2023/07/02 (日) 12:00 30
現役時代はトップ選手として長く活躍し、現在は評論家として活動する鈴木誠氏の競輪予想コラム。今回は前橋競輪場で開催されている三山王冠争奪戦の決勝レース展望です。
【三山王冠争奪戦】が開催されている、前橋競輪場に来ています。今日の前橋は雨が降るあいにくの天気だったのですが、ドームの中は天候に左右されないバンクコンディションが保たれています。
ただ、この時期の前橋競輪場に来られた方ならお分かりかと思うのですが、ドーム内は意外と蒸し暑く、予想会やバンクレポートをしながらも、汗をかいているのがバレないかなと思っていました(笑)。
また、ドームということでファンの声援や、時には叱咤激励も良く聞こえてきます。ただ、準決勝が行われた3日目は地元選手の活躍が目立っており、レース後に聞こえてくるのは、歓声の方が大きかったように思えました。
決勝にも地元群馬の選手が3人勝ち上がり、そして、関東では平原選手と眞杉選手も名を連ねました。
並びはどうなるかと思っていましたが、さすがに5人では並ばずに、群馬の3人は佐々木選手-木暮選手-小林選手。関東の2人は眞杉選手-平原選手。南関東での連携は深谷選手-内藤選手となり、古性選手と松本選手は単騎を選択しました。
今回、出来の良さが目立っていたのは眞杉選手です。先行した準決勝ではラインの3車で決めただけでなく、番手の平原選手にも抜かせませんでした。
上がりタイムの9.5秒というスピードもさることながら、その一方で平原選手は落車のダメージが残っていて、まだ本調子ではないのではとも思ってしまいます。
その眞杉選手よりも速い上がり(9秒3)を記録していたのが古性選手であり、2着こそ続いていますが、松本選手もいい走りをしているように見えました。ただ、この2人は単騎であり、後方に置かれるようなレース展開となると巻き返しを図るのは難しくなります。
スタートを取るのは佐々木選手となりそうです。中団は深谷選手で、その後ろにいる眞杉選手は深谷選手を抑えてから一気に先行していくと思いますが、その時、先行した眞杉選手-平原選手の後ろに佐々木選手がつけて、結果的に関東が5車で並ぶ形は充分にあり得えそうです。
後方となった深谷選手は長い隊列を捲りに行きますが、眞杉選手がかかりきっていれば、そのまま押し切っての優勝。もし、深谷選手がカマシていって、眞杉選手と合わせていくようならば、後ろにいる佐々木選手にとっては願っても無い展開となります。
混戦となった場合に怖いのは古性選手です。優勝のためには前々の意識を持ちながらレースを進めていくはずであり、木暮選手の調子がそこまで上がっていないことを考えると、捲っていった佐々木選手の後ろを、いつの間にか奪っているのかもしれません。
最終日も前橋競輪場でバンクレポートと、予想会を行います。決勝でバンク内から聞こえてくるのは、地元選手を含めた関東の選手の勝利を称える歓声だと思っていますが、何せ仕掛けの難しいバンクだけに、ゴールまで目が離せないレースとなりそうです。
鈴木誠
千葉県市原市出身。日本競輪学校第55期卒。千葉経大付属高校の頃から競輪に没頭し、吉井秀仁氏に師事。現役時代はすべての戦法を完璧にこなし、「本物の自在型選手」と評されるほど多彩なストロングポイントを武器に、引退するまで長きにわたってトップ選手として君臨した。現役時代は通算3058戦665勝、優勝109回(うちGIは競輪祭新人王を含め4回、GP1回)、年間賞金王1回、通算獲得賞金は17億を超える。18年7月に、ケガのため惜しまれつつ引退。引退後は選手経験を生かし、解説者として活躍。スピードチャンネルなどの番組にも出演している。