に期待したい。
瓜生はやや元気がないが、これは生来の優しい性格が、厳しい戦いの中で壁になっている。怖さやいかつさで勝負するタイプではないので、牛深ハイヤ祭のように妖艶に競輪界を生き抜いてほしい。
それにしても「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃそんそん」とは、何とも素敵な言葉があるものだ。
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前田睦生
Maeda Mutuo
鹿児島県生まれ。2006年東京スポーツ新聞社入社、競輪担当として幅広く取材。現場取材から得たニュース(テキスト/Youtube動画)を発信する傍ら、予想系番組やイベントに出演。頭髪は短くしているだけで、毛根は生きている。